つながれた命、今日もはなまる
かわいいケア用テープ屋さん、Merry Care Shopは2022年3月で2周年を迎えます。
私がかわいいデザインの医療用テープを販売するきっかけになった息子のことについて、ごく個人的な内容ですが初心にかえるため 「 #子どもに教えられたこと 」 として書いてみました。
お読みいただけると嬉しいです😊
「動いてますよ!」
手術室のライトに照らされ、医師の手の中で小さな手足を動かす息子の姿を忘れません。
「赤ちゃんの胎動が少なくなっている。早めにお腹から出してあげた方がいい」と言われた15分後、緊急帝王切開で息子は誕生しました。
赤ちゃんが動いている、生きている。喜びがわきあがりました。
そして同時に、予定日より3ヶ月早い早産になってしまったこと、週数に対してはるかに小さな500グラムという体で産んでしまったことに、不安が押し寄せました。
枕元の麻酔科医に何度も「痛いですか」と訊かれるほど、私の涙は手術中も、手術が終わったあとも止まりませんでした。
切迫早産と胎児発育不全で入院してから、2週間後のことでした。
息子は新生児科のスタッフの方々に処置を受けてNICUに運ばれました。
小さな小さな息子がこれから生きていくために、まずは72時間を乗り越えられるか。
そのあとも長期入院が必要なことがわかっていました。
それが息子にとってどれほど苦痛をともなうことなのか想像もつかず、自分の術後の痛みよりもつらく感じました。
息子はそれから5ヶ月間、新生児科で集中治療を受けながら、私がこれまで経験してきたよりもずっと多くの点滴や注射、そして手術も経験しました。
どうして40週の正産期で、普通に産んであげられなかったのだろう。自分を責めずにはいられませんでした。
息子が早産で小さく生まれたことを受容できるようになったのは、病院のスタッフのみなさまのおかげでした。
多忙な中でも、あたたかい声かけに、育児ノートへの書き込み、季節のかざりつけ。
私は次第に息子のことを「かわいそうな重症の未熟児」ではなく「ひとりのかわいい赤ちゃん」だと、次第に思えるようになりました。
いま、息子はとても元気です。これまで大きなけがや病気もありませんでした。
ただ、成長はとてもゆっくり。
保育園では一学年下のクラスに入園しましたが、それでもクラスの中でいちばん幼く、小さいです。
「この子はこの子。息子のペースで少しずつ成長している」と思ってはいますが、あとから生まれた子どもたちに体格や発達をどんどん追い抜かれていることに焦っていないといえば嘘になります。
いまも就学や将来への不安はあります。
それでも日々を穏やかに過ごせるのは、息子自身が毎日ご機嫌でいてくれること、そして保育園や療育で楽しく過ごせていることや、周りの子どもたちの屈託のない接し方が嬉しいからです。
息子が息子として子どもらしくいられ、それを環境に受け入れてもらえていることに安心するのです。
NICUで出会ったおともだちには、病気や障害、出産時のトラブルなどの背景があり、みんな小さな体で治療をがんばっていました。
中には、短い生涯を終えてしまった子たちもいます。
誰もの命が尊い。誰もが大切にされる社会であってほしい。自分も周りを大切にできる人でありたいと、強く感じています。
医療の進歩と、全力を尽くしてくれた産科と新生児科のみなさまに感謝しています。
退院後も、病院やリハビリでのフォロー、療育など、これまで出会ったたくさんの方々のおかげで今の息子があります。
いつか息子と一緒にアルバムをめくりながら、これまで息子と出会い、かかわってくださった一人一人のことを教えたいと思っています。
息子や家のこと、仕事で手いっぱいでつらくなったときには、息子が生まれた日のことを思い出します。
手術室のライトに赤々と照らされて、かがやいていた姿。
たくさんの人が息子の命をつないでくれたこと。
息子には毎日を楽しく過ごしてほしい。人生を楽しいと感じて生きていってほしい。この子らしくいられる場所でかがやいてほしいと願っています。
この世に生きて生まれたからには。
夜に寝室で家族そろって横になり、息子を寝かしつけているとき。
息子が眠りに落ちそうになりながら、ニコッと、それは嬉しそうに笑ってくれることがあります。
その日がどんなに大変で心身が疲れていても、その笑顔ひとつですべてが肯定され、報われた気持ちになります。
ああよかった。
今日も楽しい嬉しい、幸せな気持ちで一日を終えることができたね。
はなまるだね。
明日も楽しみだね。
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