【MERY Lab】働く意欲高く、上昇志向強く、利他的? MERY調査で見えた現代女性の仕事観
本コラムはMERY LabがForbesJAPANに寄稿したものです。https://forbesjapan.com/articles/detail/34700
4月15日~4月20日、 “女の子の毎日をかわいく”がビジョンの女性向けメディア「MERY」のアプリ内で、「興味関心、仕事観に関するアンケート」が実施されました。現代女子の仕事に対する考え方を調査するアンケートに、合計1733人が回答を寄せてくれました。「MERY世代」は仕事に何を求め、どんな働き方を理想としているのか。集まったリアルな声を紹介していきます。
「仕事に真剣に向き合う」それがMERY世代の仕事観
今回のアンケートには、幅広い世代の女性が回答。全1733人の回答者のうち、高校生・中学生が460人、大学生が501人、会社員・公務員が597人、主婦が27人、パート・アルバイトが148人と、学生と社会人の回答が多く集まりました。今回は、その中でも若い世代が、仕事を選ぶにあたり重要視していることを浮き彫りにするため、就職を控えた「大学生」と、既に仕事についている「社会人」の回答を比較。それを踏まえ、若者の仕事観について考察していきます。
仕事について「共感する価値観」を聞いたところ、大学生と社会人とで特に大きな差が見られた回答をまとめると、以下のような結果になりました。
大学生と社会人とでもっとも意識の差が大きかったのは、「若いうちは給与よりもいろいろな経験を積みたい」という項目です。大学生の場合は「共感できる」と回答した割合が37.9%だったのに対し、社会人は23.6%で、14.3ポイントもの差がついていることがわかりました。次に意識差が開いたのが「出世したい、バリバリ働きたい」という項目で、12.7ポイントの差がついています。
こうした結果から、現代の女子大生は働くことに対する意欲が高く、上昇志向が強いということができそうです。女性の社会進出や職業の多様化に伴い、就職することをゴールとせず、職についた先に自分が何を成し遂げたいのか、どのように成長していきたいのかまで見据えて仕事を考えているといえるでしょう。
他にも「誰かの役に立つ仕事につきたい」「看護師などの医療従事者になりたい」などで意識差が目立ちました。仕事を通して自分が成長することだけにフォーカスするのではなく、他人や社会の課題解決に対する、より前向きな姿勢が窺えます。
一方で「大きな会社や有名な企業で働きたい」という考えに共感する大学生も多く、一定数、安定志向が強い層がいることも垣間見えます。また、社会人と学生で意欲や理想等の項目で差があるのは、回答者が実際に働いているかいないかという要因ももちろんあるでしょう。
「誰かの役に立つ仕事につきたい」という声が多数
バブル崩壊後の日本を目の当たりにした1990年代半ばから2000年代前半までの就活生は、いつ起きるかわからない景気悪化や、将来への漠然とした不安から、給与や労働時間を重視し、安定した仕事を望む傾向があるとされていました。
しかし、景気悪化も伝えられている状況下での今回のアンケートでは「誰かの役に立つ仕事につきたい」という項目に「共感する」と答えた大学生が、実に半数以上の64.1%。さらに、希望する職種に関して「看護師などの医療従事者になりたい」という項目に注目したところ、社会人の共感率が2.2%であるのに対し、大学生は14.8%と、大きく差が開きました。
新型コロナウィルスの影響の中、医療従事者への感謝が伝えられるとともに、その過酷な現実もありのまま日々報道される現在においての回答です。MERY世代の女子大生は、自分の暮らしを安定させるためだけに仕事をするのではなく、利他的な精神で社会に貢献したいという考えが強くなっていることが窺えます。また、特に進路決定までに時間がある大学1年生(17.6%)や2年生(18.6%)は、医療従事者を希望する人数が比較的多い傾向であることがわかりました。
「社会の課題解決となる仕事がしたい理由」に対する回答(一部抜粋)
大学1年生「社会は私たちひとりひとりが構成するものだと思うので、大きなことはできなくてもその一員としての自覚は大切だと思うから、社会の課題には意欲を持つようにしています」
大学2年生「課題解決に貢献することによって少しでも社会的物事が良い方向に動いてほしいという願いがあるため」
