ロセッティってどんな画家?
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ(Dante Gabriel Rossetti)は、19世紀のイギリスの画家および詩人であり、ラファエル前派(Pre-Raphaelite Brotherhood)の創設メンバーとして知られています。彼は1828年5月12日にロンドンで生まれ、1882年4月10日に亡くなりました。ロセッティはイタリア系移民の父とイギリス人の母を持ち、幼少期から文学や美術に深い関心を抱いていました。
ロセッティは1848年にジョン・エヴァレット・ミレーやウィリアム・ホルマン・ハントと共に「ラファエル前派兄弟団」を結成しました。この団体は、古典的な美術教育に対抗し、中世の芸術や自然主義を重視することを目的としていました。彼らは、ラファエロ以前の芸術に立ち返ることを主張し、当時のアカデミー主義に対する反発を示しました。
ロセッティの代表作には『受胎告知』(1850年)、『ベアタ・ベアトリクス』(1864年)、『プロセルピナ』(1874年)などがあります。特に『ベアタ・ベアトリクス』は、彼の妻エリザベス・シダルの死を悼んで描かれた作品であり、彼女は多くの作品のモデルでもありました。ロセッティはまた、詩人としても評価されており、彼の詩集『生命の家』(The House of Life)には愛や死についての深い思索が表現されています。
ロセッティの影響はラファエル前派だけでなく、その後の象徴主義や耽美主義にも及びました。彼は女性を主題とした作品を多く描き、そのモデルには愛人や友人の妻などが含まれ、特にジェーン・モリスとの関係が有名です。このような複雑な人間関係が彼の作品にも反映されており、彼自身の内面的葛藤や感情が色濃く表れています。
晩年は酒と薬物に依存し、心身ともに病んだ生活を送りました。1882年、54歳で亡くなるまで、彼はその独自のスタイルとテーマで多くの影響を与え続けました。ロセッティはその生涯を通じて、美術と文学の両方で重要な役割を果たし、今日でも多くの人々に愛され続けています。