とにかく恋愛から逃げたい①逃げたい理由
About me
アロマンティック、アセクシャル。
理系。
恋愛と性愛に論理で立ち向かった結果、なぜか喜劇的な人生を送っている。
Summary
理系大学院はいろいろつらい。
大学院生の時、指導教員に認めてもらえず、理解者を求めていた。
なのに、同志を見つけたと思えば、恋愛対象として見られて傷ついた。私は研究者としての価値はないけど、女としての価値はあるんだ……。
どこにあるか分からないゴールを目指して必死に走っていた頃の話。
男の人を家に上げちゃだめとは知ってたけどさ
大学院修士課程の時、私は研究成果が出ないことにとても焦っていて、「このまま指導教員に言われたことを諾々とやっているだけではだめだ、何か自分で動かないと」と考えていた。
指導教員は「研究なんて上手くいかなくて当然」と言う。でも、先生にとって私は沢山いる学生の一人で、だからそんな無責任なことが言えるのだ。私にとっては修士課程は一生に一回きりであり、これからその研究成果を武器に就職活動に挑まなければならない。
悩んだ末、私が出した答えが、「データサイエンスをやる」ことだった。
私がいた生物系は未だにアナログ人間が多く、ここでプログラミングができたら強いのでは、と考えたのだ。
コロナで研究室に行かなくてよくなったのも追い風となり、私はプログラミングとデータサイエンスに没頭した。
当時私が所属していた研究室には、めちゃくちゃパソコンが得意なインドネシア人留学生がいた。自称ホワイトハッカー。本当に超凄くて、ITで余裕で食べていけるほどの技術を持っていたけれど、何故か情報系でもない弱小研究室に埋もれて、ただのパソコンオタクと思われていた。その技術を研究で発揮する機会もなく、たまにPCトラブル対応に駆り出されるくらいだった。
しばらくして私のデータサイエンスの知識も増え、ノートPCのスペックでは物足りなくなってきたので、デスクトップPCを買う事にした(コロナ給付金で)。
どのPCがいいのか分からなくて、あの留学生に相談すると、自作で作ってくれるというので、即お願いした。
PC作れるとか本当にすごい。逸材を見つけてしまった!交友関係が広がるのって、新しい事を知れて面白い。プログラミング始めて良かった!
これがこの時の素直な気持ち。
留学生とパーツ屋に行って必要な部品を揃えた。
「組み立てる場所はどうしよう?」と訊かれたので、「うちでいいよ!」と言って私のアパートに来てもらった。
男の人を家に上げちゃいけないとは知っていた。
でも、相手は日本語カタコト、私は英語がカタコトで、流暢な意思疎通ができない関係な訳で、恋愛などあり得ないだろうと思っていた。
それに、家に上げちゃいけないならどこでPCを組み立てて貰えばよかったのだ?女は一人ではどこにも行けないし何もできないのか……。
購入したパーツのトラブルもあり、一回では組みあがらなかったので、留学生には何回か来てもらった。三回目くらいに留学生は(違法ダウンロードした)ゲームを携えて来、出来上がったPCで一緒にゲームをした。
その帰り、玄関先でためらいがちに「また来てもいいかな?」と訊かれた。
私がイエスと答えると、彼は、ぱぁっ!と、それはもう、恋する乙女のような顔になった。
「あ、やばい。これ惚れられてない?」
そこで楽しかった留学生との関係に影が差した。
この頃まだ私は恋愛から目を逸らして生きていたので、「惚れられてない!気のせい!終わり!」と結論を出した。
映画に誘われたので、「映画に友達と行くのは普通!我々は友達!」と一緒に映画に行った。
実家で採れた青唐辛子をあげたら(田舎なのだ)、それで母国の料理ナシゴレンを作ってくれるというので留学生の寮に遊びに行った。
……「おい、男の家にも行ってるやんけ!このビッチ!」ってツッコミが入りそうだ。一応弁解しておくと、以前は研究室の日本人と留学生数人で誰かの部屋に行って料理をする会が行われていたのだが、皆卒業してしまって、当時残っていたのがその留学生と私だけだった。私としてはそのお料理会のノリだったのです……。
