好きな人ほどいじめたい
〇〇 「うわ、やらかした」
授業が始まってすぐ俺は教科書を忘れたのを思い出した。
増本 「どうしたんですか?」
頭を抱えていると隣の席の増本さんが話しかけてきた。
〇〇 「いや実は教科書を忘れてしまって」
増本 「なにしてるんですか」
○○ 「それで貸してください」
増本 「え~どうしようかな」
○○ 「頼む」
俺は両手を合わせ頼み込んだ。
増本 「いいですよ」
○○ 「ありがとうございます」
先生 「おい○○、増本、うるせぇぞ!」
どうやら声が大きかったらしい。
○○ 「あっすみません」
先生 「ところで○○、教科書は?」
○○ 「あっいや…」
増本 「○○君教科書忘れてましたよ」
○○ 「ちょっ、増本さん!?」
増本さんの発言に俺はびっくりした。
先生 「おまえ…何回目だ!?」
○○ 「すっすみません!」
先生 「あとで職員室来い、いいな?」
○○ 「はっはい…」
増本 「ドンマイです」
○○ 「お前…」
授業後
俺は先生にこっぴどく怒られ気分が下がりながら机に戻っていた。
増本 「凄い怒られてましたね」
〇〇 「元はと言えばお前が…」
増本 「それは忘れた〇〇さんが悪いでしょ?」
〇〇 「くそ!なんにも言えん」
増本 「そういえば次の授業、音楽になりましたよ」
〇〇 「まじ?教えてくれてありがとう」
増本に教えられた俺はすぐに音楽の準備をし音楽室に向かった。
〇〇 「失礼します」
音楽の先生 「あれ?〇〇どうした?」
音楽の先生は俺が来たことにびっくりして言った。
〇〇 「え?次の授業って音楽ですよね?」
音楽の先生 「何寝ぼけたこと言ってんだ」
〇〇 「え?だって増本さんが…あいつまた…」
俺はようやく気づいた。増本さんがまたからかったことに。
キーンコーンカーンコーン
気づいた時にはチャイムが鳴った。
音楽の先生 「とりあえず早く元の授業に行け」
〇〇 「やべ」
俺は走って教室に向かった。
〇〇 「遅れました」
俺は授業中のクラスのドアを勢いよく開けた。
先生 「どこ行ってたんだ?」
〇〇 「それは…」
増本 「〇〇さんさっき音楽室に行ってましたよ」
また増本さんが先生に言った。
〇〇 (お前…)
俺は鬼の形相で睨みつけた。
先生 「〇〇最近多いぞ」
〇〇 「すみません」
俺は平謝りをし席に戻った。
増本さんは隣でわかっていた。
幸坂 「綺良ちゃん最近〇〇君のこといじりすぎじゃない?」
増本さんの隣の席の幸阪茉里乃さんが増本さんに話しかけた。
増本 「いやなんかいじってくださいって言ってる顔してまから」
失礼だなこいつ。
増本 「あと好きな人っていじめたくなるんですよね」
増本さんは軽くとんでもない事を言った。
幸坂 「綺良ちゃんが〇〇君のこと好きなのは知ってるけど嫌われないようにね」
〇〇 「嘘でしょ?」
俺はつい心の中の本音が出てしまった。
増本 「あっバレた」
どうやら増本さんに聞こえたらしい。
幸坂 「ついにバレちゃったね」
増本 「じゃあ隠す必要はありませんね」
〇〇 「と言うと?」
増本 「〇〇さん、私と付き合ってください」
〇〇 「えっいや…」
ドン!
俺が少し驚いていると誰かが机を叩く音がした。
先生だった。
先生 「喋ってないで授業に集中しろ」
〇〇 「はい」
増本 「じゃあ〇〇さん、答えは授業終わりにお願いします」
増本さんは俺が辛うじて聞き取れるくらいの小声を言った。
〜完〜