
450年前の響き【筑紫筝】 題名のない音楽会
「題名のない音楽会」箏の革命者をたどる休日~失われた音を求めて~
2025年1月4日に放送
お箏を習っているので、これは見なくてはと思いました。
自分の勉強も兼ねての記事になります。
=ゲストは 箏アーティスト LEO
もうこの番組の邦楽部門ではレギュラー的な、LEO(レオ)さんがゲストです。
LEO KOTO ARTIST の紹介
1998年横浜生まれ。本名・今野玲央。9歳より箏を始める。
音楽教師であり箏曲家のカーティス・パターソン氏の指導を受け、のちに箏曲家 沢井一恵氏に師事。16歳でくまもと全国邦楽コンクール史上最年少 最優秀賞・文部科学大臣賞受賞。一躍脚光を浴び、2017年19歳でメジャーデビュー。同年、東京藝術大学に入学。
MBS「情熱大陸」、テレビ朝日「題名のない音楽会」「徹子の部屋」など多くのメディアに出演。セバスティアン・ヴァイグレ、井上道義、秋山和慶、沖澤のどかをはじめとした指揮者や、読売日本交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、京都市交響楽団、神奈川フィルハーモニー管弦楽団と共演しソリストを務める。
2021年、藤倉大委嘱新作の箏協奏曲を鈴木優人指揮・読売日本交響楽団との共演で世界初演。2022年、箏奏者として初めてブルーノート東京でライブを開催。また、同年SUMMER SONICに異例の出演を果たしたことでも話題を集めた。出光音楽賞、神奈川文化賞未来賞、横浜文化賞 文化・芸術奨励賞受賞。
伝統を受け継ぎながら、箏の新たな魅力を追求する若き実力者として注目と期待が寄せられている。
=筑紫筝曲
現在の箏の起源をたどると、安土桃山時代に九州北部で始まった「筑紫筝曲」になります。
筑紫筝曲がなければ有名な「春の海」は誕生しなかったともいわれているそうです。
が、現在は伝承が途絶えその音は失われてしまったといわれています。
その筑紫筝曲の音を求めて、そのキーマンとなる人物で僧侶の「賢順けんじゅん」ゆかりの福岡県の 大本山善導寺を訪ねます。
賢順はこの寺で雅楽の合奏楽器の中の一つであった箏を独立させ「筝曲」というジャンルを確立させたとのこと。
箏の役割が大きく変わった時だそうです。
そして賢順の弟子(法水)が江戸で八橋検校に筑紫筝曲を教え、現在の筝曲の基礎となったそうです。
=筑紫箏
佐賀県に450年前の「筑紫箏」があるということで訪ねていきます。
重要文化財となっている箏の、まばゆいばかりに美しいこと!
これは弾くためではなく芸術品にしか思えません。
弾いていたのでしょうか?
それともどこかのお姫様の嫁入り道具だったのでしょうか?

桐材に黒漆を塗り、平蒔絵、梨地及び螺鈿によって装飾された十三弦の華麗な箏である。中央部分、長方形の龍甲には全面に平蒔絵、梨地及び螺鈿の併用によって立葵が伸びやかに描かれ、また上方には平蒔絵と梨地で、つがいの蝶がそえられる。龍甲裏面の墨書から、天正5年(1577)に箏本体が制作されたと推測できるが、蒔絵などの装飾は、江戸時代前期までくだる可能性が考えられる。
このほかに、賢順自身が1583年に作った箏も残っていました。
=復元させた「筑紫箏」の演奏
もともと筑紫筝曲は、娯楽ではなく精神修養のための音楽で、狭い範囲の物だったこともあり、途絶えてしまったそうです。
しかしLEOさんは筑紫箏を復元させて、箏を「専称寺」で演奏します。
収録された音がこのサイトで聴くことが出来ます。
自然とシンクロしている音。
情景が浮かぶような響きです。
今聴いても、全く違和感はありませんでした。
この音があの安土桃山時代に流れていた音なのかと思うと感動します。
=今野玲央作曲「常若」
最後に福岡県の宗像大社で、筑紫箏を演奏されました。
LEOさんが作曲された「常若」を初めに筑紫箏で弾き、次に25弦の箏で現代風に弾かれました。
そして最後にまた、筑紫箏に戻って弾き、幕を閉じます。
この宗像大社での演奏は450年前の歴史を感じさせ、新春にふさわしくとても心が落ち着きました。
=現代の響き 最後に若い人たちのジャンルを超えた演奏をおいておきます
LEOさんにはこれからの邦楽の世界を、色んなジャンルをかけ合わせながらどんどん広めて欲しいです。
LEOさんと、私の押しの角野隼斗さん(ピアノ)と、伊藤ハルトシさん(チェロ)、との3人で演奏した坂本龍一さんの「1919」をここに置いておきたいと思います。
3人の芸術家の力のぶつかり合いと、融合が素晴らしいです。
いいなと思ったら応援しよう!
