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マイクロソフト「Microsoft Azure」がGM傘下クルーズの自動運転の事業化をさらに推進

note記事『戦略をアップデートする』は、競争戦略コンサルタントとしてGAFA×BATH等の米中メガテック企業をはじめ国内外トップ企業の動向をフォローしている田中道昭が、日々行っているこれら企業へのリサーチの中から、その内容をnoteでシェアするものです。

今日の『戦略をアップデートする』で取り上げる企業は、マイクロソフトです。

マイクロソフトは、2021年1月19日、「Cruise and GM team up with Microsoft to commercialize self-driving vehicles(クルーズとGMがマイクロソフトと自動運転の事業化に向けて提携)」とプレスリリースしました。

プレスリリースによると、GM傘下の自動運転開発会社クルーズ第83回参照)は、優先クラウド・プロバイダーとして採用するマイクロソフトの「Microsoft Azure」のクラウド&エッジ・コンピューティングを利活用することで、自動運転ソリューションの事業化をさらに進めていくとしています。マイクロソフトのクラウドやソフトウェア、クルーズの自動運転テクノロジー、GMの製造ノウハウを結集させて、三社はエコシステムを構築するべく長期的な戦略提携を締結しました。(ロイターの動画参照)

言うまでもなく、自動運転にとって、自然言語処理といった認知やアルゴリズム、「ビッグデータ×AI」、コンピューティング、GPU(第42回参照)などのバックボーンとなるクラウドはとても重要です。いわば脳神経を機能させるような役割を担うイメージ。

一方、エッジ・コンピューティングとは、デバイス(自動運転車両)とクラウドの間の伝播遅延をできるだけ短くするために、デバイスが点在するネットワークのエッジ(端)でコンピューティングを実行するという手法。消費電力の節約や自動運転の信頼性向上の観点からも重要となってきます。

マイクロソフトはクルーズへ出資も行います。ソフトウェア会社と自動運転会社が資本関係を結ぶという点では、アルファベット/グーグル傘下のウェイモ(第47回参照)と同じ事業体制となります。さらに、GMという伝統的な自動車メーカーとのエコシステムを築ける分、その競争戦略はウェイモとは異なってきます。他にも、独特の思想で独自路線をいくテスラ、オープンプラットフォーム「アポロ」のバイドゥなどなど、自動運転の社会実装への競争はますます激しくなっていくことが予想されます。

田中道昭

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