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クラウスの別荘まで、、

ゼーラントの浜辺は
どこまでも遠浅の海岸線、きめ細かい砂に美しい貝殻が散らばる。
癒えぬ傷を癒すため、アーサー王を乗せた小舟がアバロンに向かうとしたら
この海岸からに違いない。

その前日
デュッセル郊外のレナーテのお家で誕生祝いの後、
特急列車でケルンへ。30分で到着。
音楽に関してだが、
デュッセルはしばしば大阪に例えられる。
バンドの音の感じとか。
ケルンは京都に当たるらしい。
古くから寺と学問(大学校)の町。
ここで生まれる音は京都っぽいそうだ。
駅を上がると黒々と威圧感ある巨大な建築。
なんという建造物、ケルン大聖堂。
キリスト教に対して私は疑問と怖い印象を持っている。
が、これを目の当たりにすると
人びとが己の信じる神様の為にどれほど切ない思いでこの彫刻を築いていったか、泣けた。
Nは目的のレコード店であれこれ、
私は向いに発見したインド食料品店であれこれ。

その翌日、
クラウスのオランダの別荘兼スタジオを訪ねるため、ゼーラント、ランゲウェックに向かう。
デュッセル歴20年の美術家中尾さんのアトリエで、
かつての出展作や制作中の作品を見せてもらった後、
中尾さんの車で出発。いざアウトバーン。
クラウスが在籍していたクラフトワークの曲を思い出す。
ドイツ国境を過ぎたあたりでNが民家を指さす。
ほらね、家がとてもちっちゃいだろう。
ほんとだ、どの家もお菓子の家みたい。
でもオランダ人はすごく背が高くて大柄なんだって。
不思議。
かつてインドネシア、東インド、スリランカを席巻したオランダはなぜ、今農業国なんだろう。
ドライブインで昼食。オープンサンドイッチとコーヒー。チップの計算は中尾さんに教えてもらう。
パンとか野菜とかハムとかが、それ自体がおいしい。
ホールの女性のあまりの背の高さに驚く。トイレのチップを払う。
お手洗いの鏡は、背伸びしても私は映らなかった。

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