彼に必要なのは静寂と睡眠だと思った
年末の折、夫が体調不良で寝込んだ。
今年一年いっしょうけんめい働いた、疲れたからだで、合わない食べ物を食べたようだった。
私は、彼がはやくつらい状態から回復できるように、お茶を入れたり、食べられるものはないか聞いたりしたが、なにも飲みたくないし食べたくないと彼は言った。
ハッとして、黙った。
そしてベッドに横たわる彼に、いつものいってきますを言わず、
メッセンジャーに行き先を残して、私はでかけた。
彼に必要なのは静寂と睡眠だと思った。
少し離れた街で外食をして、ひと駅分歩いて帰ってきたら、
すっかり日が傾いていて
彼はオレンジ色に染まって、すやすやと眠っていた。
きっともうじきよくなるだろう。