リアリティ・トランサーフィンの考察㉙『目的と扉』
トランサーフィン第2巻の考察も、いよいよ残すところあとすこしとなりました。第1巻はすべての章を順番にとりあげたのですが、第2巻ではページ数でいえば多分3分の1くらいの内容を端折っています。それでも記事にしてみたら第1巻分とボリューム的にはそんなに変わらなかったので、それだけ第2巻は内容が濃いのですね。
さて、第2巻の記事では外的意図についてずっと書いてきました。じっさい、トランサーフィン第2巻はまるっと外的意図の話といえますね。そして、いよいよこの話にも締めくくりが近づいていますが、この記事ではまず最初に、ここまでの内容を簡単に振り返ってみましょう。
まず、夢のなかではどうしてものごとが自由に、そして速やかに起きるのか? ということを考えながら、意図には内的意図と外的意図というふたつの種類があることをみてきました。
いま現在いるセクターの中で行動を起こすだけで現実化できる目的は内的意図がそれを果たしますが、それが現実化するためにはバリアントの空間を大きく移動して、別の人生ラインへと転移する必要があるような目的をかなえてくれるのは外的意図です。
理性はバリアントの空間そのものにアクセスできないため、セクター間を移動する力を持っていません。それができるのは魂ですから、外的意図における主役は理性ではなく魂です。しかし、魂はバリアントの空間のどこにでもアクセスはできますが、アクセスした先のセクターを現実化、物質化させるためには理性の力が必要です。
つまり、人生ラインを移動させるには、魂と理性の協力関係がぜったいに欠かせないのです。これを魂と理性の一致とトランサーフィンでは呼んでいますが、この魂と理性の一致があるとき、外的意図が目的を現実化してくれます。
魂にはこの人生において計画してきたプランがあります。いっぽう、理性には自由意志が与えられています。そのため理性は色々なことを願い望みますが、それが実現するかどうかは、その目的が魂のプランに沿っているか、あるいはすくなくともプランから大きく外れていないことが条件になります。
目的が魂のプランにあるかどうか、つまり、その目的の実現を魂が望んでいるかどうかは、魂の快・不快によって判断します。
理性がなにかを望んで、魂がその目的が現実化されることを望んでいる(=快)なら、そこで魂と理性はひとまず基本的な合意に達したと言えます。
ただ、それだけでは外的意図はまだ働きません。合意だけではなく、「所有し行動する決意」という形で魂と理性が一致することが必要だとゼランドは言っています。「所有し行動する決意」に取り組む、とは重要性の引き下げや、スライドのことを指しています。また、魂とのつながりを強化し、魂の声がより聞こえやすくなるように、守護天使を作るというアイディアも、ゼランドは用意してくれていますね。
なお、補足になりますが、外的意図によって目的が実現されるケースでも、内的意図は基本的には必要です。その場その場においてなにかを決意し行動するのは内的意図の仕事ですね。
たとえば宝くじに当選する人生ラインがあるとして、そこへ移動するのは外的意図の仕事ですが、どこかで必ず宝くじを買う瞬間がありますね。宝くじを買うのはもちろん内的意図の仕事です。また、資格試験に合格するというような目的であれば、外的意図が合格する人生ラインへと導いてくれているとしても、その途中にある個々のセクターでは内的意図によってしっかり勉強しなくてはなりませんね。
とはいえ、外的意図が奇跡のようなことを起こしてくれることもありますから、その場合は内的意図がまったく関与していないかもしれません。でも基本的には、目的の実現のためにやる必要のあることはしっかりやるべきですね。
さて、ざっと振り返ってみましたが、外的意図のメカニズムとその使い方については、これで一通りのことはすべて紹介できていると思います。
原著の残りの部分でゼランドが最後の締めくくりとして展開しているのは「どんな目的を選ぶか?」というお話です。トランサーフィンはたしかに願望実現法といえるだけの内容を備えてはいますが、その本質は願望の実現ではなく「いかに不運を避けて、幸運の波に乗るか」であると、わたしは思います。とくに重心は「不運を避ける」の方にあって、それができれば必然的に人生はよいものになっていくということが書かれていると理解しています。
その観点から「外的意図による目的の現実化」を見てみると、トランサーフィンはどんな願望でも叶えられるとは言っていないことが分かります。トランサーフィンが言っているのはそういうことではなく、「あなたを幸せな人生ラインへと運んでくれる目的」を見つけることができれば、それを現実化するためにトランサーフィンは役立つ、というものです。
