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インタビュー効果を劇的に高めるロジカルリスニング ~新規事業伴走メンタリングの現場③~

メルセネール・大道寺です。
今回も新規事業を検討する上で重要なアクティビティの1つである、「インタビュー」がテーマです。今回はその中でも、インタビューの効果を高める”ロジカルリスニング”を取り上げます。

ケース ある採用サービスの顧客インタビュー

HR-techなど採用領域で新規事業を模索していた際の話です。
エンドユーザーがどのようなことを考え、就職・転職していくのか?という理解ができていないため、エンドユーザーへのインタビューを実施していました。

数件のインタビューを重ねたクライアントが、なかなかインタビュー相手から聞き出せていない・・・とのことで悩んでいました。そもそも語ってもらえないのかというと、そういうわけでも無く、むしろ多くを語ってくれることの方が多いようでした。

私はメンターとして、現場でどのような問題が起きているのかを確認すべく、インタビュー実施の場に参加しました。
すると・・・

クライアント(=聞き手)
「あなたが今の会社に入社されたご理由を教えてください。」

インタビュー(=受け手)
「技術力に惹かれたからですね。もともと就活をする前は当社を知らなかったのですが、大学の研究室で〇〇の研究をしていまして、当社がこの技術テーマを扱っていろいろ研究をしていると教授が教えてくれたことがきっかけです。その後この技術を初めて商品化して市場に出したのがこの当社だと知りました。あと、就活って家族も気にするじゃないですか。父親が非常にいい会社だと言っていたこともありますね。なんだかんだで今後も長く残っていく会社に入りたかったという想いがあった気がします。ゆくゆくは家庭を持ちたいですし、その際には福利厚生がしっかりしていることは重要ですよね。初任給が同業よりも高いのも決め手でした。あと、技術者への教育制度も手厚いですよ。」

クライアント(=聞き手)
「えっと、そうですね。。。」


というように、多くを語ってもらったが故に、『どこから掘り下げるべきか?』『何を問うべきか?』が分からなくなってしまう典型的なケースです。

インタビュー相手は決して悪気はなく、思っていることを一生懸命に話してくれているのです。また特に自身が体験した過去の事象は話しやすいテーマなので、堰を切ったように話し続ける人も少なくありません。

このようなケースにどう対応すべきなのでしょうか?


ロジカルリスニングという技

”ロジカルシンキング”という思考様式を聞いたことがある方は多いと思います。自身が物事を考える際に論理的に構造化をしながら考えましょうという様式です。切り口はMECEで設計するなどいろいろとコツはあります。ロジカルシンキングに関しては専門書籍やnoteにお譲りします。

私がおススメするのは、このロジカルシンキングをインタビューの聞く場面で活用するということです。これをロジカル”リスニング”と言います。

インタビューにおいて受けて側はそれほど論理的に話そうとは思っていません。そもそも分かりやすく論理的に話して頂ける方に出会えること自体を幸運に思いましょう。
受け手の話をしっかりと整理しながら紐解くのは聞き手の大事な役目です。

さて、改め先ほどの話を見てみましょう。

「技術力に惹かれたからですね。もともと就活をする前は当社を知らなかったのですが、大学の研究室で〇〇の研究をしていまして、当社がこの技術テーマを扱っていろいろ研究をしていると教授が教えてくれたことがきっかけです。その後この技術を初めて商品化して市場に出したのがこの当社だと知りました。あと、就活って家族も気にするじゃないですか。父親が非常にいい会社だと言っていたこともありますね。なんだかんだで今後も長く残っていく会社に入りたかったという想いがあった気がします。ゆくゆくは家庭を持ちたいですし、その際には福利厚生がしっかりしていることは重要ですよね。初任給が同業よりも高いのも決め手でした。あと、技術者への教育制度も手厚いですよ。」

この話もロジカルリスニングを駆使しながら聞いてみると・・・

  1. 技術力がある

  2. 長く残る会社である

  3. 父親が良いと言っていた

  4. 待遇が良い

  5. 初任給が同業より良い

  6. 福利厚生がしっかりしている

  7. 教育が整っている

ということをパラパラと語っていることが分かります。
まずはこの要素分解が必要になります。

その上で、話を聞きながら再構築してあげる必要があります。インタビューの受け手が本当にそう考えていたかどうかは分からないですか、仮説で再構築をしてみましょう。

7つの分解を踏まえて再構築するイメージ

個別具体的なことを聞きながらも、「この人はどんな視点で語っているのだろうか?」に想いを馳せることが重要です。こんなことを言いたいのでは?、この人はこんな視点で考えているのでは?、と想像しながらまとめていく感じです。

大事なのは、その整理が正しいかどうかではなく、整理することで、自分も相手も理解をスムーズにかつ深めながらインタビューを実施することができるということです。

そして忘れてはならないのが、受け手の頭の中は整理されていなことの方が多いという事実です。聞きながら再構築を行い、「あなたが仰っていることは大きくこれとこれですか?」という確認を入れることで信頼を得ることができるようになります。相手の言いたいことを整理・確認し、更に質問を投げかけていくのが非常に有効です。

リスニング後の問い

ロジカルリスニングができれば、後はそれに対して問いを投げるのみです。
整理ができた後の頭の中はこんなイメージです。

。ロジカルリスニング後の問いの方向性

整理をすることで、次に何を聞くべきかが見えてきます。具体的に何なのか?、その理由は?といった掘り下げる系の問い。もしくはそもそもどのような前提・思想を持って話しているのかを確認する、根源を確認する系の問い。

ロジカルリスニングができようになると、質問は自ずとできるようにな
す。

新規事業開発において、顧客・市場を理解するには必須のスキルと言っても過言では無いです。このスキルの磨き方ですが、常日頃から関わる人の話をロジカルリスニングしてみましょう。特に感情のまま話す人は練習の最適な相手です。
是非、日々日々トライしてみてください!

※フレームワークを知りたい!という方はこちら
こちらを基点に基本的なフレームワークを対話形式で整理しています


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