映画館
久しぶりに映画を映画館で観た。
家にいると1時間のドラマでさえ集中してみることが難しく感じるのに、映画館というのはいく度に不思議な空間だなと思う。あっという間に時間が過ぎるし、目の前に映る映像以外に何も考えずにいられる。配信で映画を見られる環境が増え、映画館に行く機会が減っているとは思うけど、私は映画は映画館でしか観れない。
今日は人生で初めて、アニメーションの映画を観に行った。正直アニメーション映画に興味があまり湧かないタイプで、話題の作品もテレビで放送されるのを流し見して観たことにしてきた。
完全に気分転換で明日することないから映画でも観に行こうかなと思って『すずめの戸締り』鑑賞しました。
猫と椅子と私の推しに似たキャラクターが出ることしか知らずに、少し冷える朝の空気を感じながら映画館へ。ポップコーンとアイスティーを抱えて周りを見渡すと、様々な客層で埋め尽くされる客席。公開から1週間以上経ってもこの混み具合、こういう映画を観るのは久しぶりだなと思った。
私はアニメに限らず"非現実的"なテーマが苦手なんだと思う。ディズニーとか幼い頃に見たものは平気なんだけど、物心ついてからは魔法とかワープとかは頭が理解しようと働かないし、洋画も文化の違いを見るとそっちに興味が向いてしまうのでストーリーの面白さを感じられない。現実見れてない人間の割には夢のない脳みそなんだよな〜
だから開始早々に猫が話した瞬間に「あっこれだめかも…」とちょっと思ったんだけど、椅子が走り出した瞬間には「あれ意外と行けるかも…?(笑)」になった。猫は生き物だから動くし喋る(鳴く)けど、椅子は大抵動かないし喋らないから面白くなっちゃったのかも。何でなのかまじでわかんないけど、ロン毛のイケメンが椅子になってんの愉快モードに入っちゃった。映画館で観ていなかったらこの愉快モードにさえ入れず、感情もここまで動かなかったんだろうな。
観て良かったと感じられた点のひとつとして、震災というテーマだと思う。私は震災が起きた時は静岡の田舎の中学生だった。静岡はずっと大きな震災が起きると言われ続けて防災訓練は小学生の時から毎年定期的に行われるし、地震が起きたら富士山も危ない、噴火したらここまで溶岩が流れてくるとか脅されながら育った。静岡でさえあれだけの恐怖を感じたし、帰宅して家で一人テレビをつけた時に見た空港に津波が押し寄せる映像はいまだに忘れられない。
その年の4月に福島から転校生がやってきた。自宅が避難区域になり、親戚の元へやってきたと言っていた。普通に暮らしているように見えたし同じ部活動だったから仲良くなったけど、彼女もきっとどこかですずめの環境に近い思いがあったのかもしれない。苦しくなる。
映画館にいた沢山のちびっ子たちはこのことを知らない。震災がどれだけ恐ろしいものかということだけではなく、あの時たくさんの人が悲しみ苦しんだ感情があるということを忘れてはいけない。私が当時ただ漠然と受け流した感情を大人になったからこそしっかり考え、受け取ることができたと思う。涙が止まらなかった。
まだまだこれから観る人がいると思うしネタバレや考察は人を選ぶので書かないけど、とにかくあっという間に時間が過ぎた。とても良かった。映画館に観に行って良かった。最初に書いた通り、私は映画館に観に行った映画以外は流し見で見たことにしてしまうから、映画館でしっかり向き合って観れて良かった。この機会をくれた北斗くんに感謝しかない。菜乃華さんとても良かったです。めちゃくちゃ良い。
号泣して感情を解放する良い機会にもなった。終わった頃には天気はどんよりしてたけど、気持ちは何だかすっきりしていた。
映画館で観る映画は学ぶことが多くていいな。