ある日、その留学生に「悩みがあるんだけど……」と呼び出された。話を訊くと別の留学生(かなりエキセントリックな人)と一緒に実験やるのがしんどい、と打ち明けられた。理系大学院生はつらいのだ。皆それぞれの悩みとプレッシャーを抱えている。私はうん、うんと話を聞いただけだったが、聞いてもらえてよかった、ありがとうと感謝された。
ああ……。
その後、確かお礼とかの名目で、留学生がシュシュをくれた。貰ったものは着けるのが礼儀だよな、と思って大学に着けていくと「着けてくれたんだ」と嬉しそうにしていた。「社交辞令、社交辞令」私は目を逸らした。
四回目くらいの私の部屋への訪問で、留学生はコントローラーとヘッドセットを私にくれ、それで(違法ダウンロードした)サイレントヒルをプレイして遊んだ。
全然楽しくなかった。
ゲームをしながら、私にはこんな事してる時間はないのに、と思っていた。留学生も私と同じで忙しいはずだった。なのになんでゲームなんかしてるんだよ。
貴重な自由時間を割いているという事は、きっと留学生にとってはこの時間が楽しいに違いない。そうだ、きっと彼にとっては水ダウ観るくらい楽しいに違いない。ずるいな、こっちはヒリヒリしてるのに。私も録画してある水ダウ観たい。
やっぱり、この人は私に気があるんだろうな。
でも、何でカタコトのコミュニケーションしか取れないのに惚れられるんだ?私の何を知ったっていうんだ。
ああそうか、自分に構ってくれる女というだけで十分なのか……。
ヘッドセットもコントローラーもそこそこの値段がするものだ。なんだか金品で私の時間を買われているような気がした。
貰ってしまった物の値段の分、何かを返さなければならない気がして苦しかった。
研究が上手く行かない事の焦燥感で、この頃はただでさえ心に全然余裕がなかった。
耐えられなくなったので、研究室で「私、留学生に惚れられてると思う」と皆に相談し言いふらした。爆笑。……ですよね。
しばらく私と留学生を観察していた同期からは「あー。あれは恋だね」とお墨付きを貰った。そんで、みんな爆笑。
ある日、私が実験室に居る時、その留学生がやってきて「お昼を一緒に食べよう」と言い、私の返事も聞かずに去っていった。
嫌なんだけど……。
横で実験していた後輩に「一緒に来て」と言ったが、「嫌っす」即答。
研究室の人に「お昼一緒に食べよう」と言って回ったが、皆「いやいや、そこはお二人で……」なんて言う。「応援してます」じゃねーよ!なんでみんな留学生の味方なんだよ!助けてくれよ…。
走り回った末、あまり事情を理解していない、何でも言う事をきく後輩を同席させることで二人だけの食事を回避した。
……回避したものの、どっと疲れた。
また誘われるんだろうな。
誘われたら、断る理由を探して、断って……。また誘われて……。
面倒くさい。もう嫌だ。
告ってくれたら振れるんだけどな。
そういえば海外では告白して付き合うのは子供っぽい事で、大人はなんとなく雰囲気で付き合うらしい。
……そのパターンだったらやばい。怖い。
その日の夜、LINEで「私は一人が好きなの!食事とかに誘わないで欲しい」という内容のメッセージを送った。
その留学生とは大学でもほとんど話さなくなった。
告られてもいないから振ってもいないんだけど、相手を拒絶したのは私だ。なのに、留学生活の最後に楽しい思い出を作ってあげられなくてごめんね。
という気持ちがある。
なんで私が辛いんだよ……。
人生なんて真面目にやるもんじゃないな
私は恋愛感情が分からないので、一回一回地雷を踏みながら学習するしかない。これまでの経験から
お洒落をしてはいけない。特に、スカートを履いてはいけない
悩んでいる男性には、同情して親身になりすぎてはいけない
がインプットされていたが、新たに
"如何なる理由があっても” 男性と家で二人になってはいけない
惚れられたかなと思ったら悪化する前に対策を
が書き込まれた。
ひどいと思うかな?私も二番目と四番目が非道い気がする。
でも優しくして脈ありと誤解させる方がひどいんじゃないのかな?
