桑田佳祐「本当は怖い愛とロマンス」
CDには、めざましテレビやCMで耳なじみの「EARLY IN THE MORNING」も収録されるが、
こちらはカップリング。
非常にノリのいい楽しい曲だけど、
めざましテレビではBGMとして使われるので、歌詞まではなかなか聞き取れない。
…聞き取れなくて正解!
「ちょ!朝から…!?
めざましテレビみたいな番組で使われてるってのに…
何を言い出すんですか!?桑田さん!!」な歌詞なのですもの。。。
しかも、フルヴァージョンで聴くと……
中盤以降が、うはー……なことになってて
素敵過ぎっっ…☆
ラジオ「やさしい夜遊び」でフルヴァージョン初オンエアの際は
まだライブ中止も知らなかったので
家族で行く気満々で
お風呂上りだった娘たちも一緒にラジオを聴いたのよね。
……そして……
歌詞朗読、曲がかかって…
なんかもう…親子で聴くには耐えがたいような~~~~~~
いや、聴きましたけどねっっっ
好きですよ、私。「EARLY IN THE MORNING 」
なんかもう毎日、聴いてます。
窓開けてかけるのが、ちょっとご近所にアレかなーと思いつつも、かけてます♪
さて、本題。
「本当は怖い愛とロマンス」の歌詞を楽しんでみましょう。
公式サイトの紹介では
「軽快なリズム、そして非常にポップでメロディアス、底抜けに明るいのに、その中にそこはかとなく切なさを湛える曲調」
…どんなんやねん!?と思いましたが
実際聴いてみると……
なんと言うか…フラットな感じの印象で、「おや?」と思いましたわ。
こんなにフラットに歌うのか?と。
そして、歌詞内容は
「突然女に捨てられた男が女の不可解さを嘆き、唖然としている様子」と公式で紹介されている。
突然の別れに呆然とし、嘆く…
この情景はサザンの曲の大半に用いられている基本モチーフ。
突然、姿を消した僕の女神…
もう一度、振り向いて微笑んでほしい…
叶わない想いに夜の浜辺に一人涙をこぼす。
そういう情景が歌い込まれた曲が大変多い。
そうして、悔いを残す恋の痛みを心の隅に宿す切なさを歌う曲も多い。
例えば、
「Young Love(青春の終わりに)」(1996年発売)では
♪遠く離れた空に忘れ得ぬ女性(ひと)がいる
と恋慕を歌い、
♪知らぬ間に罪を重ね誰かを傷つけた
と自分を責め、後悔を憂う。
その後、大ヒット曲となった「TSUNAMI」(2000年発売)で
非常にストレートに、長い時を経ても心に残る後悔の思いと恋情が、実生活の状態とギャップがあるにも関わらず、
恋の古傷が「魔法が解けない」ように自分を縛り、苦しめることを歌っている。
「DIRTY OLD MAN ~さらば夏よ~」(2006年発売)では、
♪振り向くほどに人生は悪くない
と前向きに、等身大の自分を歌う。
そして、桑田さんのソロ曲「明日晴れるかな」では
過去よりも明日への希望を歌った。
この曲について、こってり語っています。。。
桑田佳祐「明日晴れるかな」【読解】歌詞を読む|める @meru_mia #note https://note.com/meru55/n/n20e0ad43ffe7
さあ!
ここまで進化した桑田さんが、改めて
唐突な別れに唖然とし嘆く、という曲を作ったというので
どういう角度からの切り込み?と
私としては、非常に興味があったのだ。
するとーーーー
今回の新曲「本当は怖い愛とロマンス」はこれまでの曲とは全く違うのに驚いた。
全く違う!
男性側が自分の言い分を主張しているのだ!
♪いろんな物 買ってあげたでしょ
♪おいしい食事も奢った(さした)じゃない
そんなことまで言っている・・・・!!
これまではね、
ただただ、彼女に去られた悲しみで胸が一杯で涙を流すしかなかったのよ!!
なんてたくましくなったの…!
さらには、
これまで「女神」「天使」と歌っていた女性像が
「魔女」「鬼」に……!!!
長い間、心に引っかかっていたこんがらがった糸が、きれいに解けたのね。。。
俺も悪かったかもしれないが、
彼女だってひどかった。
俺にだって言い分はある。
君の言い分を聞きたかったよ。
でも…全ては過去のことだね。誰が悪いってわけでもないか。
そういう境地に至ったのだわ。
過剰な悲しみも苦しみもなく、とてもフラット。
唯一、やっぱ言いたいことがあるとすると・・・
「なんでなんだよー!!」って気持ち。
とても健康な心の状態。
ものすごく新しい曲だなぁって思う。
さらにさらに、次の作品はどんな世界を見せてくれるんだろう?と期待してしまう。
初めての手術と入院生活は、きっと桑田さんの創作に新たな刺激を与えてくれるはず…。
※2010年8月の記事再掲
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