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脱サラして、スタンダップコメディアンになって、8年が経って、35歳になった。

今から8年前の27歳の春、僕は新卒で5年間働いた会社を、"社内の誰からも止められることなく"退職した。

そして、世界で活躍するスタンダップコメディアンになるべく、コメディー留学のため渡英し、イギリスで約1年間コメディー漬けの日々を過ごした。

8年前に書いたnoteがこちらである。

イギリスでまず向かった先は、エジンバラであった。毎年夏、スコットランドのエジンバラで開催されているコメディーフェスティバルに行き、そこでコメディーのワークショップを受講したのだ。
その時に書いた記事がこれだ。

27歳の頃の僕が想像していた8年後の自分は、世界を股にかけて活躍するスタンダップコメディアンであった。
が…しかし、35歳になった僕は、浅草で訪日外国人観光客相手に超小規模なコメディーショウを催し、小金稼ぎをしている。

”人生はそう甘くはないのである”

と言いたいところだが、実際はこんなものなんだと思う。
一人前のスタンダップコメディアンになるには、英語ネイティブのコメディアンでも10年かかると言われているのだから、第二言語で英語のコメディーをやってる僕は、その倍の20年くらいはかかると言える。
(そう思うと、先が長すぎて、目が眩む)

8年前の僕の人生設計が甘すぎたと言えるだろう。

ただ、その当時は、そんな夢を見ないと、会社を辞めて、コメディアンの厳しい世界に飛び込む決意ができなかったのである。

8年前の自分が8年後の自分の今の現状を知ったら、会社を辞めてなかったかもしれない。それくらい理想と現実のギャップは激しいのだ。

ただ、現在、どうにか、海外向けに日本を発信しているYouTubeも登録者18万人を超え、日本好きの外国人の間で少しづつ認知されてきていることは嬉しい。(8年前の僕は、8年後、YouTubeの登録者は100万人越えしているに違いないと思っていたが…)

思えば、イギリスから帰国してからの日々は、サバイバルであったと思う。

浅草の中国人オーナーが運営する、月30,000円の4畳半に二段ベットを二つ置いた4人部屋で、同居人と狭い部屋をシャアしすぎなシャアハウスに住むところから日本でのコメディアンライフは始まったのだ。

部屋にはトイレはあったが、水道はないという構造であった。
しかし、誰一人そこには不思議と違和感を感じていなかったのである。
普段から同居人達はトイレの後に手を洗う習慣がなかったのだ。
現にそのシャアハウスから出るときに、部屋に水道がないことに気が付いたほどである。部屋中、菌だらけだったに違いない。

その後、浅草橋のLittle Japanというゲストハウスで、住み込みのオープニングスタッフとして働き、毎日のようにまかないのカレーを食べていたら、
体からカレー臭がするようになったこともあった。

ちなみにゲストハウスでの一番の苦労はトイレ掃除である。欧米の外国人さん達は、あれのサイズがジャンボなようで、トイレを詰まらせることがよくあった。さらにトイレの操作がわからず、脱糞を撒き散らし、放置する事件が頻繁に起こっていたのである。

ちなみに我々は、アメリカ人が糞を撒き散らし、逃げ去った後のトイレのことを”アフガニスタン”と呼んでいた。

一度、トイレの天井にうんちが飛び散っていたことがあり、
我々の間で「奇跡の天井うんち」という名で、伝説として語り継がれている。

そんな中、幸運にもLittle Japanで住み込みで働きながら、スタンダップコメディーのイベントを開催させてもらうことができた。

当時、「数年後、超ビッグなショウを日本でやってやる」と固く決意しコメディーショウをLittle Japanで始めたが、8年経った現在、いまだにLittle Japanで超リトルなコメディーショウをやっているというのは衝撃である。

リトルジャパンでのコメディーショウ

再び言いたい「現実はそう甘くはないのである」。

余談であるが、現在月一回、日本語のスタンダップコメディーのオープンマイクという、誰でもコメディーに挑戦できるイベントをLittle Japanでやっているので、よければ是非、遊びに来てください。

他にも色々なバイトをやった。

浅草の朝のジムで、プールのライフセーバーとして働いたこともあった。
当時の自分は人生がうまくいかず、もがいて溺れていたにもかかわらず…
正直、ライフをセイブして欲しいのは、僕の方であった。

コロナが明けて、2年くらい前から、ようやくコメディーの稼ぎが増え、
少しつづ生活ができるようになってきた。(超不安定であるが)。

これも全て円安のおかげである。

僕のコメディーのチケットは外国人観光客向けに、ドルで販売しているので、日本円に換算するとぼったくり価格での販売が可能なのである。
(他のインバウンド事業者と同様に…)

そして、今年の夏、スコットランドのエジンバラのコメディーフェスティバルでのソロコメディーショウの枠がとれたので、8月1日から25日まで毎日パフォーマンスする。
スコットランドは"英語圏"の国ではないので、彼らの言語が理解できるか不安ではあるが….

エジンバラコメディーショウ

おそらく、この8月の1ヶ月で大きく人生が変わる事はないと思うが、
とにかく楽しい1ヶ月を過ごしたいと思う。

そういえば、会社を辞めて、コメディアンになった理由は、
人生を楽しみたいからであったことを思い出した。
毎日、満員電車に乗り、好きでもないことをするのが辛くて、
自分の好きなことをして生活したいな〜と思ったのだ。
(そして、好きなことをして生活していく厳しさを知ったのであるが..)

会社を辞めてから8年が経ち、なにわともあれ、日本に住みながら英語のコメディーで稼げるようになり、SNSのファンも増え、ファンの人達がコメディーショウに来てくれるようになった。
そして、今年の夏に憧れのエジンバラフェスティバルにコメディーをしに行くことができる。

なんだかんだ、「現実は実は甘い」のかもしれない。




















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めしだ
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