中村文則「カード師」と、 音信不通になった元彼
初noteです。記事を書く際、誰にでも承認欲求が発生すると考えているのですが、それを効率良く満たすために複合的なテーマを取り扱ってみよう!と思い立ちました。数字としてどんな結果が出るか、ワクワクしますね。
さて、先日わたくしは中村文則さんの「カード師」という小説を読了いたしました。
1ヶ月に20冊近く読書をするわたくしですが、500ページを超える大ボリュームの本を読むときは未だに身構えてしまいます。「対戦よろしくお願いします!!!!」と、初戦の相手とマッチングした際に覚える感覚とクリソツですね。
こちらの小説は、トランプ占いを営みつつ、ギャンブル活動に勤しむ「僕」が、資産家の「佐藤」の顧問占い師となった後に、次々襲いかかる不条理と向き合っていく…というのがおおまかなあらすじです。佐藤は奇妙且つ不気味な人間性を持っており、自身を騙す人間のことは容赦なく殺害します。
そんな彼の過去が終盤に明かされる際、主に「人間への固執」と「自身の特性に対する理不尽」の壁にぶつかっていた事が発覚します。
この「人間への固執」と「自身の特性に対する理不尽」の壁でわたくしが直近でぶつかった出来事が、タイトルにも表記しました通り、恋人との音信不通だったのです。
この小説を読み始める2週間前、付き合っていた彼氏が突如として全SNSアカウントを削除し、ゲームのフレンドも削除し、完全に姿をくらましていました。この出来事でのショックから、PTSD(トラウマの後遺症から日常生活が困難になる)と似たような症状が出始めたり、藁にもすがる思いで全く浮上していなかった彼のMisskeyへDMを送ったり…と、ファッションどころではないメンヘラっぷりを発揮したのですが、この時のわたくしは音信不通になった根本的な原因が何か、模索することをしていませんでした。
しかしわたくしも言うほどおバカさんではありません。合理的に原因を突き詰めようと、四六時中思考に思考を重ねました。そもそと彼とは初めての家デートで夜の営みをする予定だったのですが、音信不通により予定がパーになってしまい…じゃあ何がそんなに嫌だったの…?というような感じで。
その理由として確信した要素が、「合理主義の特性」です。
まず、合理主義故にセックスを論理的に説明しようとしていました。意味がわかりません。セックスに論理もクソもないです。そこから更に、後日調べた中で彼がアセクシャルの特性を持っていた事が判明し、本当に申し訳ない押し付けをしていたな…と今までに感じた事のない罪悪感を覚えました。
そんな暗闇のさなか、私を救ったキーワードが、カード師の帯に表記される程の名言「大切なのは悲劇を受けてなお、人生を放り出さないこと」という、人生の核心をつく一言でした。
小説は本当にすごいんです。いつ何の作品を読んでも、今の課題の道標が見つかります。
1度何かで精神を病むと、「この世で今1番可哀想なのは私だ」という悲劇のヒロイン症候群に陥りますよね。この精神状態の人達は、私のように中村文則さんの「カード師」を読んでみることを強くオススメします。想像できないような理不尽を乗り越え、生きている人間の人生を追体験する事で、あなたにも必ず生の心が蘇ります。
わたくしが本を読む理由を体現したようなエピソード(ほぼ自己満足)を、今回記事にまとめさせていただきましたが、皆さん誰しもが、本を読む原点に回帰できる瞬間があるはずです。
そんな1冊と巡り会えたこと、心から嬉しく思っています。本当に素晴らしかった。
長くなりましたが、今回はここまでです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!