【中米貿易戦争】米、関税25%引き上げを正式通知。激化する令和の冷戦
米通商代表部(USTR)は8日、2千億ドル(約22兆円)分の中国製品に対する制裁関税を10日に現在の10%から25%に引き上げると官報で正式に通知した。今後は通知を修正しない限り、家具や家電など約6千品目の輸入品を対象とした追加関税が上がる。
これに対し、中国も対抗措置を取る方針を表明した。9日からの閣僚級協議に向け、米中の最終攻防が激しさを増している。
背景:中国の交渉白紙化
中国政府は米中貿易交渉の合意文書案の全7章に修正を加え、今月3日までに米国側に提示。合意文書案は150ページ近くに及ぶが、中国政府が加えた修正はこれまでの交渉を白紙に戻すような内容だったという。
さらに中国は知的財産・企業秘密の保護、技術の強制移転、競争政策、金融サービス市場へのアクセス、為替操作の各分野で問題解決に向け法律改正を行うとの約束もほごにしたとみられる。
市場の動き:両国妥協への期待
8日の米株式市場でダウ工業株30種平均が3営業日ぶりに反発した。終値は前日比2ドル高の2万5967ドル(速報値)。取引開始直後に同76ドル安まで下落したが、午後は一時153ドル高まで値を戻した。米政府は中国製品への制裁関税を25%に引き上げると正式に通知したが、9日に始まる米中閣僚級協議への思惑から買い戻しも入り、売買が交錯している。
9-10の訪米
劉鶴副首相は通商協議のため9ー10日に訪米する。
戦略国際問題研究所(CSIS)のスコット・ケネディー氏は、両国の交渉が微妙な局面にあり、すべては劉鶴副首相の提案にかかっていると指摘。トランプ政権は本気で関税を引き上げる意向で、劉鶴氏が訪米を決意したからには、相応の提案を用意してくると思われると述べた。
総括
市場の期待とは裏腹に、貿易に対する攻防は激化している。
今回の関税引き上げについては除外条件があり、9-10の訪米でこれの範囲がどうなるか、
中国がこの通知を受けて出す報復が何か、が激化のボラリティに左右する。
楽観論としては、9-10日の訪米で、なんらかの妥協が出されるかが、今回の騒動の鍵を握る。
妥協が出れば市場は再度リスクオンとなり株価上昇、出なければ更なる混乱でリスクオフとなると予想する。
いずれにしろ、今回の騒動は本当に先行きがみえないので、引き続き監視が必要です。
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