走行注意~大阪の街道モノ語り⑩
今回は商品や神社仏閣の授与品ではありません。街道沿いで見かけたモノ=「看板」のお話です。
「日本最古の官道」とされる竹内街道(堺市堺区~奈良県葛城市)。大阪府域のうち羽曳野市から太子町、府県境の竹内峠まで歩いたのは、2019年6月のことでした。太子町内で峠に向かう街道は、国道166号と重なります。途中で目に留まったのは、下の写真、左手にある看板。
大阪府富田林土木事務所のもので、
「国道166Rute 歩行者(街道散策者)多し 走行注意」
と、あります。
歩行者に向けて「車に注意せよ」というのではなく、ドライバーに注意を促す看板。しかも、街道(竹内街道)を歩く人々の安全を考えてくれています。大阪の街道をいくつも歩いてきて、こういう趣旨の注意喚起の看板を見たのは、今のところ、竹内街道のここだけです。
かつて人が徒歩で往来した街道。近現代に国道や都道府県道に吸収されてしまった区間は、自動車交通がメーンとなってしまっています。ところによっては専用の歩道もなく、人間が歩いて通ることを想定していないのでは?という道もあります。
私は大阪府域の街道について、何日かに分けて通して歩いてきましたが、専用歩道もない区間ほど、大型トラックなどの交通量が多く、身の危険を覚えたこともありました。
下の写真は、竹内街道と同じくらい古い起源をもつ「長尾街道」を歩いたときのもの(2023年2月)。大阪府柏原市と奈良県香芝市との府県境に続く国道165号。
街道の道筋そのものは、この地点の少し手前で寸断、消失しています。国道165の左手(北側)で道筋が復活していますが、本来の街道の府県境に行くには、この国道を辿るしかありません。
写真のような大型トラックが途切れることなく、道路際の白線から外の空間もわずか。引き返すわけにもいかず、とにかく前に進みました。いま思い出しても、ちょっと怖いです。
なお、竹内街道は単行本『大阪の街道を歩く』に所収。長尾街道は連載・続「大阪の街道を歩く」で取り上げているので、単行本には入っていません。