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お坊さんはエンターテイナー

ベランダで洗濯物を干していると、

どこの家からだか、読経が聞こえてきた。

うちの近所は法事をきちんとやっているお宅が多いようで

定期的に、このような機会がある。

 

今日のお坊さんは、よく通るいい声だ。

 

「な~~むあみ~~だ~~~ぶ」

 

言っていることはそこしか、ほとんどわからないが、

抑揚とテンポが良く、

故人を想い仏壇の前に座る家族の気持ちに寄り添うようなグルーブが

ベランダで洗濯物を干している私にも感じられた。

 

お葬式や法事って、大事な人を失った悲しみと向き合うために必要なものなのね。

その人が、どれだけ大切な人だったか、

いろんな想い出が心に残っているか、

長いお経を聴きながら、いろんな想いを巡らせて、心を鎮める。

そういう、喪の時間が人には必要なのだわ…。

 

速くなっていた読経のテンポが、やがてゆっくりとなり、

途切れ途切れに木魚がポクポクと鳴ってーーーエンディングを迎えた。

 

その次の瞬間、

 

「はーい!どう~~も、おー疲れっしたぁ~!」

 

情感たっぷりの読経から一転、

芸人か!?とツッコミたくなるような軽く明るいお坊さんの声が…!

 

切り替え、はやっ!

ありがたみが置いてきぼり!

吹き出しそうになって、慌ててベランダから長女の部屋へ駆け込んで笑って報告しましたわ。

 

いやぁ~~

エンターテイナーなお坊さんだったわ~

 

しかし、まぁ…

喪の時間と日常を切り替えるのも大切なことなのかもね!

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