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海外留学体験記 #8だいたい想定外

留学すると、現地の生の声が聞けたり、そこに同じく留学で来た外国人に出会ったり、何もしないでも入ってくる情報に体全体で外国を感じます。これぞ留学の醍醐味で予期せぬことから想像と違う結果までそれはそれは様々で、言えば毎日が新鮮になります。
もちろんいいことばかりではなく、辛く悲しい体験もする事になるのですが、それも経験。学んだなと処理していきましょう。
その1
ショルダーバッグを切られる。イタリア編
ある学校の帰り、友人(日本人)と一緒に地下鉄で電車を待ちながらたわいもないおしゃべりをしていました。電車がホームに入ったのでそろそろと私達は乗車の準備をすると、まさに電車のドアが開いて、足を電車にかけた途端、イタリア人女性がちょっと、気をつけなさい、大丈夫?しっかりして!と私に注意喚起の声かけをして来たのです。私は「?」という感じで、後ろを見ると、私の振り返りと同時にその女性が後ろから私の前方に回り込み、最後に目の前で手をパンパンと叩きました。
事情が飲み込めず、まだ「?」な私に友人がジプシーに狙われていたんだと気付き、その人にお礼を言って、電車が出発しました。車内で襷掛けしていたウエストポーチを前に回すと、チャックが開けられていた事を確認。冷や汗をかきました。しかし金目のもの(この時は定期券)は内側のポケットに入れていたので開けられずに済み、無事でした。電車で座席に座った女性は「全然気づいてなかったね、開けられてたよ。」と。しかし、全く無感触だったのです。私は常に用心深いのでこのように鞄の口を前にしない場合は鞄の中がカラかもしくは万が一盗られても問題ないものしか背中にしないのですが、ちょっと迂闊でした。そして驚いたのが、その犯人は子供のジプシーで私は姿さえ目に入っていなかったということです。
とはいえ、その時はランチに向かっていたのでそのまま食堂へ行ました。
そこで2度目のびっくり。
友人は大きなショルダーバッグを肩にかけていたのですが、なんと、鞄の両面、2箇所ずつナイフで15cm程切られていたのです。よくもケガをせずに済んだこと。信じられませんでした。しかも友人はその子供のジプシーを見ていたのに自分が切られていることを知らずにいたのですから。しかもあのイタリア人も私の鞄のチャックが開けられている瞬間を見ただけのようで、友人の鞄が切られている所を知らない様子でした。チャックを開けるより、鞄を切り付ける方が時間がかかりますよね、本当に怖い、しかも一瞬で切っているから相当切れる刃物ということになります。幸い友人も何も盗られていなかったのでラッキーでしたが、カバンは縦に4箇所も切り裂かれた状態でもう使えません。肩にかけていたカバンは体をかいして前と後ろにわたっています。前、後ろに2箇所ずつですから目の前で切られた瞬間もあったわけです。相当動きを見ながら一瞬のスキを狙われたのでした。
イタリアではこのような犯罪は悲しいことに結構ある事なのですが、やはりカバンは胸で抱き抱えるのが普通です。

その2
お代は要りません。イギリス編
ある日、手紙を出す事になりまして、文房具屋さんに行きました。
ロンドンのとある文房具店に行ったのですが、私が欲しい封筒は小売がなされていませんでした。どれもこれも50枚くらい束になったもので、まあいいっかと思える数ではなかった為、店員さんにもう少し 少な目のものが欲しいんだけどと伝えると、「何枚欲しいの?」と聞かれたので「1枚でいいんです」と言うと、封筒の束からスッと1枚抜き取り「はいっ」と私に渡し、いいよと促し奥へ行こうとするので、!い、いくらですか?と言うと、いいから、あげるから、と行ってしまいました。店員さん、ありがとう。イギリス人は背中で感謝を受け取ってくれます。

その3
イギリスで出会ったフランス人
語学学校で知り合ったフランス人とそれぞれおもてなし交換をすることになりました。ある日は日本食で私達の日本料理をおもてなし。ある日はフランス人によるフランス料理のおもてなし。
フランス料理のおもてなしを受ける日、約束の時間になってもなかなか来ないのでどうなっているのかしら?と友人と少し諦めモードになっていると、ごめーーん!とやって来たフランス人。(2人)私と友人はお腹ペコペコだったのでやったー!と言う状態でした。
そこで始まったのはまず調理器具について。
これこれこう言うものを作りたいんだけど、ないね、と始まり、お隣さんに借りることになりました。雨の中を傘をさしながら事情を説明し、お隣さんに食器類を借り、やっと食べられる!と思ったら何やら様子がおかしい。
私達はペコのペコなのでご飯にありつけるというよだれ垂らし状態(待ったのもあって)なのですが、フランス人は真剣そのもの。(ちなみに2人ともシェフでも料理通でもなんでもありません。普通のフランス人です)
おかずにかかっているかと思いきや、やっぱりチョコレートを触っています。
ま、まさか!と思いましたが、やはりデザートから作るつもりのようです。こんなにお腹空いているのに、コース料理を作ってくださる様子。
まあ、おもてなしがメインですのでそこは最高のものをとコースを外せないのでしょう。ガトーショコラから始められました。そこからどれくらい待ったか覚えていませんが、メインとデザートを見事に作り上げたのです。そしてこの日出されたガトーショコラがうまいことうまいこと。生まれて初めて食べたのですが、もう絶賛の嵐です。もう一度言いますが、二人はただのフランス人です。そしてすかさずそのレシピをもらい、私はその日以来、このガトーショコラをことある毎に焼くことになるのでした。


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