おうちデート
あ、あ、あ…
どうしよう?
どうしようかな?!
わかんないよ…
ううん、ほんとはわかってた。
こういうことも有り得るって。
だけど、おうちデートに誘われたら…断れないじゃん。
憧れだもん。
エレベーターを4階で降りて、廊下の奥のあなたのワンルーム。
ドアを開く鍵の音にドキドキ。
お部屋の香りが、そのままあなたの香りで、ああ、ここに住んでるんだなぁって思ったの。
大きな窓から明るい日差し。
ブルーのベッドカバー。
本棚に並んでるのは、何の資料集?
「片付いてる!きれいにしてるんだね。」って見回したら
「片付けたんだよ。」
とぶっきらぼうに言って冷蔵庫を開けた。
「何か飲む?座っててよ。」
なんて言われても、どこに座ったらいいのかわかんない。
淡いグレーのおっきなクッションに座っていいのかな。
コンビニで買ってきたアイスを食べながら、一緒に動画見たりして、ようやくいつものように笑えるようになって。
「そうだ。天気がいいから布団、干してたんだ。」
あなたが立ち上がり、窓を開けた。
意外と広いベランダ。
遠くの高架に電車が走るのが見えた。あたしが乗ってきた大阪環状線。
取り入れた布団をあなたがベッドの上にふわりと掛ける。
「ふかふかだね!干して良かったね。」
太陽の香りを感じて笑ったら、
次の瞬間、体が宙に浮いて、気付くとベッドの上に押し倒されてた。
何がどうなって今こんな体勢になっているのか、
まるでわかんなくて、とりあえず頭の中が真っ白になる。
目の前には、何だか妙にずいぶん真面目な表情のあなたの顔が迫って…。
ああ、これヤバイな、キスで終わんない。
どうすんの?
でも、どうにもならないよ。
つか、なんかあなたがすっごくカッコイイんだけど。
すごくすごく素敵なんだけど。
こんなにイケメンだっけ?あなたって。
吐息が熱くて、あなたのほうが緊張してると気付いた。
優しく繰り返すキスのたびに見つめ合って、なんだか嬉しくって笑顔になる。
幸せって、こういう気持ちをいうんだ…。
あなたの背を抱いたら、いきなり太ももを撫でられてビクッとしちゃった。
え?え?
あれ?!胸は?
胸、まだなんですけど。
こういうのって順番あるんじゃないんですか?
映画とかマンガだと必ずこういうシーンでは…
えっ?!スッ飛ばしちゃうの?
えーっ?!
慌ててもがいても、もう離してもらえない。
覚悟はついたのかと自分に問いかけても不安や怖さでいっぱいだけど、
でも、嫌じゃないから。
この腕を離したくない。
もっと抱きしめていて欲しいから。
だから、いいと思うんだ。
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