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サザン新曲「桜、ひらり」歌詞を味わう

昨夜の『桑田佳祐のやさしい夜遊び』で初オンエアされたサザンオールスターズ新曲(まだレコーディング途中)
「桜、ひらり」

来年2025年3月にリリースされる16作目となるオリジナル・アルバム
『THANK YOU SO MUCH』に収録予定の一曲。
先日公開された“特報映像”で一部、流れた未発表曲が初披露されるということで
期待を高鳴らせ、ラジオの時間を待った。

お風呂上がり、化粧水を塗る手を止めながら耳を傾け聴いた第一印象は、
春らしい柔らかな日差し、そよ風を感じる暖かなメロディーと歌声。
別れと出会い、不安と希望入り交じる春の
キュンとした切なさのある歌詞だと思った。

そして…
今朝、改めてじっくりradikoで聴き返してみた。
特報映像の冒頭に浮かんだ文字は
「この言葉に想いを込めて。」

そして1月から始まるアリーナ・ドームツアー
サザンオールスターズ LIVE TOUR 2025「THANK YOU SO MUCH!!」
最初の会場は石川。
翌月2月には宮城でも行われる。

新曲「桜、ひらり」の歌詞は
思わぬ災害で心傷ついた人達に寄り添い、支える言葉で綴られている。

※以下、ラジオから聞き取った歌詞の一部です。表記の違う可能性あり。

♪どれくらい眠れぬ夜を越え
♪止まない雨に打たれ
♪大人になったろう

「大人になったろう」は
年月の経過を示す。
耐え難い現実を前に歯を食いしばり、乗り越えてきた月日。
その経験が彼、彼女たち一人一人の人間を形作る糧となり、今がある。

♪突然あれからしばらくは
♪生まれたこの場所が嫌いになったよ

流し聴くと、失恋模様のようにも聴こえるが、
きっとある時突然、ハッと気付かされるのだ。
これは…あのひどい災害のことを歌っているのだ…と。

♪帰らぬ日々
♪うるわしい町並みを切り裂くように
♪春が途切れた

東日本大震災は3月の、中学の卒業式の日だった。
北陸の地震はまさかの新春、元旦の午後に起こった…。
他にも、日本では各地でかつては考えられないような自然災害に見舞われることが増えた。

♪誰か未来へ言葉 上手く伝えてほしい

こんな歌詞を紡ぐ桑田さん以上に上手く伝えられる人がいるのか!?

大きな悲しみ、苦しみを体験した人たちは、その思いを自分の中に閉じ込めず、周りへ話しその思いを広め、
経験から得た知恵を広く後世へ繋げてほしい。

♪柳暗花明(りゅうあんかめい)

この四文字熟語を知る人は多くないだろう。
中国の古典詩で王維や陸游が詠んだ言葉で、
夏目漱石の「虞美人草」にもあるとのこと。
……王維とか…懐かしい!!
昔、漢詩を習ったけどそんな言葉は覚えてないわ〜〜

柳の茂みの暗さの向こうに、花咲く明かりが見える春の景色…
覗き見る花柳界を指したり、
また暗い中、行き詰まった途端、向こうに村を見つけるような
思わぬ新しい展開が起こる…という意味もある。

桑田さん、何を読んでこの言葉を拾ったのだろう。
今後、その話も聞けるかも!

♪恵み給う海が溢れた

この一節の前に「涙」という言葉があるので、「溢れた」がすんなりと聴けてしまうのだが
東日本大震災での津波の甚大な被害、
能登半島地震で海底が隆起し景観が様変わりしてしまったことを思い出さずにいられない…。

♪君よ次代に向けて愛を謳ってほしい
♪今も君は生きている

大切な人、ものをなくし、それでも生きていかねばならない辛さは、
「前を向いて」「うつむかないで」と肩を抱いても、なかなか癒せるものではないだろう…。
それでも桑田さんは呼びかける。
あなたが今、ここに生きていることを大事に思って、と。
視点を遠くに、未来へ世界を繋げよう。
そして、あなた自身の人生も豊かに。
明るく楽しいものでなくちゃ!と。

♪人を敬いながら いつも守ってほしい

お互いの気持ちや立場を理解し合い尊重して、
そうして当人の言い分や心情、人としての権利、尊厳も守られなくては。
そうして作られる未来でなくては。

♪そして時間(とき)は巡り来る

…本当にそうなのよね。
もう二度と立ち上がれないと思うほどの苦しみや深い悲しみも
時が癒やす。少しずつ。
時だけが処方箋かもしれない。

そして、思わぬ喜びに出会ったり、
あんなに思い悩んだ問題の意外な解決方法が見つかったり…
そんな未来が、きっと…!

♪でもね 遊びにおいで 待ってます

「被災地を観光で助けよう」
そんな言葉を平易に、さりげなく織り込んで。
寄付ももちろんいいけど、
実際に訪れて景色を眺め、人と話して、
そして美味しいものをいただいて良さを知り、
その経験がその地への関心を高めることができたら…素敵なこと。

♪みんなでここから未来へ飛ぼうよ

「跳ぼう」「翔ぼう」かもしれない。
「一人にしない」「置き去りにしない」約束がここにも。

想定外の自然災害が突然、起こる可能性はもはや、日本国中どこにでもある。
決して他人事ではない。
皆で助け合い、知恵を出し合って困難を乗り越えていきたい。
堅苦しく考えず、温かな気持ちを持ち寄れば、それだけできっと未来は明るい…。そうでしょう?

桑田さんが宮城・グランディ21に2012年、東日本大震災から一年後に記念植樹したソメイヨシノが来年も「桜、ひらり」満開となりますように。
(歌詞中、「花びら」でなく「花弁」と歌うところも上級センス…!)

柔らかなメロディーで歌われるこの曲は力強いメッセージで溢れている。
声高に叫ぶのではなく、じんわりと心にしみ込んでいく。

「この言葉に想いを込めて。」
サザンオールスターズが奏でる。

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