上記のような意見が多かったことからも、社会的な使命感を強く感じている若者が多いことが読み取れます。10歳前後に東日本大震災を経験している今の大学生は、物心ついた頃から予想の難しい社会課題と隣り合わせで生きてきました。今この時も、新型コロナウイルス感染症の流行をはじめ、様々な課題に直面しながら生きている若者たち。調査の結果からも、社会とその課題を自分たちの生活の一部として認識し、仕事を通して解決していくことに意欲的な大学生が多いといえるのではないでしょうか。
一人の女性として輝くために、「好きなことを仕事にしたい」
では、社会貢献に直結するような仕事に興味を持っている大学生ばかりなのでしょうか? 今回の調査では、63.7%の大学生が「好きなことを仕事にしたい」と答えています。これは「誰かの役に立つ仕事につきたい」と回答している学生とほぼ同数。「困難なことがあっても前向きに乗り越えようと思えるから」「好きなことなら自分が輝けると思う」などの理由で、好きなことを仕事にしたいと考えている女子大生が多いようです。特に大学1年生は回答者数176人の内、118人が好きなことを仕事にしたいと回答しました。
仕事はプライベートを充実させるためのものだと考えている人がいる一方で、人生一度きりなのだからプライベートと仕事のどちらも充実させたいと考える大学生が多くなっているのではないでしょうか。
こうした傾向は、MERYの人気記事からも感じ取れます。美容や自分磨き系の記事の人気が高く、「自分磨きは『自分ノート』で!いつも笑顔で前向き女子になること間違いなし♡」という記事の閲覧数はなんと19万ほど。また、「『ここが私の好きな場所』と言えるように。お部屋がオシャレに見える4つの魔法」などのライフスタイル系の記事も注目されています。これらMERYのトレンドからも、イマドキ女子は日々を充実させるために意識を高く持ち、好きを追い求める傾向にあるといえるのかもしれません。時代の流れから読み解く、注目キーワードの経年変化
仕事に関して気になるキーワードについて調査したところ、以下のような経年変化が見られました(※2019年と2020年の調査を比較)
昨年に比べ、「フリーランス」や「副業」など、正規雇用以外の働き方を示すキーワードが注目されていることがわかります。また、2019年から2020年にかけて圧倒的な伸び率を見せているキーワードが「リモートワーク」です。新型コロナウイルス感染症に対する緊急事態宣言が発令されたことを受け、2020年4月から多くの企業で在宅勤務が取り入れられたことがきっかけとなり、大きく注目度があがりました。
また「社会貢献」や「成長意欲」というキーワードへの関心も高く、冒頭のアンケートと似たような傾向が見られました。その他に「女性の活躍」なども去年に比べ注目度があがっています。
働き方改革が進み、世の中の価値観が大きく変わっている現代。女性が働くのは当たり前のことになりつつあり、産後に復職できる会社や、介護や育児をしながら働けるような体制を整えている会社も増えました。また、ネットワークの発達で、ECサイトの立ち上げや、クラウドワーカーとしてイラストを描いたりデザインを提供したりと、「好きなことを仕事にできる」機会が増えています。
今回の調査結果では、自分の欲求を満たすことよりも、社会課題の解決を優先する人や、他者を優先する人が多い傾向にあることも特徴的です。基本的にモノや情報が簡単に手に入る世の中で生まれ育ったからこそ、「自分の生活を支えるための仕事」という考え方から、社会的な課題の解決や、誰かのためになる、などを目的に仕事を選んでいる若者が多いといえます。
働き方に多様性や柔軟性が生まれている現代で、若者は「欲がない」「安定志向が強い」「控え目でおとなしい」などと思われがちですが、今回のアンケートでは若者の仕事に対する能動的な姿勢が印象的でした。多くの若者が「自分らしく、誰かのために」を両立させることこそが、人生を充実させるポイントであることに気付いているのかもしれません。
【調査概要】
調査手法:MERY内アプリ調査
<2020年度調査>
2020年4月15日~20日
回答者数:1733
<2019年度調査>
2019年4月22日~28日
回答者数:262
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