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V系バンドのライブに通ったら推しが手を繋いできた話【0.1gの誤算 】

2023年12月16日(土)、もう今年のクリスマスも一週間後には終わっているというのに、大阪の最高気温は20度を越えている。ふわっふわの上着を抱えたまま、地下鉄の階段を登る。

今年の2月に生まれて初めてV系ハンドのライブに行って、カルチャーショックを受けた私(わたくし)、本日は人生4回目のV系ライブでございます。もちろん全て『0.1gの誤算』でございます。

今日の会場は梅田にあるバナナホール。ロックバンドのライブに行くことが人生の私にも馴染み深いライブハウス。終演後は混雑するためバナナジュース交換できないらしい。残念だが仕方ない。また今度飲めばいいや。
流れるように入場して開演を待つ。3回行ったけど、まだ怖い。この時間も怖い。浮いてるんじゃないか?どう思われてるのか、考えないようにする。

何とか耐えて、始まった。ステージ出てくる人間全てが、一人一人がかっこよすぎる。毎回毎回思わず立ち尽くしてしまう。ビジュアル系バンドが何故か生粋のロックキッズの私の目の前に居る!すごい!!
皆さん衣装がとても似合ってる。
振りがわからない。ノリがわからない。でもワチャ系バンドで鍛え上げられたノリで必死でついていく。ヘドバンの仕組みもまだわからない。ロックバンドのヘドバン=折りたたみしか知らない。でも首がどうなってもいい、とにかく頭を振りに振る。ステージが何も見えなくなる。止めるタイミングだけ周りと合ってきた。
ボーカルの緑川さんが客席に飛び出してくる。ダイブしてくるタイプのボーカルを支えるの得意ですよ、私!そんな習性があるボーカル知ってます。ボーカルしかダイブしてこないのも一緒。スニーカーの下に地面を作るイメージで支える。その下に誰かの手が重なり始めたらそれは地面になります。
本編はきれいに終了する。

アンコールその1。ここからが本編だと言わんばかりに緑川さんが暴れまわる。ライブハウスのフロアの端から端までが俺のステージだと言わんばかりに、お客さん一人一人を煽っていく。これは正直、どんな無茶苦茶をやるロックバンドでも出来ないことだ。色んなライブを観てきた。常に全力を見せてくれるバンドでも出来ないこと。それをこの人はやっている。ビジュアル系バンドなのに、というと失礼過ぎる。失礼過ぎることを承知で言う。
こんなに売れようとしてるバンドマンは居ない、と思う。少なくともここまてお客さんに見える形でやっているバンドマンは見たことがない。私が大好きなのはロックバンドである。それも泥臭く馬鹿正直なロックバンドが大好きだ。でもジャンル関係なく、バンドの素晴らしいところって一緒なのだと本気で思う。そこに私は同じように惹かれている。
誤算と出会って約1年経った。Youtubeをやってくれていたから出会うことができて、ライブに来て欲しいという想いと初心者でも大丈夫という安心をくれた。
だから今、私は全く知らなかった世界を思いっきり楽しんでいる。ありがとうございます。バンドはきっともっと広い世界に出ていくと確信させてくれるライブだ。来る度に確実に良くなっている。バナナホールを完売させるバンドはなかなか少ない。

アンコールその2。まだメンバーもお客さんもそんなに体力あるのかと信じられないくらいの盛り上がり。ロックバンドのライブでつけてきた体力で全力で参加する。モッシュ後も元の形に戻ると言う性質を持つバンギャたちも、もう元の位置がどこかわからなくなっている。私も気がつけばかなり前に居る。首を酷使してついていく。何でそんなにバンギャに頭振らせようとするのかは、まだわからない。でも、メンバーの皆さんもバンギャの皆さんも嬉しそう。ヘドバンまだよく理解できない文化である。

