【歴史小説】光より出づる者1-2
ポール・リーブル監獄は、元はポール・ロワイヤル修道院といい、17世紀の数学者、ブレーズ・パスカルの妹も帰依していた歴史のある修道院であった。フランス革命が起こると公安委員会により接収され、国王の名を関する‟ロワ″を排除し、より革命的な‟リーブル”の名前の与えられ監獄として生まれ変わった。恐怖政治下で濫造された他の監獄とは違い、比較的富裕な貴族が集められ、あたかもサロンのような催しが開かれるなど自由な気風が残され、先の見えない時代から生まれる無聊への一時の慰めを収監者に与えるこ