貿易戦争の緊張感緩和も、不振の欧州、景気判断引き下げの日本
16日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は、主要企業の好決算を背景に3日続伸し、前日比214.66ドル高の2万5862.68ドルで取引を終えた。ハイテク株主体のナスダック総合指数は75.90ポイント高の7898.05。
ダウ平均の構成銘柄である通信機器のシスコシステムズと小売りのウォルマートが好調な四半期決算を発表したことを受け、投資家の間に買い安心感が広がった。朝方発表された米住宅着工件数などが市場予想を上回ったことも買いを誘った。上げ幅は一時300ドルを超えた。
中米貿易戦争に揺れる市場だが、出尽くし感があるのか、この日は決算と経済指標のみ注目されたとみられる。
欧州の懸念拡大、英国とイタリア
中米貿易戦争の緊張感が緩和されつつあると思いきや、今度は欧州の懸念が拡大してきた。
一つは英国のEU離脱だ。
英与党・保守党の議員で構成する「1922委員会」のグラハム・ブレイディ委員長は16日、メイ首相が6月上旬に退任時期を示す意向だと明らかにした。
グラハム・ブレイディ委員長はメイ首相らとの会談後、「新たな党首選のタイムテーブルで合意するため、協定案採決後に首相と会談することで一致した」と述べた。会談は協定案の結果にかかわらず行われるという。
もう一つがイタリア懸念だ。
ニューヨーク外為市場では、来週に迫った欧州議会選挙に対する懸念が重しとなりユ ーロが対ドルで約1週間ぶりの安値を付けた。
欧州議会選を控え、欧州連合(EU)の財政規律を連日批判しているイタリアのサル ビーニ副首相は16日、自身が党首を務める「同盟」が欧州議会選で順調に票を集めれば 、イタリアの「首を絞めている」規則を「破り裂く」と発言。
消費税増税延期の始まりか
日本にも動きが出てきた。
日本政府は、5月月例経済報告で、景気の総括判断を引き下げる方向で検討を始めた。米中対立の激化で輸出・生産の回復時期が後ずれする可能性が出てきたほか、20日に公表予定の2019年1─3月期の国内総生産(GDP)1次速報が、前期比マイナスとなる公算が大きく、これまで堅調だった設備投資や消費も下振れつつあるためた。関係筋が明らかにした。
総括
中米貿易戦争による経済的打撃はこれから出始めるでしょう。
日本政府の景気判断の引き下げは、その影響の始まりです。
そして、この貿易戦争は欧州と日本も次のターゲットなのです。
出典
共同通信 5/17 NY株続伸、214ドル高 好決算で買い安心感
ロイター 5/17 ユーロ下落、欧州議会選控えイタリア懸念増大=NY市場
ロイター 5/17 英首相、6月上旬に退任時期表明 EU離脱協定案採決後に
ロイター 5/16 政府、月例総括判断引き下げへ 米中対立長期化受け=関係筋
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