22:隣のベットでコロナが出て最終開き直った話
(画像はこのとき入院した病院のごはん。)
ストレッチャーに乗せられて運ばれた先で着いたのは古い病院だ。指が反り返り自分の意図とは違う硬さで硬直したようになっていた。吐き気が止まらずかといって吐くものも胃の中に無く頭痛もはんぱない。吐き気止めの点滴を打たれてしばらく横になる。
てんかん発作だということだった。また脳梗塞が起きたかと思ったが違うようで少し安堵したが脳梗塞を患った人は後遺症でてんかんが出る事も多いらしくまた嫌な症状が1個増えたな…と思った。そうこうするうち指の硬直は治り、強い眠気が来る。それにしても一向に病室に連れていかれないし病室まで乗っていくはずのストレッチャーの上に放置されたままだ。なんだか外が騒がしい気がするが激しい疲労と眠気でそのまま意識を手放した。
目が覚めると激しくせき込む声が聞こえた。とにかく尋常じゃない激しい咳。私の体はすっかり平常時の感じに戻っておりトイレに行きたかったので看護師さんに付き添われ移動する傍ら隣の部屋がちらっと見えた。45から55歳前後くらいの男性が検温されている。「…熱あるね、やっぱり…ちょっと移動しましょうか。そっちのがゆっくりできますよ。行きましょう。」男性が看護師さんに促される。部屋を移るようだ。私が看護師さんに「となりの人大丈夫ですか?」とたずねると「大丈夫だいじょうぶ陽性がでただけだから」と答える。…この時期、この期に及んで私はコロナが蔓延している実感がなかったが陽性…なだけではなく見るからに発症している方を目の当たりにした。
トイレから戻って男性が隔離先?に移動したあとは大騒ぎだった。まず病室の患者全員に(私も含め)必ずマスクをしたまま外さないように伝えられ、その間にこれは触った、これは触ってないと矢継ぎ早に確認しながら看護師さんたちが男性のいたベッドを片付けていく。「カーテンどうする?」「カーテンはそっち、捨てて突っ込んじゃって」…物々しい、てんやわんやだ。消毒液をこまめにかけるように院内アナウンスが流れるが見た感じハンドソープしかない。認知症ぎみの患者がマスクを外してしまい注意される声を聞いているうちに、部屋にいた患者が全員どこかに移動させられた。うってかわって静けさが訪れた。その部屋に私だけが残った。
夫にこっそり電話する。今あったことを伝えると夫が教えてくれた。…どうやら件の男性は私と同じころ体調不良で緊急搬送されてきたらしく、待合で吐き「熱あるじゃん!熱ある人は入れないでって言ったでしょ!」と看護師さんの一人が怒鳴る声、そして「搬送の時は熱無かったから入れちゃったみたいで…(恐らく救急隊が検温した時は平熱だった?)」などとこちらも大声で受け答える声。その対応の間私はストレッチャー上放置で半ばキゼツしていた時間帯。夫はそのやり取りが私の耳に入って私がパニックにならないように掌で私の耳を塞ぎ続けてくれていたらしい。
「あの人が隣だったの、よりによって」夫が言う。
ここから先は
¥ 200
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?