旅守り~大阪の街道モノ語り①
街道を歩いていると、沿道の名所旧跡や神社仏閣などで、さまざまな「モノ」と出会います。大阪の街道歩きで見つけた、さまざまな「モノ」のいくつかを、シリーズでお伝えしましょう。
まずは「旅守り」から。
大阪市中央区玉造2丁目に鎮座する玉造稲荷神社で授かった旅行や街歩きのお守りで、大阪の諸街道を歩くときもふくめ、いつもリュックサックに結んでいます。
表面には「大坂」の文字を入れた扇面と「旅守/浪花講/道中安全」、裏面には「玉造稲荷神社」とあります。
江戸時代に大流行した「お伊勢参り」で、人々は街道を歩いて伊勢神宮に向かいました。「ぼったくり宿」なども横行した中、大坂の行商人、松屋甚四郎と手代・源助は19世紀初頭に「浪花講」をつくり、街道沿いに安全・安心の優良宿を組織しました。旅守りは当時の旅行札の形をしています。
「浪花講」の創業地とされる場所に、玉造稲荷神社の分社があり、「浪花講発祥の地」の碑や説明板があります。
大坂から伊勢へ向かう伊勢参宮本街道のうち、途中の奈良までを最短で結ぶのが暗越奈良街道。玉造稲荷神社の境内には、「伊勢参宮本街道の旅」の碑や本街道についての説明板があります。
暗越奈良街道は単行本『大阪の街道を歩く』に収録。浪花講については同書76ページで紹介しています。
国立国会図書館サーチ『大阪の街道を歩く』
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I033707077#library