その後、私は結局、就職をやめて博士課程に進学することにした。
そう決めた理由の一つは、業績欄が真っ白なエントリーシートで研究職に採用されても、入口だけ研究職ですぐに別の部署に異動させられる可能性があると思った事。もう一つは、手に入れたプログラミングというツールを研究でもっと試してみたかったし、このスキルがあれば博士課程も意外と乗り切れるのではないかと思ったこと。
業績と博士号を得て確実に研究職に就職できる可能性に賭けて、人生チップ三年分をレイズした訳だ。
だが、やっぱり博士課程はつらかった。何度も言うが、大学院生の辛さは人それぞれ。私の場合は、指導教員がデータサイエンスを認めてくれない事がとてもつらかった。
私は今まで人が手でちまちまコピペしてやっていた作業をコードを使って何百倍も高速化した。これにより作業が楽になったのはもちろんだが、むしろ本質的なブレイクスルーは、大量のデータ処理が可能になり、木ではなく森を見られるようになったことだった。データサイエンスを使えば「森」から「新種の木」を探し出すことも可能なはずだと考え、私は興奮した。
パソコンを片手に指導教員の居室に赴き、コードと成果物を見せて熱弁した。指導教員の反応は「へえ、凄いね」。
よし!やったぞ。褒められて、反射的にはそう思った。
だが、結果についてディスカッションをし、居室を出てから、あれ、と思った。あれ、この後私は何をしたらいいんだ?
私は、「へえ、凄いね」の後に「君、これをもっと研究してみなよ」と言われる事を期待していた。
でも、先生の言葉は「へえ、凄いね。僕にはぷろぐらみんぐとか分からないから」だった。
特に背中を押された訳ではなく、もやもやした気持ちはあったが、私は「へえ、凄いね」をGoサインであると信じて、特に指示された訳でもないが、データ解析を続けた。
少し経ったある日、指導教員から怖い顔で訊かれた(まあ、いつも怖い顔ではあるが)。
「ねえ、徒歩子さん、ちゃんと実験してる?」
「……はい(あんまりしてない)」
「うん。実験が一番大事だからね」
……もしかして、データサイエンスを研究だと思われてない?
それでも私は生物系の研究室で一人、誰も理解してくれないデータサイエンスを続けた。
最初の解析では魅力が足りなかったのだろうと思い、別のコードを書いて見せに行って、また「凄いねぇ」を貰ってすごすご帰った。実験をしないと怒られるので忙しく実験してる雰囲気だけ出しつつ、スキマ時間と休日を使ってパソコンに向かった。
何度か違うアイディアをぶつけて、それでも「凄いねぇ(小並感)」の域を出なかったのと、その他もろもろ(よくあるパワハラ)が重なって中退しようともした。中退は未遂に終わったが、中退を相談した先生の一人に「指導教員とちゃんと話してみれば」と言われた。
たしかに、今までは「これをやってみなさい」と言われ待ちで、自分から明確に「これをメインの研究にしたい」とは言っていなかった気がする。なんだろう、先生が超鈍感だった可能性がギリ残されてるじゃん?
私は新しいアイディアを携えて、指導教員と戦いに行った。結果は、
「これにもっと時間を掛けてやらせて頂きたいんですけど」
「いやぁ、でもねぇ。実験しないと論文にはできないしね。片手間でできるんならいいけど」
いつも通りだった。
もう疲れた。タイムループものの主人公みたいに疲れた。
薄々気づいてはいたが、ここでは根本的に何をしても無駄だった。
まず金が無い。研究室の収入は主に国からの研究費(科研費)で、これがショボい。具体的には、基盤Cの申請に通ると100万円/年 くらい。高額が支給される高いランクの申請は狭き門だ。
一応、大学からの補助もあり、私の大学では博士学生一人あたり年間10万円程が支給されていた。が、そんな額では何もできない。そもそもお金はすべて指導教員が管理していて、この10万円/年 だって私が自由にできるお金ではなかった。
また、学生が行った研究を発表する時には、指導教員は「責任著者」という立場になる。責任著者は、論文に書いてある内容をすべて理解してその責任を持つ人だ(たまに名前だけ載せて業績だけ得る人もいるが…)。私の指導教員はデータサイエンスは全くの素人なので、素人に毛が生えたくらいの学生が書いたコードの責任なんて、取りたくないし、取れないのだった。
指導教員を説得することが不可能と悟った私は、先生を説得することを諦め、外部に理解者を求める事にした。
学会で外部の人に話したかったが、当時はコロナで学会はすべてオンライン。学会での交流が非常にやりにくくなってしまったので、同期に頼んでポスドク(大学の先生のタマゴ)三人と博士学生二人のオンライン懇親会を開いてもらったりした(ありがとうコミュ強同期!神!)。
