ミャンマーローカル流弾丸バスツアー_vol.2
土曜日5時30分
しっかり目の朝ごはんを食べ終わり、お店の近所をウロウロしていると、「マキコさん、トラック乗り場に行きましょう!」と、一行はぞろぞろと移動します。
ふもとの街キンプンから、チャイティーヨーパゴダに登るためのトラック乗り場です。バスじゃありませんよ。4tトラックの荷台に人が座るための板が渡してあり、そこにぎゅうぎゅう詰めになって乗るのです。
朝6時の出発に向けて、かなり多くの人がトラックに乗り込んでおり、また次のトラックを待っている人も沢山いました。
くねくねとした山道を猛スピードで飛ばし、年に何台かはトラックが山道から落ちると聞いていた私は、発車待ちのトラックの荷台で1人ナーバスになっていました。
「トラックが落ちませんように、、、」
「いや、落ちるなんて考えるだけでも縁起が悪い!落ちない、落ちない、私達は無事にチャイティーヨーまでたどり着くんだ!」
「でも…このトラック落ちたら、、妻と子と優秀なスタッフを、夫はいっぺんに失ってしまうのよね」
「ああ、どうせ死ぬなら家族3人一緒の方が良かったな、、」
「そもそも私のエゴで3歳の息子をこんなところに連れてきてしまって、怖い思いをさせて死なせてしまうんだ、、、」
(あれ、いつの間にか、思考が落ちて死ぬ方向に…)
「落ちませんように落ちませんように」
「万が一落ちた場合には、あんまり痛い思いをせずに命が助かりますように」
土曜日朝6時
私が1人陰鬱な気分になっている中、トラックは無情にも山頂に向けて発車しました。
…と、ここで気づいたのですが、あたりは夜があけてもう白々としています。あれ?チャイティーヨーでご来光を見るために早く到着したわけ、、ではないのね。
トラックは、山道を結構なスピードで飛ばします。
ジェットコースターが大好きな息子は大喜び!「ママ〜!ローラーコースタ〜!!!!」と言いながら、口を大きく開けて満面の笑みです。
そして、もっと超ド級の恐怖を想像していた私にとっても、「あれ?たしかにコワイけど、そこまではコワくない」
連れて行ってくれたスタッフによると「前はもっと道が悪かったけれど、今は綺麗になりましたから」との事。
出発前の悲壮な決意はなんだったのか…
30分ほどトラックは山道を登り、チャイティーヨーパゴダの入り口で私達は降ろされました。
そこからは、徒歩で参道を登って行くのです。
もちろん、中には足が悪い人や年配の方もいるので、そういう人には荷物の運び屋や、人の運び屋に頼んで連れて行ってもらう事も出来ます。
歩いていると、
「マキコさん!ここからは何も話さないか、ミャンマー語だけで話してください!」
「外国人だと分かるとお金を取られるので!」
という指示が飛びました。
どうやら、途中に外国人料金を支払う場所があるようです。(ミャンマー人は無料)
私は、まごう事なき外国人なので、外国人料金を支払うのはやぶさかではなかったのですが、せっかくの心配りを無下にするのも悪い気がして、しばらくは笑いを嚙み殺しながら無言で歩きました。
ちなみに、3歳の息子のミャンマー語はほぼネイティブなので特に気にしなくてもまったく問題ありません。
参道から小さく見えるゴールデンロックに期待がふくらみます。
土曜日7時
チャイティーヨーパゴダ到着!
なんて気持ちの良い場所なんでしょう!青い空、目の前には落ちそうで落ちない不思議な岩、ゴールデンロック!
このゴールデンロックには、金箔を買って貼ることが出来ます。ただし、これが出来るのは男性だけ。ゴールデンロックに触れるのも男性だけです。
参加者には男性が2名しかいなかったので、女性陣から託されたたくさんの金箔を彼らが職人のようにもくもくとゴールデンロックに貼ってくれました。
また、ベルを買って奉納することも出来ます。マジックで名前や会社名を書いて、ゴールデンロックの前にある柵にひっかけるのです。
皆、足を片側に投げ出して座り、熱心にお祈りを捧げていました。
一応寺にお墓がある、、という薄い仏教のバックグラウンドしか持たない私は、写真を撮りまくっていました。
ミャンマーのパゴダで私が良いなと思うのが、聖地なのに皆写真を撮りまくったり、お菓子を食べまくったり、お昼寝しまくったりしている事です。
そもそも、日本の神社仏閣でも、作法がよく分からなかったり、なんだかすましてお祈りするのを居心地悪く思ってしまうので、このフリーダムさは私にとっても、とても気楽なのです。
土曜日朝8寺
あっちに行ってみましょう!と、はじめにのぼって来たのとは別の参道へ。
道沿いには、お土産やさんや飲食店がたくさん!
「さあ、ご飯を食べましょう!」とお店に入って行く一行。
あれ?これ何ご飯なの?朝ごはんは4時に食べていたような…
今度は、お米とおかずとスープ、というしっかりした食事をとる一行。
一方、頼んだ炒飯を半分以上残す私。。
そして、皆が、ミャンマーの民族衣装やお菓子など、参道にあるお店で息子に色々買ってくれます。
どうしてこの国の人はこんなに優しいのでしょう。お土産だから…!と言って買ったものをプレゼントしてくれて、お菓子を買いに走ってくれて、息子が眩しそうにしていると自分の帽子を脱いでかぶせてくれて。
そういった優しさは、普段も日々感じていますが、ゴールデンロックのふもとでは、いつも以上に心に沁みました。
日本のバスツアーなら、3歳の息子と2人での参加は躊躇していたと思いますが、迷いなく「チャイティーヨー行きたい」と言えたのも、こんな人たちと一緒だと分かっていたからです。
チャイティーヨーに参拝した事で、目的は達成した気分でいた私、あとは帰るだけかな?と思っていましたが、弾丸旅行はまだまだ序盤だったのでした…
続く。