君を撮りたい
ある日の休日私達は地元だと有名なひまわり畑に遊びに来ていた。
「やっぱり綺麗だね」
「ほんとだね」
私はカメラを構えてひまわりを撮った。
「僕は撮らないでね」
「いつも思うけど何で?」
彼氏の〇〇と付き合って早3ヶ月私のスマホとカメラには1枚も〇〇の写真はなかった。
「だって見られたくないから」
「え〜」
私は何とかして〇〇を写真に収めようと努力した。
例えば急にカメラを構えて撮ろうとしたが〇〇はすぐに顔を隠した。
「だから撮らないでよ」
「むぅ〜」
それからというもの毎日私は〇〇を撮ろうとした。ただいくら試行錯誤しても〇〇は撮れなかった。
それから約半年後私達は地元でコース料理で有名なレストランに来ていた。
私は緊張していた。
いつもはラフな格好の〇〇もこの日はスーツを来てテーブルマナーを守って食べていた。
「さすがに緊張するね」
「ほんとだね」
私達はコース料理の中でも高い部類のコースを頼んだ。
しばらく二人で話をしていると前菜が運ばれてきた。
前菜の名前はよく分からなかった。
その後も名前が長い料理たちが運ばれてきて完食した。名前はよく分からなかったが美味しいことには違いなかった。
「では最後のスイーツを持ってきますので少々お待ちください」
店員さんがそう言うと厨房に戻った。
「美味しかったね」
「ほんとだね」
〇〇はポケットから何かを取り出す動きをした。
「…ねぇ僕たちもう付き合って1年はたってるよね」
「もうそんなに経ってるんだね。時の流れは早いね」
「うん…それでさひかる」
「うん?」
〇〇は小さくて黒い四角い箱を開け私に差し出した。
「ひかる、僕と結婚してくれ」
〇〇は私に結婚指輪を渡した。
私の答えはもう決まっている。
「もちろんよころんで」
「おめでとうございます」
ちょうど店員さんがスイーツを運んできてくれた。
「ではお客様記念撮影をしましょう」
「お願いします」
私は店員さんに私のカメラを渡した。
「えっ?〇〇いい?」
「今日だけね」
「うん」
「周りのお客様もお時間がありましたら記念撮影を手伝ってください」
店員さんがそう言うと周りのお客さんたちがよってきて一緒に記念撮影をした。
「では笑って笑って…はいチーズ」
店中にシャッター音が鳴り響く。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
私は早速写真を確認すると笑顔が不格好の〇〇が居た。
「笑顔下手くそじゃん」
「だからやだったの」
「なにそれ笑笑」
「相変わらずゲラだなひかるは」
これが〇〇と私が写った唯一の写真になった。
それから子供もでき久しぶりに写真を見返していると例の写真が出てきた。
「あっ、懐かし」
「ほんとだね」
「やっぱり笑顔は不格好笑笑」
「もううるさいな」
「でも今は〇〇のお顔じゃなくて子供の写真を撮るから」
「はぁ?」
「愛季こっち向いて」
「ムー」
愛季はカメラとは逆方向を向いた。
「あらら、どこの誰に似たのか」
「こっち見んなや」
まぁいいもん絶対撮るもん
~完~