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常識は変わる(Ⅳ)


常識は変わる(Ⅲ)の つづきです。


◆「しゅりょう」の符合


「シーズ:ニーズ」、「プロダクト-アウト:マーケット-イン」
懐かしい語呂集。我々の研究室にて、そういった論議が頻繁に飛び交うようになったのは、1971年頃(50年以上前)でした。

シーズ、ニーズを二項対立でとらえるようになった新時代。

当時は新鮮な論議であったと言えるし、ニーズ思考を意識していったものです。
しかしいま、その見方の常識が変えられる時期でもあります。

という感性が生まれても不思議ではない、とする予感もします。

物事のニーズを、杓子定規に決めつけようとしても限界があるわけです。
しかし、常識は変えるべき、とする革命が起きて不思議ではありません。

進化は革命のようなもの、革命は進化のようなものです。

当時導入しはじめた機能設計法やワークデザイン法にしても、思えば、コスト研究をするうえでそれがとても便宜的で効果的であることは否定できなかったのです。
(未来のニーズを当てっこをすることとは、異質の意義があるのです)

ニーズ思考はけっして、顧客ニーズを予知/予言することではないわけです。未来を決めつけるような幻想論で、経営リスクを高じらせるのは好ましくありません。

紛れもない事実、それは、顧客の真意がどうかは顧客が決めることです。

企業が、供給する立場であるかぎり、何をニーズとするかは「セールスポイント」の表現によって代用するのみです。これは、いっぽう的に宣言すればいいのです。

トレンドだ、流行りだは、ニーズというよりノベルティ斬新さ)が主要素であって、それを提供した結果、後からニーズが浮かび上がってくるだけです。

リサーチをしても、過去を分析しても、それは同じことです。
(オーダーメイドのばあいは、まったく話はべつです)

ニーズ思考は、予言ごっこではないのです。
予言ごっこや流行りに迎合して、日本の実物経済は上昇したのでしょうか。

あるいは、ニーズを確定できる神さまが実在するのなら、30年ものあいだGDP(国内総生産)が停滞することなどなかったのです。これからも。

すべては、商品企画の意思決定の瞬間にあります。
企業は常にノベルティを提供する立場であることは、謙虚に正しく認識すべきです。

さて、遅くなりましたが、本題に移ります。

はじめに、結論的にみるなら
「シーズ:ニーズ」、「プロダクト-アウト:マーケット-イン」については
シーズ×プロダクト-アウト」に問題があるわけではないのです(^^)v
(それが50年間に落ち着いた私見的結論です)

球技に「球」がなくては成り立たない常識と同じく、事業にニーズ設定がなくては成り立たないことは常識であり、その点を見落とすことなどまさかないでしょう。

ここではあくまでも、競争圏外での自立性を推したいのが目的です。
ニーズ創造には、「ノベルティ」に自信の全力を注がなくてはなりません。

……
ただし、未来の予知とそれにマッチするニーズの予知ではなく、生活の前提条件を明確にし、それにマッチさせるための「コトとモノ」の「機能設計/ワークデザイン」が重要、なのです。
経営はギャンブルではないからです。
……

前提条件にマッチさせるニーズ創造/需要創造には、「予知ではなく潜在性/可能性(≒ディナミス)≡seed」をもとに構想すべきなのです。
それがニーズ創造風土となり、堅実経営健全経営成長経営の基盤づくりとなるのです。

堅実、健全、成長を求めるなら
自然な流れ「seeddeedfeedneed」による現実的な志向性を貫くことになります。
志向性とは、「設定と検証」の繰り返し(keep)をいいます。

すなわち「コトとモノ」を創造するプログラム展開
【C】大切な「seed」:発想のノベルティ≡固有かつ特有ネタ
 ⇩
【A】大切な「deed」:行動のノベルティ≡しゅ再思索
 ⇩
【P】大切な「feed」:供給のノベルティ≡用役としての売りの構想
 ⇩
【D】そして「need」:自立のノベルティ≡かて機能設計
⇩(go to 【C】)

ここで【C、A、P、D】はマネジメント-サイクルの変則モーションです。
(それぞれの展開プログラムについては略します)

これを「eeサイクル」とよび、独自路線づくりかなめとなります。

事業とは何か、でしょう。
それは
事(こと)」と「業(わざ)」ということになるのです。

「事」は「eeサイクル」で追求するノベルティであり、「業」はそれを具現化する技術プロジェクトであるということになります。
ただし
二つを結合するには、環境要素としての「調和」が必要です。これが具現化できるか、大きな課題なのです。

それがあって、業界全体の繁栄と成長が連動可能となります。
その「調和のはかり方」を以下に述べておきましょう。

◆二元論と次元サイクル


もはや経営というのは、一企業単独で語れるものではないようです。
単独で語ろうとするから、競争原理思考の呪縛に囚われてしまうのでしょう。

経営を考えるうえで、競争圏内のみで考えるのでなく、一段高い次元で考えることによって、業界もそれなりの効果を産むことになります。
成長経営に期待されている景色とは、そういうことでしょう。

企業社会がそうなることは、生活社会にとっても思わしいことです。
好調な企業のそばに不調な企業がいることを、だれも望んではないのです。

皆で成長する——なんと素晴らしい業界のあり方でしょうか。
それが経済成長の本質というものでしょう。

日本書紀 崇神紀「農(なりわい)は天下の大きなる本なり」とあり
自然に働きかけて、自然からの恵みを手に入れることを意味するそうです。農業のみならず、工業にもあてはまるとするのです。

そもそも事業とは、生業がもとでしょう。
経営のミッションは、生態系に通じるシステムをもって成し得るもので、それを忘れては、生活社会の豊かさを失うことになると言えるでしょう。

業界が、企業が能動性を発揮すれば、働く人も前向きになるものです。

ここでは実体経済と内需圏内を前提に述べているのですが、少なくとも国内の枠組にあるかぎり、豊饒ほうじょう(肥沃な土地)と豊穣ほうじょう(五穀豊穣)」による豊かな業界・産業界であってほしいと考えるのです。

政治の力で財源の工面だけに心血注ぐばかりではなく、今後は、そのもととなる業界、産業界が、みずから経済基盤を構築すべきときではないでしょうか。

そこでの基本課題が「種糧しゅりょう二元論」でしょう。
しゅは、生物は、食すもの(かて)やその食し方で「しゅ≡類」を分類されるのが、ここでいう事業のしゅと言えるでしょう。

この事業構造・産業構造のもと、しゅ独自のパイを可能にするのです。

ところで、経営を考えるうえでの「全体的見地」とは何をさすのでしょうか。
それは、以下のアイテムをクリアできる業界環境でしょう。それは食物連鎖のようなピラミッドをもって形成されるしくみといえるでしょう。

——ピラミッドの頂点側——

好循環構図≡「好売上と好対価」を中心点とするシンメトリ構図
⇩⇧
個別最適と全体最適のバランス≡循環律尊重の原則
⇩⇧
eeサイクル≡「事・業」のサイクル≡しゅの交替
⇩⇧
ノベルティの探索≡連想法の拡大≡突然変異の創造

——ピラミッドの底辺側——

このピラミッド効果を介して生まれるのが「次元サイクル」です。
(ただし、経営が好調(好売上と好対価)なら、それ自体で好循環に参加できていることになります)

つまり、業界において全体が好循環構図に参加する原則のもと
相互に他の独自路線を尊重し共存共栄の関係を保つことになるわけです。それが「調和環境」です。

その成果による好循環によって、購買力の高い企業環境が構築されるのです。


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