水曜スペシャル
昭和生まれの子供達が熱狂したTV番組の代表といえば水曜スペシャルである。
水曜スペシャル(通称:水スペ)はテレビ朝日で水曜夜7時半から90分枠で放送されたTV番組である。内容はバラエティ、スポーツ、ドキュメントなど様々で、週ごとに内容が変わるスペシャル番組だった。昭和51年から10年間放送され、昭和を代表する番組だったと言えよう。
その水スペのなかで、特に「川口探検隊」シリーズは子供達に大人気だった。
川口隊長率いる探検隊が、未確認生物や猛獣などを追い求め、秘境を探検する体当たりロケは刺激的かつ魅力的で、当時の子供達の心を鷲掴みにした。
私は蛇の回が好きだった。特に「双頭の巨大怪蛇ゴーグ」はワクワクした。知らない方の為に内容をざっくり説明すると、蛇の異常発生したタイのカウングという秘境の島に、二つの頭を持つ伝説の巨大蛇を探しに行くというものだ。
その島は断崖絶壁で上陸する方法は一つ。海に面した洞窟の入り口をくぐり、ボートで入るしかない。もうこの辺りからドキドキする設定である。
探検隊はとある寺院の地下に蛇のアジトがあると突き止めるのだが、そこに辿り着くまでに蛇がわんさか出るのなんの。コブラを素手で捕まえようとしたり、コブラとマングースを戦わせたり、もう阿鼻叫喚の世界である。
番組終了間際にカメラはやっとゴーグらしき怪蛇の姿を捉える。2匹の蛇が穴から首を出してるような映像がわずか一瞬映るのだが、次の瞬間逃げられてしまう。
隊長は「逃げられたか」と悔しがる。それで終わりである。おーい、あんなに苦労して辿り着いたんだからもう少し粘ろうよ‥。定点カメラ置くとかさ。
それでも放送日の翌日には学校で「あれは本物か?いやただの二匹の蛇だろ」と大いに盛り上がった。
そしてゴーグと同じぐらい人気があったのが、「原始猿人バーゴン」らしい。らしいと書いたのは私はバーゴンの事を全く覚えてないのである。
なので以下は主にネットや書籍からの情報である。
パラワン島奥地(何処それ?)を探検していた川口探検隊は謎の原始猿人の姿を捉える。
今までの探検隊のパターンでは「我々は見失ってしまった」となるところだが、この回はバーゴンのありとあらゆる姿をカメラに捉える事に成功するのである。
滝に飛び込むバーゴン、ワニを捕獲するバーゴン。私が見てない回に限って何で‥?
そして最後に、探検隊は洞穴でバーゴンと対決し、捉えられたバーゴンは『保護する』という名目でヘリコプターに乗せられ、どこかに移送されるのである。
そんなドラマチックな回のことを忘れるとは‥私は自分の頭を掻きむしった。その日は裏番組で広島カープのナイター試合があったに違いない。うちにはTVが一台しかなかったから、お父さんにチャンネル権を奪われたのだろう。ちっ、お父さんめ。
ちなみに夫にも聞いてみた。
えっ?知らん‥
この手の番組が大好きだった夫も呆然としている。
やばっ、夫婦でボケ‥いや、義父は熱烈な巨人ファンだった。その日はきっと裏番組で巨人vs広島のナイター戦があったに違いない。
昭和61年まで水スペは10年間続き、その無謀とも言えるチャレンジ精神は、平成になってTBSの「ギミアブレイク」に受け継がれる。