コロナが収まって現地開催されるようになると、ポスドクの人に声を掛け、学会の昼休みや懇親会、終了後にPCを手にプログラミングでできる事を熱弁した。
前置きがめちゃくちゃ長くなったが、こうやって知り合ったポスドクの1人が、この章のメインの人物である。
そのポスドクの人は、プログラミングに興味があると言ってくれたのでチャットで「何かデータを使ってやりたい事のアイディアはありませんか?」
と訊いた。
「こういう事がやれたらいいですね」とレスがきたので、じゃあ、私コードを書きますよ、と請け負った
コードができ、相手に渡して使ってもらう訳だが、GUIのないむき出しのコードの使い方は、初心者に説明するのは難しい。
この時はコロナが鎮火つつあった頃だが、私はコロナ中に読んだ「リモートワークのコツ」に関する記事を思い出した。記事によると、リモートワークのコツは通話を活用することだという。通話は文字よりも伝えられる情報量が多く、掛かる時間も短い。リモートワークが上手な人は、気後れせずに通話できる人だという。
私もこの記事にならって、画面共有で通話をし、コードの使い方を伝えた。
こんな事をやっても私には何の得もない。それでも何かせずにはいられなかった。不貞腐れて何もしないでいたら、「何もしなかった」という結果が残る。それはそれで嫌だったから、ゴールもないのに走り続けていた。
ポスドクの人だって、大学内では下っ端だから、そりゃ金もないし権力もない。それでいて皆大抵忙殺されている。私の在学中にデータサイエンスで協働するのは到底かなわぬことだった。でもなぜかこの時は謎の自信を持っており「大学卒業後に私のプログラミングの腕が上がって、まかり間違って凄い発見をしてしまった時、その話ができる知人が欲しい~」とか思っていた。自分で言うのも難だが、若い……。
ある日、そのポスドクの人から、私の住んでいる〇県に旅行に行くのでついでにお茶でもしませんか?というメッセージが来た。
頭の中に湧く疑問。
何で私の同期も一緒に誘わないんだ?
この人、別に旅行好きじゃないはず。
これは怪しい。
<惚れられたかなと思ったら悪化する前に対策を>
カマを掛けてみることにした。
「観光名所は××とか△△ですね。でも、〇県は車ないと観光厳しいですよ。うちの妹フリーターで暇なんで、車と運転手貸しましょうか?」
第三者の介入を提案。答えは
「いえ、大丈夫です!」
怪しい。
そういえばこの人、オンライン飲み会の時に「彼女いないけど結婚したい」ってめっちゃ言ってた。
怪しい。嫌だ。
ここで同期の名前を出せば絶対に二人での食事は避けられる。
でもの腹の探り合いみたいなのがすごく嫌だ。
留学生の時は気づかぬふりをし続けて、それはダメだと知った。
それに、怪しんでしまった途端、もうコミュニケーションが憂鬱だ。
気軽に「わたしはあなたを恋愛対象候補と考えているのですが、あなたにその可能性はありますか?」って訊けて、気軽にイエス、ノーが言える世界だったらいいのに。
そしたら恋愛したい人達だけで恋愛できて、私も友達を失わずに済むのに。
「あ、そうか!」
良からぬ事を思いついた。
男性から告白をするから良くないんだ。女性が「振る」立場になるから男性は傷つき、友人でさえいられなくなってしまう。「告白」して振られるのは「恥」だからだ。
ならば、私が「恥」を引き受ければいい。
私が「あなたが私を恋愛対象として見ているのではないかと疑っている」事を「告白」するのだ。
私は誘いを一人で受ける事にした。
会う日の一週間前。
同期から、「[ポスドクの名前]さんから飲みの誘い来たっしょ?」
と訊かれ、ドキッとした。
「ああ、そうなの?(焦)」スマホを開く。「ああ、そういえば来たね、うん」
????混乱
「俺△日に[ポスドク]さんと飲むんだけど、徒歩子さん×日なんだって?いや、別にいいけど、個別なの?そういう感じなんだ?って」
同期は首を傾げた。
直前になって私の同期誘うんかい!
しかもなんで三人の予定を合わせない!△日は私も空いてるんだけど……。
そして×日、ポスドクの人に会った。
観光はどこに行ってきたんですか、と訊くと、
「〇〇美術館行って□□公園散歩してきました」
めっちゃこの辺の駅前じゃん。旅行か?それ。
「後は、疲れててほとんどホテルで寝てました」
そんなにクソ忙しいのに、なぜ旅行など?
「東京の実家に帰省するのに、新幹線の通過駅だったので」
あのぅ、それ旅行って言わないっす。
ところで、なんで私と同期別々に会ってるんですか?
