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変態中
ずっと変わりたかった。
中学の卒業式で担任の先生に手紙を書いた。
根暗で口下手な今の自分を変えたいと。
2年前の同窓会で、彼女は連絡先を教えてくれた。
連絡しなくてもいい。お守りがわりに持っておいてと言われた。
高校時代、明るくて社交的な憧れの先輩みたいになりたかった。
彼が友達と楽しく過ごしている姿を見て、私も学校を楽しもうと思えた。
働くことを薄々意識し始めた大学3年の春は、自分の理想と現実がかけ離れていて自己嫌悪ばかりだった。
当時好きだった人に、理想があるから自分に期待するんだよと言われ、励まされた。
大学4年の夏の今も変わりたい。
自然体でいること。
適当になること。
意地悪しないこと。
父に、受験勉強も就活でもあなたの描く絵でも、昔からあなたは大きな枠のただ一点だけに力を入れる癖があると言われた。
それはすごく危ないことらしい。
周りが見えなくなる。
人の意見に耳を傾けすぎるのも危ないらしい。
優しすぎる。
優しすぎるは去年の秋に会ったメンヘラ製造機チリ毛ボーイにも言われた言葉だった。
最後には、悪い男に引っかからないでね、と。
心当たりしか無かった。
図星だったので、その後の父に対してはかなりぞんざいになった。
私のワガママに付き合ってくれる愛と優しさに気づいたのは最近のことです。
私の中の幼児と少女が時々顔を出す。
それもタイミングの悪い時に。
変わりたいと思う時って後悔や悲しみや虚しさがあったからだ。
1年前の自分より今の自分の方が良い。
1年前の今日は都合の良い女として当時好きだった人に会っていたらしい。
お父さん、私は既に悪い男に引っかかっていました。去年の夏に痩せた原因はそれです。
悪い男に出会ったあと、人のことを信用するのに時間がかかるようになりました。
だけど良い男の人とも出会えたよ。
心底憎んだ相手がいても、心底死にたいと思った夜も、こうして文字を綴っている今は恋も人生も捨てたもんじゃないと思えてる。
出会えたから今の自分がいる。
前には進めてる。
階段には登れてる。
ただ、高頻度で躓いたり踏み外したりするので進捗状況は人より遅い。
でも変われてるから。
変わりたいのに変わらない人間なんていない。
自分を変えるために私は散々試してきた。
自分のなりたい姿も、自分の嫌な姿も試着してきた。
将来やりたい仕事は具体的には無いけれど、なりたい自分は想像出来る。
今あるものは全て有限だと、何かを失ってからその意味に改めて気づくのは遅いのかもしれない。
だけど悲しみや後悔でしおらしくなった自分より堂々として笑っている自分の方が好き。
私の父も後者が好き。
心がカサついている日は、顔だけじゃなくて心にも美容液塗れたらいいのにね。
いつでもいいけれど、いつかは誰かの心にも美容液塗りたいね。