小さな薔薇

去年植えたミニバラが今年も蕾をつけている。ミニバラというだけあって、私の指先くらいの大きさで不自然なくらいみずみずしい赤ピンクだから、通りがかった人が見たら濃い緑に赤い雫が溢れているのかと思うかもしれなかった。

桜は散る、梅こぼれて牡丹は崩れ、椿落つ。薔薇の死にざまは、なんて言うの。

私のバラは5月ごろが見頃だけど、湿度のこもった空気が葉を腐らせるから定期的に剪定をしなければならない。そうやって手入れしてやっていると小さな棘が手のそこかしこにいたずらに食い込むことがよくあって、まるでわがままを言われているようで愛おしい。

バラが咲くそばから切り落とす。か弱い頸を切断していく。手のひらにたまる赤い雫、かわいい薔薇。

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