今回は物販は買わない!という意思を固めてきたが、やっぱ今日の衣装が素敵すぎる。チェキだけ買わせてください、と場内に残ったものの、全く列がすすまない。お金も時間ももったいないし、もう諦めて帰ろうかと何度も思うが、もう30分並んでるからな~となんとなく並び続ける。9月の大阪公演に都合がつけられず、しばらく来れなかったうちに撮影券の販売は無くなったらしい。チェキの当たりが出た人だけ参加できるということ。確実にバンドが売れてきている。素晴らしいことだ。
撮影会、それは未知の世界。考えたこともない。メンバーとツーショットが撮れるらしい。なんと恐ろしいことか。今まで撮影券を買おうとも思ったことは無い。絶対に当たらないと思うが、万が一のことを考えてチェキは2枚だけにしよう。
それなのに、物販のスタッフさんの無慈悲な言葉。
「チェキ1枚当たってますので撮影券お渡ししますね~、はい次お待ちの方~」

とりあえず、とりあえずだ。2枚のチェキは、欲しかったメンバーが出なかった。外に居るバンギャさんとサクッと交換する。このまま撮影券もあげようか?ね?そしたら私もう帰れるから。ね?バンギャさんも喜んでくれるかもやし??
でも、あげる前に撮影会の会場だけ覗いていくか~。めっちゃ並んでるな~。わりと当たるんやね。こんなん撮影券が無料になっただけでは??え????無料でツーショット撮れるの?もったいないんちゃう??元が何円やったかも知らんけど。
そろりそろりと会場を覗くと、メンバー毎に列ができている。撮影している場所は隠されているが、そこに勝手に並んだら参加できるっぽい。やだー!並んでしまった!

列が短くなってくる。体が震えている。何てことをしてしまったのか!後ろに並んでいる人に撮影券あげたらこの人が2倍撮れるのかな?永遠に順番がこないよう願ってしまう。思わず振り返り、とても穏やかな淑女バンギャさんに思いきって話しかける。
「これってどういう仕組みですか!??!」
お姉さんは笑って答えてくれた。
「撮影券と自分のカメラ渡すだけです。あとはお任せで大丈夫ですよ!」
ほほほほほんまか!?おまかせで?ええんか!!!
「撮影会初めてで何もわから……ずありがとうございます」と何度もぺこぺこ。
でも、ほんまか!?大丈夫ですか!

「眞崎の方どうぞ~」
Youtubeで観たことあるスタッフさんの声がする。
そう、私はベースの眞崎大輔さんの列に並んだ!正直、緑川さんと悩んだ。でも、なんか好きで……。特に笑うと歯と歯茎が見えるとこがなんかがとてと好きです。
ライブでも何と笑顔の素敵なことか!

用意された机にビニール傘を置いてブースへ向かう。めっちゃ狭い空間に下手ギターの水田さんとバンギャが押し込まれている!それはまるでシルバニアファミリーの人形のパッケージの様に。
その隣のパッケージに半分スペースを空けて立っている!2次元かと思った。撮影券の紙をあわあわと見せる。紙切れにさえ優しいんかというくらいの笑顔で受け取ってくれた。 
何も言わない私に大きい目が見える。白目が美しいとカラコンってこんなに素敵なんですね。
隣のスペースに誘導し、隠キャをきれいに収納してから話しかけてくれる。
「ライブ初めて?」
私の返事に欲しい言葉をさらさらと回答していく眞崎さん。彼らはプロです。長年の経験から習得されている職人の仕事です。
私のスマートフォンを右手で受け取った流れで、左手が私の右手を取る!!!手が温かい!
怖い!!!!!!いや?!怖くはないぞ!!優しいぞ!その優しさが怖いぞ!
手が温かい!?ということは私の手が冷たいのか?いや、この方はさっきまでかなり激しいライブをされていた。きっと暑いだろう。しかも、今この世の誰よりもお疲れのはずだ。しかも明日も名古屋でライブをされる。移動も自らされるだろう。なぜそんなに人に優しくできるのか。これを毎回されているのか。なぜ。
そのまま繋いだ手をフレームインさせて写真を一枚。
「またライブ来る予定ある?次の大阪来てくれるの~!またね」と言ってくれるので、ぺこぺこしてさっさと立ち去るしかできない。申し訳ない。大変なお仕事である。
ビニール傘を取りに戻ると、順番がきたさっきのお姉さん。目があってニコッと笑ってくれる。また、私はぺこり。地下鉄の駅まで走った。今さっき申し訳ないなんて思ってたのに、驚いたことに、自分は笑顔。走りながら笑っている。

0.1gの誤算、ライブ行きましょう。

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