「[同期]君の事忘れてて、一週間前に思い出しました」
はぁ!?そんな事あるか!??嘘ならもうちょっとましな嘘つけよ…。
嘘でも嘘じゃなくても怖いんだけどこの人……。
喫茶店に入り、話をした。会計はポスドクの人が払うと言い、いや、割り勘にしましょうと私が言い、いや、徒歩子さんはまだ学生だからと結局ポスドクの人が払ってくれた。私はこういうのも苦手だ。
払ってもらってしまったら、なんだか「女扱い」される事を受け入れたみたいで嫌だ。かといって、
「私が払います」「いや、私が」「いやいやいや」「いやいや……
っていうやり取りも馬鹿らしい。
帰り際、ポスドクの人は研究室にと菓子折りを、私にともう一つ高そうな紅茶をくれた。
外箱からして高級そうなんだけど……。ダウト。
二人で食事に誘われて、高そうなプレゼント貰ったら疑っていいよな。
家に帰って、「あなたは私の事を恋愛対象と見ているかもしれませんが、私は恋愛というものが理解できない人間です」という内容のメッセージを送った(要約。本当はもっと長い)。
返信は、「あなたは魅力的だと思いますが、私はあなたを恋愛対象として見てはいません」というものだった(本当はもっと長い)。
よしよし。模範解答だね。
「でも、こういう事を勇気を出して言ってもらって良かったです(絵文字)。僕もなんか気恥ずかしいのでこの事は[同期]君には秘密にしておいてもらえますか?」
なんか、むしろ秘密を共有して親密度が上がった!みたいになってない?
本当にこれで良かったのか……?
あと、めちゃくちゃ緊張して恥ずかしい上に自分が変人だって事をさらけ出すリスクがあるんだけど、これを今後の人生で何度もやっていくの?
つらい……。
辛いのでその日飲み会をやっていた研究室の後輩たちのところに行って一部始終をぶちまけた。爆笑。私が変人だという事を既に知っている後輩と飲むのは気楽で良かった。
現在も、その人とは、友達という程ではないけど、まあまあ、縁は切れてないかな、くらいにつながっている。
旅行~のくだりのおかしさと、ここに書いていない会話の内容から、正直、ちょっとサイコパスかなぁとは思う。それはモテないわ。
自分を貶めないで恋愛から逃げたい
さて、これも私にとっては「失敗」なので、その原因を考えてみた。なぜ私は「お茶」に誘われてしまったのか。
……そもそも最初に話し掛けたのは私だ。オンライン飲み会を企画したし、こっちから通話もしたわ………。
そのせいで
「ワァ、積極的~」「コレ脈アリナンジャネ~」
ってなったって事???
この反省を私のNG行動リストに加えた。
お洒落をしてはいけない。特に、スカートを履いてはいけない
悩んでいる男性には、同情して親身になりすぎてはいけない
"如何なる理由があっても” 男性と家で二人になってはいけない
惚れられたかなと思ったら悪化する前に対策を
異性に積極的に話し掛けてはいけない
飲食店では強い意思で割り勘
……もう、どこへも行けないし、何もできないじゃん。
いや、そもそも私は何かをできていたのか?
ポスドクの人が私の研究の話に乗ってくれたのだって、ただ話を合わせていれば女と喋れるから、だったんじゃないか?
疑心暗鬼になる。
恋愛があると人との縁が切れるし、縁を切らないように頑張ると私がダメージを受ける。もう嫌だ。
とにかく恋愛に遭遇したくないと思って、地味な恰好を心掛けている。メイクはマナーとして求められる場でしかしないし、スカートも履かない。それでも「僕は地味な子が好きなんだ」とかいう人もいて、(これはどんな人間にも魅力があるんだといういい話でもあるけれど)、私としてはいつ、どこで恋愛が降って来るか分からないから、怖い。
もうこれ以上どうしたらいいんだろう。「物凄く身なりが汚い」とか、「抱きしめる気になれないほどの悪臭を放つ」とかしたらいいのかな。
……絶対モテないだろうけど、それはそれで社会的に終わるな。
レズビアンってことにするか。いや、私レズっぽくないから絶対バレる(女子校でいじめられていたトラウマで一部のタイプの女性が怖い)。
彼氏がいるってことにするか。いや、まず「付き合う」が分からないから彼氏が居る感出せなくて絶対バレる。
「あ、そうか!」
私の事好きな人の事が嫌いになっちゃうから、私の事好きじゃない人と付き合えばいいんだ!