伝えたい思い 後編
僕がいつから美青のことを好きになったのかは正確には覚えていない。
でも最初にこの子のこと好きだなって思ったのは中学3年生の文化祭の準備中のことだった。
美青は色んな人と一緒に準備をするそんな姿に僕は惚れたのだろう。
それから僕は美青を一人の女性として認識したのだろう。
でも僕は美青が好きという思いを封じこみ学校生活を送っていた。
だが僕はもう逃げない。美青が好きだと気づいたから。
土田 「〇〇チャンスは今しかないぞ」
美青がひとりでトイレに行っていた。
〇〇 「うるせぇよ」
そう言いながらも僕はトイレに向かう。
ちょうど美青が出てきた。
的野 「○○、今日一緒に帰ろうよ」
○○ 「俺でいいのか?」
的野 「もちろん」
俺たちは学校を出ると岐路に向かう。
もうこれで美青と帰るのは最後になるという虚しさと悲しさが湧き出てくる。そう感じると今にも泣きたくなる。
的野 「もうこれで最後なんだね」
○○ 「そうだな」
的野 「今思い返せば一回もクラス離れたことなかったね」
○○ 「そう言えばそうだな」
的野 「家も近かったしね」
○○ 「そうだな」
美青との思い出を振り返りながら帰っているとすぐに美青の家の前に着く。
的野 「ついちゃったね」
〇〇 「そうだな」
的野 「またいつか合えたらねまたね」
今しか言えるチャンスはない。そう思うと僕は気づいたら声を出していた。
○○ 「美青、待ってくれ」
的野 「どうしたの?」
僕は勇気を出して言った。
○○ 「美青の事が…好きだった」
的野 「なんとなく気づいてたよ。ごめんねその思いには答えられないけど伝えてくれてありがとう」
○○ 「うん」
的野 「〇〇がもし辛い時があったらさ私のことを思い出してよ」
〇〇 「うん」
それからどのくらいの月日が経ったのかは分からないが俺は会社員として出張で〇×県に来ていた。
この日も仕事が終わりホテルに行こうとしていた時だった。
ナンパ男A 「お姉さん可愛いね、僕たちと楽しいことしない?」
?? 「やめてください、急いでいるので」
ナンパ男B 「いいじゃん、つれないな」
何人かが女性をナンパしていた。
さすがに困っている女性を無視することはできないので助けることにした。
〇〇 「あんたらやめとけよ、その子困ってるだろ」
ナンパ男A「別にお前には関係ないだろ」
ナンパ男B 「そうだぞ」
〇〇 「これ以上やるなら警察を呼ぶぞ」
ナンパ男A 「警察は違うだろ」
ナンパ男B 「ひ、卑怯だぞ」
〇〇 「はいはい、どうする?まだやる?」
ナンパ男A 「覚えておけよ」
ナンパ男たちはどこかに走って逃げていった。
〇〇 「大丈夫ですか?」
?? 「はい、ありがとうございます」
その女性の顔はどこかで見たことのある顔だった。
?? 「もしかして〇〇?」
〇〇 「そうですけどあなたは?」
的野 「私だよ、私、的野美青」
〇〇 「的野美青…えっ?美青!」
的野 「そうそう、久しぶり」
〇〇 「久しぶりだね」
的野 「立ち話もあれだしさカフェにでも行こうよ」
俺は美青に言われるがまま近くのカフェに向かった。
〇〇 「懐かしいね」
的野 「確かに…そういえば伝えたいこと後あるんだけどいい?」
〇〇 「なに?」
的野 「〇〇、あの時は怖くて言えなかったけど私〇〇のことが…好き」
〜完~