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JR西日本無限大パス、1ヶ月5万で乗り放題だけど使いこなせるやつおる???
JR西日本からとんでもないきっぷが出ました。
その名も「JR西日本無限大パス」。
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30日もの間JR西日本のICOCAエリア(近畿・中国)内全て乗り放題!
長い!
お値段は50,240円!
高い!
今回はこのきっぷについて深掘りしていきます。
このきっぷの特徴
このきっぷの大きな特徴を列挙すると、
有効期間:30日間
価格:50,240円
有効範囲:JR西日本のICOCAエリア(城端線・七尾線を除く)
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ざっくり近畿圏・岡山・広島とその間は利用可能
日本海側は特急停車駅と米子近郊~松江・出雲、鳥取~倉吉くらいで使いづらい
在来線特急は乗車券部分のみ有効、新幹線は乗車不可。
そして最大の特徴が「ICOCAでGOきっぷ」であること。
このきっぷの特徴については以前上げた記事をご覧下さい。
簡単に説明すると、きっぷを購入した後KANSAI MaaSアプリに紐付けたICOCAで一旦正規料金を支払い、後日WESTERポイントで還元してもらうという仕組みです。つまり一時的に「フリーきっぷの金額+正規料金」を支払う必要があります。これを考えるときっぷの有効期限最終日には最低でも10万円が出て行っている状態になります。WESTERポイントの付与は翌月末とかなり先。しかも今回はKANSAI MaaSアプリでのみ購入可となっているのでチャージ専用ポイントでしか返ってきません。理屈上は理解できるのですが、チャージ専用ポイントは結局どう頑張っても1P=1円の価値しか生まないのでお得感はないです。
あとこれはICOCAの性質なのですが、大阪近郊区間の外では特急で一本で行ける区間でない限り200km以上連続して使用できません。電車から降りたら乗り継ぎが厳しくない限り積極的に改札を出るようにしてください。
青春18きっぷとの競合
これほど巨大な範囲かつ長期間のきっぷとなると他に思いつくのが青春18きっぷ。というわけで比較してみました。
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こうして見ると一長一短というか、無限大パスにも利点がちゃんとあることがわかります。期間と価格を考えると青春18きっぷの方が使いやすそうですが、無限大パスだと在来線特急に乗っても乗車券部分は使えるのは上手く活用していきたいです。
30日間毎日これだけの区間に乗らないといけない
ここで比較表の1日あたりの価格を見ると、1675円、10円未満を切り上げて1680円。この半額の区間、即ち840円の区間を様々な方面に30日間休まず往復で利用するなら元は取れます(全く同じ区間を往復するだけだと定期券を買った方が23,000円程度なので安いですよ)。JR幹線運賃でこの運賃に一番近い区分が46~50km区間で、860円。大阪の電車特定区間に収まる場合は46~50km区間が820円となるためこの次の51~55km区間が950円で往復で1680円を超える区間になります。
4/1以降は普通運賃と電車特定区間の範囲が改定されますが、46~50km区間で電車特定区間編入により安くなる駅でも840円までしか下がらないので3/31までの価格で示します。
大阪駅起点の場合
該当する区間は大阪駅からだと、
京都方面:山科・丹波口・稲荷
神戸方面:朝霧
福知山線:広野
大和路線:平城山
学研都市線:西木津
和歌山方面:和泉砂川・りんくうタウン(関西空港線は加算運賃のため840円以上となる)
となります。和歌山方面を除き、主要都市間の往復(京都・神戸・三田・奈良)だけでは毎日往復しただけでは元が取れません。
京都駅起点の場合
京都駅からでは、
湖西線:近江高島
琵琶湖線:能登川
大阪方面:尼崎
嵯峨野線:胡麻
奈良方面:郡山・同志社前・帯解・笠置
となります。滋賀方面は米原や敦賀まで行く必要はありませんが、奈良方面は奈良駅の先まで行く必要があります。そもそも奈良なら近鉄で行った方がいいのでは…?
三ノ宮駅起点の場合
三ノ宮駅からでは、
大阪方面:島本
尼崎経由福知山線:武田尾
東西線・学研都市線:寝屋川公園
大和路線:志紀
阪和線:堺市
姫路方面:曽根・神野
となります。京都や姫路、三田、堺まで行けばまあ元は取れるということです。
岡山駅起点の場合
岡山駅からでは、
山陽線東側:上郡
赤穂線:寒河
山陽線西側:大門
伯備線(吉備線経由・倉敷経由とも同じ):備中広瀬
瀬戸大橋線:840円を超えようとすると四国に突入
宇野線:端まで行っても840円未満
津山線:津山(途中駅はICOCA範囲外)
となります。どこも割と頑張って出て行かないといけない範囲に見えます。新幹線を使いたい距離ですがそれはできないんですよね。あと津山線は途中駅での降車が法界院駅を除きICOCAではできないのでそこもマイナス。
広島駅起点の場合
広島駅からでは、
山陽線東側:入野
呉線:安浦
山陽線西側:南岩国・川西(岩徳線)
可部線:端まで行っても840円未満
芸備線:840円を超えようとするとICOCAエリア(広島~狩留家)を逸脱
となります。この芸備線の「ICOCAエリアを逸脱」が山間部への誘客とは相性が悪いですね。ターミナル駅には新幹線があるのでそちらの方が便利が良く、岡山同様単に街に行くだけなら在来線という選択肢が現れてこないエリアです。
30日間もの長期間、どう使う?
確かに1日あたりに直すと無限大パスは1675円乗れば元が取れるのですが、問題はこのペースでの使用を30日連続でできるのか?ということです。結論から言うと少なくとも社会人にはほぼ不可能で、学生でも期末試験や春休みのスケジュールとの兼ね合いになるのではないでしょうか。あと無職は10万円も用意できません週末ごとに乗るとしても、全ての土日に日帰りで片道2500円分の距離の場所に行くとか、5000円分の距離のところに一泊するとか、そういうことになるかと思います。後はそれにプラスして平日、会社帰りにちょっと通勤経路から外れるところで一杯飲んで帰るとかでしょうか。案外JRはそういうことを望んでいるのかもしれません。
逆にそういうことをしないなら、青春18きっぷの方がローカル線でも支障がなくて良いです。
この「JR西日本無限大パス」はJR西日本からの挑戦状。我々は試されている…。
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