メルカリの体験をつくる、とにかく目立たないデザイン。
こんにちは。
メルカリデザインブログです。
今回は、世にも目立たない(だけど重要な)デザインの話です。
目次
・チェックボックス1つ追加しただけ?
・リリース後の変化
・体験をデザインする仕事
・最後に
・イベント告知
現在、メルカリのデザインチームは、メルカリというサービスのデザインを手がけるプロダクトクリエイティブチームと、コーポレートブランディングに関わるブランドクリエイティブチームに分かれています。
プロダクトクリエイティブチームは、どちらかというと、目立たないデザイン作業が多い、と言えるかもしれません。
以前、こちらの記事で書いた、忍者っぽいデザインとも符合します。
今回は、実例を上げながらプロダクトクリエイティブチームのひそかな活躍をご紹介します。最後にはイベントの告知もあるので、ぜひご注目ください。
世にも地味なデザインの重要な役割、その一端に触れていただけたら嬉しいです。
チェックボックス1つ追加しただけ?
ときどき「メルカリってもう出来上がっているけど、何を作っているの?」と質問されます。
リブランディングのように大々的な発表をするわけでもないし、ビジュアルとしてわかりやすい変更ばかりではありません。
プロダクトクリエイティブチームは、「気づかないうちに使いやすくなっていた!」というデザイン変更を手がけているんです。以下に具体例をご紹介します。
地味デザイン事例:売り切れ表示・非表示問題
課題:メルカリで商品検索をすると、売り切れの商品もいっしょに表示されてしまう。商品を探して購入しようとしているお客さまにとっては、「売り切れの商品が邪魔である」という意見があった。
この課題を受けて実装した変更は
チェックボックスを1つ追加する
というものでした。
『え、チェックボックス1つ追加しただけじゃん』と思われるかもしれません。
これ、大きな変更なんですよ!地味だけど!
以下に売り切れ表示チェックボックスに関する議論の一部を共有します。
そもそも売り切れた商品を表示するのはどうして?
→メルカリは買うためだけの場所ではなく「売る」場所でもあり、出品者にとって売り切れの商品は価格の参考や、どのくらいの数量出品されていたのかを把握するために有益な情報です。一切表示しないのは不親切になってしまいます。
売り切れを除くという機能ってもともとついてなかった?
→従来から、売り切れ商品を除くことは「絞り込み」から設定すれば可能でした。そのため、情報の構成上、売り切れを除く機能が二重になってしまいます。「構造上おかしいので反対」というデザイナーの意見と、「購入するという視点で重要」というプロダクトマネージャーの意見がぶつかり、さまざまな議論が巻き起こったポイントです。
結果として、構成としては違和感があるかもしれないけれど、実際にあったら便利ではないか?と、実際に使う側の気持ちに寄り添って、セオリーを超えた判断としてチェックボックスを実装しました。
リリース後の変化
その結果。
A/Bテストから徐々に拡大し、ポジティブな反応も多く、100%公開にいたりました。
実際にtwitterなどでもポジティブな反応をいただいています。
お客さまからの反応(一部抜粋)
・探しやすくなった
・チェックボックスできてめっちゃ便利…!
・チェックができたので、ストレス減少
・いつの間に「販売中のみ表示」なんて便利なボタンついたの(なんで今までなかったの)
お客さまだけでなく、社内の反応も多くありました。一部抜粋します。
社内からの反響
・100%公開いつ?あの機能がないと恐ろしく不便(A/Bテスト実施時)
・意識せずに当たり前のように使っていた…
・買い物がめっちゃはかどる!
体験をデザインする仕事
この施策はプロダクトマネージャーの「チェックボックスを追加したい」という、具体的な改善提案を発端に実装されました。
単純にチェックボックスを追加する作業だけであれば、短時間で終わっていたかもしれませんが、その提案を受けてから、実際には以下のようなプロセスで実装にいたっています。
「購入者にとって売り切れが邪魔」という課題の本質を理解し整理する
↓
どういう方法で解決できるか、アイデアを考える
↓
そのアウトプットが「メルカリのお客さまにどういう影響があるか?」をイメージし、マイナスの影響をリストアップする
↓
A/Bテストを行い実際にストレスなく使ってもらえるか検証する
↓
上記のステップをクリアした場合のみ、100%実装する
数千万人のお客さまが、それぞれの用途の中でなめらかに、無意識に使用できるサービスとはどんなものなのか?
そこに答えはないからこそ、一見簡単に思える正解に対しても常に別の角度から考える姿勢を持ち、使う側の気持ちを想像して、一つ一つ慎重にアップデートを続けています。
繰り返しますが、決して派手ではありません。けれど、守ることと変化させること、そのどちらかに傾くことなく、プロダクトマネージャーやエンジニアとコミュニケーションをとり、最適な方向へ導く。まさにメルカリの裏側を支える仕事といえるでしょう。体験全体をデザインする、と言えば伝わりやすいかもしれません。
最後に
美しいグラフィック。リッチな動画コンテンツ。物事を適切に伝える言葉や、組織を導くデザインシンキング。
デザインチームにはさまざまな才能を持つメンバーがいて、それぞれがプロフェッショナルを発揮しています。
そんな中で、プロダクトデザイナーは派手ではないけれど、メルカリというサービスの中心にダイレクトに関わる、重要な役目です。
そして、決して目立たずに目的(なめらかなお買い物体験)を遂行する様は、まさしく忍者的。
現在メルカリでは、プロダクトデザイナーとして一緒に働いてくれる仲間を募集中。高い専門性と、デザインだけに囚われないプロダクトやITサービスへの理解とセンスが求められる仕事です。
興味を持ってくださった方は、以下でご紹介するイベントに足を運んでみてください。
イベント告知
メルカリのサービスを担当する現場のデザイナーが参加するミートアップ「Mercari Product Designers' meetup」を12月6日(木)に開催予定です。
私たちデザイナーが実際にどんな仕事をしているか。何を大事にしているのか、直接お話させてください。
メルカリのプロダクトデザイナーにご興味ある方を大歓迎します。
参加応募は、こちらの応募フォームから。
Mercari Product Designers Meetup
日時:2018年12月6日(木) open 19:15 / start 19:30
場所:メルカリ本社オフィス
参加費:無料
応募方法:こちらよりご応募ください
※抽選結果はメールにてお送りいたします
みなさまにお会いできることを楽しみにしています。
企画:プロダクトクリエイティブチーム
イラスト:デザイナー テニス
編集:コピーライター 長嶋太陽