超過死亡者は老衰と心疾患でほとんど説明できる
図1は以前にも紹介した森田 洋之さんが発表されたグラフだ。詳細はリンク元を読んでください。青い直線と黄色の〇との差が、年当たりの超過死亡者数と考えて良い。
2021年---1万人
2022年---9万人程度と読み取れる。
図2は私が以前に発表したグラフだ。各疾患による死亡者数を2018年1月を基準に取った変化率で示してある。超過死亡者と同様に2021年あたりから不連続的な増加を示している。今回はこの増加の絶対数を調べてみる。このグラフは変化率を示しているので、それぞれの疾患死亡者数が超過死亡者にどの程度影響を及ぼしているのか?は分からない。
老衰死亡者数
2018年(109,606人)との差分
2021年 152,024人 42,418人✕0.7=29,693人
2022年 179,524人 69,918人✕0.6=41,951人
図2を見ると超過死亡者が出る以前から、およそ年当たり10%程度老衰死亡者は増加している。これは高齢者人口が増えている為だと考えられる。したがって2021年はその3年分を差し引いて0.7倍、2022年はその4年分を差し引いて0.6倍した。
心疾患死亡者数
2018年(208,210人)との差分
2021年 214,623人 6,413人
2022年 232,879人 24,669人
図2を見ると超過死亡者が出る以前は、ほとんど横ばい。心疾患死亡者数は高齢者人口に依存しない、単純に高齢になったことに依る死亡では無いのだろう。
したがって、老衰死亡者数と心疾患死亡者数の合計の2018年からの差分は、
2021年 36,106人
2022年 66,620人となる。
図1から読み取れる超過死亡者数は
2021年---1万人
2022年---9万人だから、
老衰死亡者数と心疾患死亡者数の合計だけで、ほぼ超過死亡者数は説明できることになる。
謎の超過死亡者の大半が老衰と心疾患だという事は、重く受け止めるべき事だと思う。
まず、老衰死亡者について。言葉をお許し頂ければ、いずれにしても長くは無かった方だ。みじかくて数か月、長くて1~2年の寿命が縮まる事情が起きた、と見なせる。それも、特に持病や、腫瘍が確認されず、特段の治療を受けていたわけでも無い。多くの場合、自宅、または介護施設に居た方だろう。したがってコロナ蔓延による医療逼迫のあおりを受けたケースは少ない筈だ。また、運動不足、あるいは外出を控えるといった精神的抑圧が死亡に影響した可能性も低い。そもそも日常生活がスムーズには行っていなかった筈だ。その様な方が、まともな検査、診断を受けるまでも無く、短時間に死に至った。
心疾患死亡者について。上でも述べたが、心疾患死亡者数はほぼ横ばいで推移していた。高齢者が特に多いわけでは無い疾患という事だ。そもそも死亡原因として多いわけだが、2021年以降、急激に増加した。突然心臓に悪い食べ物が流行った、あるいは運動不足といった不健康な生活習慣の方が増えた、という事情は考えにくい。心臓関係に不具合を起こす事情が、新たに生まれた、と考える事が自然だ。
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