PMF評価に必要な分析とは?新規事業を加速させるデータアナリストの働き方
こんにちは、Mercari Analytics Blog 編集部です。
連載「メルカリのデータアナリストが向き合う11のテーマ」、今回はProduct Analyticsチームの@Mizuさんによる「新規事業編」をお届けします!
@Mizuさんは2022年1月にメルカリ入社後、爆速で新規事業の成長に貢献しています。
たしかに内容を読む限り、入社後たった3ヶ月で行ったことだとは思えないボリュームでした。早速見てみましょう!
新規事業に求められるデータ分析とは
――取り組みのミッションは何ですか?
“メルワーク”という新規事業にて、お客さまに対して時間やスキルを価値に変えるプラットフォームを提供させていただきつつ、得たデータを元にして主にメルカリの体験をより良いものにすることでメルカリの事業成果へ貢献することです。
――ご自身はどのような役割ですか?
プロジェクトチームのOKRやKPI目標値の達成を実現するために、主にKPI・PMF(Product Market Fit)・Growthに関連する分析を行っています。具体的には以下のようなものです。
KPI: KPIの整理と予測、ダッシュボード構築と啓蒙、ビジネス貢献可視化のための実験計画や因果推論、各種ロジック策定など
PMF: 定量&定性データ分析、セグメンテーション、ジャーニー可視化など
Growth: ファネル分析、施策立案のサポート、施策効果の予測と検証など
――取り組みに参加したきっかけは何ですか?
新規事業のデータアナリストとして成長したい気持ちがあり、該当のポジションに応募して入社しました。メルカリの多様で優秀なデータアナリストたちの知見を吸収しながら、手段を問わず事業成長に寄与していくキャリアに魅力を感じたためです。
PMF分析は定量・定性の二刀流で
――チームのObjectiveは何ですか?
概ね四半期毎にObjectiveは進化していきますが、直近では新規事業のビジネス貢献への可能性を証明することです。プロダクトはどれだけ受容されているか、また、得たデータによって体験がどれだけよくなって事業にインパクトを出せるか、などを明らかにしていきます。
――そのObjectiveに対して、チームとして今どのような課題に取り組んでいますか?
少し前ですが、プロダクトがどの程度・どのようなお客さまに・どのような特徴が受容されているかを明らかにするといったPMF分析に取り組んでいました。
――その課題に対して、どのように分析を進めていますか?
まだ解き明かされていないことが多いので、包括的に複数のデータを用いながら仮説検証的分析と仮説探索的分析の両方を行いました。
まず行動ログによって、お客さま視点での時系列推移(≒ジャーニー)で、どのようなタイミングで離脱が発生したり、逆にエンゲージメントが増したりしているのかを可視化しました。そういった情報を参考にしながらセグメンテーションを行い、セグメントごとに探索的分析を行って特徴を掴みました。
次にアドホックアンケートによって、心理的受容性や利用目的等をもとに行動の裏付けを理解しつつ、仮説検証をしていきました。また定性回答からインサイトのヒントを探っていきました。
さらにより深くインサイトを整理していくためのデプスインタビューによって、初回利用から習慣化に至るプロセス内での体験や心理的変化、類似サービスとの比較などについてDeep-diveしていきました。
――その分析のアプローチ方法やプロセス等を用いた理由は何ですか?
理由は3つあります。
こうした複数のデータソースを扱った包括的な分析を初期の段階でしておくことで、後の意思決定や分析時のリファレンスとして機能したり、深掘り課題の発見や新メンバーのオンボーディングのサポートにもなったりします。
――分析における難しいポイントは何ですか?また、それをどのように乗り越えていますか?
私自身としてはインタビュー結果をどのように理解・整理・活用していくかといったことにはあまり経験がありませんでした。ですので、所属するAnalyticsチームの中でも特にInsight Analyticsチームにヒアリングをして、知見を得ながら分析を進めました。
――分析の中で意識しているポイントは何ですか?
分析のスピード:スピードは深さを、深さはより大きな事業貢献を生んでくれることを期待しています。比較的時間のない新規事業ではなおさらですので、場合によっては多少粗い分析で進めることもあります。
分析の順番:全体から詳細へ。現象から背景へ。PMFからGrowthへ。などのように分析の優先度を事業の状況と分析のフェーズから決めています。
インフォームドコンセント(のような概念):分析しきれていないことが相対的に多いので、何が分かっていて何が分かっていないか、どのようなリスクがあるかなどを理解しつつ、意思決定のサポートをしています。
――取り組みに参加するやりがいは何ですか?
お客さまがプロダクトを楽しんで活用いただいている様子を見かけると、やりがいを感じます。
またアナリストとしては、分析手法を限定することなく事業に貢献していきたいと思っています。
その点メルカリの新規事業を担当するデータアナリストは、先ほど記載したように他のチームから横断的に知見を吸収しながら実体験していく環境を得やすいです。
多様な分析課題を担務しつつ、スキルを伸ばしたい私のような欲張りデータアナリストにはおすすめなポジションです。(宣伝です!募集要項はこちら)
多様なメンバーとのリモートワークでは「曖昧性」を無くす
――チームには、どのような職種の人がいますか?
PM・各種エンジニア・デザイナー・QA・CS・BizDevなど多様なメンバーがいます。PMと関わることが多いですが、それ以外では現在はBEエンジニア・MLエンジニアと関わることが多いです。例えば、取得データの後処理のロジックを私が検討やシミュレーションし、実装をBEエンジニアに対応いただくようなケースもあります。
――コミュニケーションはどのように行っていますか?
分析関連のコミュニケーションについてですと、PMたちとは主にSlackでほぼ毎日しています。
それに加えて、隔週で直近の分析結果の共有や分析プランの擦り合わせをGoogle Meet上で行っています。その他ホットなトピックがあれば、単発的なMTGも行っています。
――リモートワークで気を付けていることはありますか?
例えば、共有する分析ドキュメントでは、一人歩きしないように前提条件や定義の記載などによって曖昧性を極力無くし、場合によってはクリティカルな観点も記載するように気を付けています。また、Slackでは言葉が堅くなりすぎないように注意しています。
企画初期からグロースまでを担当できるアナリストへ
――ご自身として、今後高めていきたいスキルや得たい経験はありますか?
企画段階の市場調査→ローンチ時のPMF分析→PMF後のGrowthまで幅広く対応し続けたいです。なので、個人的には事業企画時のマーケットリサーチや精緻なKPI予測スキルをより高めていきたいと思っています。
――データアナリストとして、今後取り組みたいテーマは何ですか?
直近ではA/Bテストが上手く出来ない場合の効果計測や因果推論のアプローチ標準化、ポリシー策定に興味を持っています。また、半分趣味として消費者行動の研究もしていきたいです。
――こんな人と一緒に働きたい、というイメージがあれば教えてください
あくまでもデータ分析を事業成長や意思決定のための一つの手段として理解して、プロアクティブに柔軟にポジティブに行動いただけるような方と働けたら嬉しいです!
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