もっとも、振り子や平衡力の影響を回避する術を心得て、状況とのあいだにすこし距離をおいて見ることができるようになれば、それだけでその人はバリアントの小流に乗って必要な人生ラインへとサーフィンできるようになれるはずです。そんな人生ラインで見つかる目的の多くはきっと、あなたの魂がその実現を望んでいることでしょう。つまり、そこでは外的意図についてなにも考えなくても、目的は自然と現実化に向かっていくはずです。
このことを前提に考えれば、外的意図について学ぶことの意味は、そんな人生ラインにおいて目的が現実化するメカニズムを念のために詳しく知っておこう、というものだと言えます。逆にいえば第1巻の内容を実践せずに外的意図だけ使おうとしても、それは無理な注文だということです。
このことを念頭に、この記事の残りでは、「目的と扉」について考えてみたいと思います。
扉という言葉はここまで登場していませんが、目的に通じる扉という意味です。目的の達成方法・手段のことと考えてもらってよいですが、単にきっかけや機会を指していうこともあります。とりあえず、なんらかの目的へと進む道にはなんらかの扉がある、と思ってください。
振り子の影響下に陥っている状態とは、それが自分の振り子でないかぎり、他人の目的を現実化させることに大なり小なり協力していることを意味しています。多くの人が、振り子によって与えられた他人の目的を、自分自身の目的だと錯覚してしまっています。しかし、そんな他人のための人生ラインには幸せは待っていないとゼランドは言います。
そして、さらにこう言います。
「いまここで幸せなら、この先も幸せだ。しかし、いまここで幸せでないなら、この先も幸せは待っていない」と。
これは非常に重要な指摘です。いまここで幸せである、という言葉はスピリチュアルな文脈においてもよく言われるものですが、ここではそういった解釈は不要です。これが意味しているのは自分の人生ラインの上にいるなら、あなたはいまここで、すでに幸せを感じているということです。
逆に、あなたがいまここで幸せでないのなら、あなたは他人の人生ラインの上を歩いている(歩かせられている)ということです。
幸せの源泉は、自分の内側にあるものです。真実において、すべてはひとつであり、そこにはどんな不足もありません。不足感や欠乏感は、分離しているという錯覚(幻想)から生まれてくるものです。
目的を達成したら幸せになれる、という思いはこうした不足感や欠乏感の現れ方の一つですね。そのような思いがあるということは分離という幻想のなかにどっぷり浸かっているということを示唆しているといえるでしょう。振り子に支配されて他人の人生ラインを歩かせられている状況には苦が多いはずですが、それはその人の意識レベルが低い領域に抑圧されてもいるということです。
いっぽう、自分の扉を通って自分の目的へと進んでいるとき、すなわち自分の人生ラインを歩んでいるときは、無条件で幸せです。目的をみつけて、その現実化を決意しただけで幸せな気持ちになれるなら、それは自分の扉をくぐって自分の目的へと歩きはじめたということです。そこには不足や欠乏感はなく、義務感や強制されている感じもありません。これは、より統合的なあり方です。そこにはもはや大きな問題はひとつもないことでしょう。
問題の多いほう、つまり他人の目的へと向かってしまっているケースについて、ここでもうすこしみてみましょう。
いまここで幸せでないのなら、その時点ですでに他人の目的に向かっているはずですが、多くの人は、自分が幸せなのかそうでないのか、実はよく分かっていないと思います。それは、先ほども触れた分離感という幻想のせいです。お金があれば幸せだとして、収入が増えればその人は幸せだと感じるかもしれませんが、しばらくもすれば、その収入ではぜんぜん足りない、やっぱりわたしは不幸だと思うかもしれませんね。
そのような状態だから、他人の目的を自分の目的と見紛うわけなのですが、ともかく冷静になって観察してみれば、そこに強制されている感じや義務感をみつけることはできるでしょう。多少なりとも意識的でいることができれば、状況と距離を置くことができて、そこになにがあるのか、そこでなにが起きているのかを正しく把握することができるでしょう。意識的でいられること自体が意識レベルの上昇を示唆していますので、それによって状況がよくなっていく(統合的になっていく)のも道理ではあります。
今回はここまでになります。
いずれにしても、自分の人生ラインを歩んでいるのなら、とくに言うべきことはありません。トランサーフィンの本領は不運を回避するところにあるということは先にお話しましたが、それでいくとよく知っておくべきなのはこの「他人の扉と目的」についてです。次回はそこをもっと詳しくみていきましょう。
読んでくださってありがとうございました🙂
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