夜は化け物の時間
私は昔、夜は化け物の時間だから、子供は早く寝なさい、眠らない悪い子は化け物になるというお話を大人達から聞かされた。
当時、子供の頃の私は半信半疑で聞いていた為、信じていなかった。
そんな、お話を忘れかけていたある日。
私は眠る事が出来なかった。
子供の頃の私は、煩く言う大人達の声がしない、自由に出来る時間という理由で夜更かし。
そうして暫くの間、起きていたら、化け物になる昔話を思い出した。
「あれ? 全然、化け物にならないじゃん」
そして化け物にならないと知り、私は引き続き、遅くまで起きている事にした。
小さな反抗心と睡眠時間を引き換えに、徐々に可笑しくなっていくのを、この頃の私はまだ知らなかった。
そうして、私はその日を境に両親の目を盗んで毎日、夜更かしをしてしまう様になってしまった。
「ああ、うるさい声がしなくて、せいせいするわ。いつも、怒ってきて嫌になっちゃう。今日も、私だけの自由な時間。好き勝手、出来るのが楽しい」
そんな生活を続けていると……ある日、私の身に変化が起きてきた。
まず、最初に目元が黒い跡ができた。
次に、体が重くなったり軽くなったりした。
そして最後には、心が黒色に染まった。
……気がついたら、もう遅かった。
私は人の形をした、化け物となっていた。
泣いたところで、後悔したところで遅い。
もう、元には戻れない。
一度でも、黒く染まってしまったら、その黒は落ちない。綺麗に保つ事は出来るけど、汚れたら綺麗に出来ないの。
最後に、化け物なってしまった私からのお話。
「良い子は素直に、おねんねしようね。悪い子は……私と同じ様に一緒に黒く染まりましょう」
夜に寝るのは、日中に付いた汚れを落とす時間であって、起きていい時間ではない。
夜更かしは、気をつけようね。
終わり