メ酒'23所感 #8 (Antelope6種+1飲み比べ antelopeについて 他1本)
11月1日~3日に行われたビアキチ基地の2周年イベントにて、滋賀のミードリー・Antelope8種が提供された。元々昨日行われたICCの参加者を調べていた時、haccoba,稲とアガベ,阿部やHINEMOSが名を連ねている中、Antelopeというミードリーの名を知り求めていったのがビアキチ基地だった。
マニアックなビール・シードル以外にも、翔空Lagoonやハッピー太郎などの福岡では珍しいクラフト酒も揃い角打ちができるビアキチ基地には幾度となくお世話になっている。
Antelopeはミャンマー産の蜂蜜を使用し、ホップや国内の農家の原料を用いクラフトミードを醸す。ミードというものに初めて触れる私は、ミードを味わうものさしが無く、かなり広く杜撰な感想となっている点を付記しておきたい。
・What Churchill Said / ジュニパーベリーとライムのミード
ジントニックにインスパイアされた、ジュニパーベリーとライムのクラフトミード。微かな密の香りとライムの凝縮感ある酸味、白胡椒のスパイシーなニュアンス。6種の中で一番上品な甘さのある味わい。
・Kinoshita / ピンクグレープフルーツと唐辛子のミード
名古屋にあるメキシコ料理店「Kinoshita」とのコラボ商品。
辛口白ワインを思わせるドライさとピンクグレープフルーツの苦みのアクセント。唐辛子の辛さとそれらが織りなす爽やかさ。スモーキーさも感じられる、副原料の組み合わせが面白い一本。
・Antelope Sling / パイナップルとチェリーのミード
シンガポールにある「ラッフルズ・ホテル」のバーで提供される「シンガポール・スリング」というカクテルになぞらえたミード。
アンバー色のロゼワインのような外観に、甘い焼き菓子のような香り。しかし、味わいはドライによっており、チェリーとパイナップルの甘みが微かにしかし確かに感じる。外観・香りと味わいの差が面白い。
・Giou -祇王 / 蜂蜜のみを使用したドライなミード
醸造所のある土地にちなみ蜂蜜のみで醸したドライミード。
シンプルでドライな味わいとすっと消える後味。構成要素は少ないながら奥に複雑みが垣間見える。ドライ系のミードでは一番好み。
・Ben's / ベンさんの畑の完熟カボスのミード
思ったよりもドライで、ほかのものに感じていたガス感も無い。
カボスの鋭い酸味だけが残り、甘みは控えめ。カボスの苦みも感じられ、
蜂蜜のお酒である点がほぼ出ていないよくわからないお酒。
・宮本 / ブラッドオレンジのミード
愛媛県は宇和島にある宮本農園さんのブラッドオレンジを使用したミード。
思ったよりオレンジの味わいは遠く、ドライさが際立つ。
あまりブラッドオレンジで仕込んだことの意味が感じられない味わい。
・MI CASA, SU CASA / マンゴーのサワーミード
飲み比べから日は空き、11月末仕事場近くの酒屋に行くと4月発売のAntelope マンゴーサワーミードが。滋賀県石山駅から徒歩5分のところに位置するBeerCafe Mi-casaとのコラボミードAntelope。Antelopeの中では数少ない極甘口タイプのミードだ。果肉とともに半年間バーボン樽でバレルエイジされ、茶色く不透明のうすにごりタイプ。濃厚な蜂蜜由来の奥深い甘み。完熟メロンのような甘味も感じる。樽熟成由来のヴァニラ香、ナッティなニュアンス。リッチなマンゴーの甘みが後を引き、余韻が心地よい。口にしばらく含むと酸味も十分感じられ、素晴らしいバランスを保っている。これぞ私の理想のミードである。
・Antelpe所感
世界最古の酒''ミード''。蜂蜜+副原料で可能性を拡張するAntelope。クラフトミードというものを飲んでとても勉強になったと同時に疑問に思うこともたくさんあった。
蜂蜜という甘みが何よりも特徴の原材料でドライなミードを作るのか。甘みを抑え食中酒としての機能性を持たせるにしては、蜂蜜の利点が死にすぎている感じがある。同じ醸造酒として、ワイン・日本酒と戦っていくためには蜂蜜にしかできない味わいをめざすべきではなかろうか。上記のバレルエイジのマンゴーミードなどはクラフトミードの面白さの最たるものであろう。
国産・海外産の蜂蜜の産地違いや、花ごとの蜂蜜の味わいの違いなどを探求していってもいいのではないかとも思った。もちろん熟成にも適しているだろうから、古酒としても展開できるだろう。まだまだ可能性がありそうなミードの世界。先日Antelopeがイベントをしていた、神の液体と称されるSuperstition Meaderyのものもぜひとも飲んでみたい。
今後のリリースは甘口めが続きそうなのでぜひ追っていきたい。
・BIRA91 MALABAR STOUT
-Bira91(インド・デリー)
インドのスタウトビールと聞くと大変危うく魅力的な響きをしているが、それはインドという国のエスニックで伝統的な面と、ビール(しかもスタウト)の相性の悪さからくるものであろう。怪しさ満点な黒い液体は、なんてことはないジャケット通りの地元産のコーヒー豆を使用した、ライトなスタウトビールであった。Bira91は2015年に創業し、現在15ヵ国以上に輸出されている大手ブルワリーだ。その実態は日本のキリンの協力を経て、低カロリーや有機原料のみを使用したビールなどを開発する国際的な企業である。
味わいは黒糖やコーヒーを経由する苦みと甘みに、ライトな飲み口。さらりとしたテクスチャとビールのガス。ミスマッチ感のある要素がバランスよくまとまった一本だ。