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睡眠に手ごわいアトピー性皮膚炎②

今まで、睡眠の問題を抱えた方3000人以上、18歳以下のお子さんも150人以上診察してきました。子供さんとそのご家族のお悩みも様々です。

前回の続きで、子供さんの診療で悩むベスト3に入る、アトピー性皮膚炎です。

重症のアトピーの幼児の方を何人か診察しましたが、日中の精神性の不活発、注意散漫、発達障害を疑われるような問題行動、体重増加などを認めました。

つまり不眠により、精神認知面、身体発達面に大きな影響があるということです。

ドイツでの縦断研究では、幼児のアトピー性皮膚炎は、学童期の行為、感情問題、注意欠陥多動章(ADHD)と関連したと報告しています。台湾の前向き研究でも同じような報告があります。

アトピー性皮膚炎とADHDとの関連については、まだ明らかでないことも多いですが、ストレス反応を担う視床下部ー下垂体ー副腎系の機能と関連している可能性や、炎症を起こすサイトカインの影響もいわれています。

またアトピーによる睡眠障害が媒介している可能性が言われています。

治療としては、残念なことに15歳以上でないとアトピーの先進的な治療である生物学的製剤は使用できません。
ステロイドの塗布や抗ヒスタミン剤を皮膚科から処方されていることが多いですが、睡眠治療では夜間の睡眠がとれるように睡眠薬を出す方法も取ります。
掻痒感が悪化させる根本と言われます。アトピーの掻痒感を抑えることで、掻爬がなくなり、それで湿疹自体も改善します。

身近にいた弟がアトピーで、夜間に血が出るほど皮膚をかきむしっていたことを思い出します。
夜間には副交感神経の影響で掻痒感も増しやすいのですね。

お読みいただきありがとうございました。



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さくらねる
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