データ分析初心者向けおすすめ本のご紹介 〜第4弾・データ可視化・資料化力編〜
メルカリAnalyticsチームの@nakanipiです。
今回は、データ分析初心者の方向けのおすすめ本 第4弾として「データ可視化・資料化力」に関する本を紹介します。
同シリーズのものはこちらをご覧ください。
今回はおすすめの本をProduct Analyticsチームの@takahideさん・@suwachanさん・@Mizuさんに聞きました。データ活用を学びたい幅広い層の方におすすめしたい情報をまとめております。
はじめに 〜可視化・資料化力の重要性について〜
「分析設計力編」にて良質な問いについての重要性について、「データ集計力編」にて正確かつ効率的な検証について、それぞれお伝えしてきました。そして、データ分析を用いて事業の意思決定に貢献するためには、関係者と問いを合意し、簡易に結果を伝えることが重要となります。
今回は伝えるための手段として「データ可視化・資料化力」の重要性と、それを学ぶための書籍やWebサイトを紹介します。
1. 「データ視覚化のデザイン」
suwachanさんおすすめの本がこちら。メルカリにデータアナリストとして入社し1年が経とうとしていた頃、ダッシュボード作成をきっかけに手にとった本だそうです。
この本について
どういった課題を持ってこの本を読みましたか?
suwachanさん:可視化の引き出しが少ないことを課題として持っており、伝えたいことを伝わりやすく表現する方法を模索していました。この本を読んで、以下2点が個人的に参考になりました。
目的別に推奨チャートが紹介されている
折れ線と棒グラフを多用していたので、可視化方法の引き出しを増やすことができた
人が図をどのように認知するかが紹介されている
例) 色使い
人が一度に認識できる色は8色、著者は4色をおすすめしている
例) 2軸のグラフ
時と場合によるかもしれませんが、2軸で表現されている図は認知の負荷が高いため、上下2つに分けたほうが良いなど
2軸のグラフに関しては、日経新聞が上下2つに分けた方法で可視化しているようです。
nakanipi:なるほど、では可視化によるレパートリーや認知について課題がある方に対してドンピシャな本ですね!特に、認知的負荷については知っておくだけでグラフの質が数段アップしそうな予感がします!
この本を読むことによって課題は解決できましたか?
suwachanさん:半分くらい解決できたと思います。可視化するスキルだけでは、伝えたいことをきちんと伝えられるとは限らないと思っています。何を伝えたいのかという目的を考えた上で、対象や期間を含めて指標を定義することと組み合わせてはじめて、意味を持つ可視化になると思っているからです。
例えば、「セグメントA・Bの売上の差が縮まってきている」と言いたいとき、過去2年間の推移を取ってきて以下のような可視化をしたらどうでしょう。
※数値はダミーです。
売上の差は縮まっていそうですが、「差が縮まっている」というメッセージがはっきりとは伝わりづらくなっています。また、凡例が遠いため、各線が何を指しているのか分かりづらくなっています。メルカリカラーを使ってはいますが、セグメントBの売上を強調したいようにも見えます。時間軸の粒度も分かりません。
一方で、以下のような可視化の場合はどうでしょうか。
「A - B」の指標のみを可視化してみました。
線の横に「A-B」という系列名を記載
横軸・縦軸のタイトルを追加
「差が減少」というメッセージを明確に記載
色も一般的なものを利用
時間軸が月次であることを強調
以上を行うことで差が縮まってきていることを、より明確に伝えられると思います。もし関係者の方が売上の実数値が気になる想定であれば、付録として売上の差を載せるのもよいと思います。2年間という期間が要件になければ、2021年7月以降のみを可視化することも考えられます。
このように、可視化の引き出しを持つだけではなく、伝えたいメッセージをはっきりと伝えるには、どういった指標・期間を選ぶべきかを考えることも重要だと考えています。
nakanipi:関係者が欲しい情報を齟齬のないように伝えられることが重要そうですね!
次に資料化の本についてtakahideさんにおすすめ本を聞いてみました。
2. 「世界で一番やさしい資料作りの教科書」
この本について
takahideさん:対象としては、資料作りの基本を知りたい人、資料全体を通してのメッセージングのお作法を知りたい人におすすめです。例えば、資料を作るけど相手の反応が芳しくない、意図を汲み取れていないなどの悩みがある方は参考になると思います。
どういった課題を持ってこの本を読みましたか?
takahideさん:2019年頃、アナリストのキャリアとして約10年目のときに手に取りました。当時は私一人で分析を担当しており、施策を動かしていくために結果をよりうまく伝える手段が知りたいと考えていました。具体的には、内容の取捨選択、アクションに繋げるための整理、それらが伝わる資料作成に課題がありました。
この本を読むことによって課題は解決できましたか?
takahideさん:本書では、資料作成自体だけでなく、むしろ資料を作る前のコミュニケーションの重要性(アウトプットの合意)と、資料作成後の動きについて、丁寧に解説がされています。
次のアクションに繋げるためには、この点が重要であり参考になりました。
nakanipi:関係者とアウトプットを合意するというコミュニケーションは非常に重要ですが難しそうですね。私も学びたいと思います。
この本を読むことによって、業務に何か変化はありましたか?
takahideさん:相手とのすり合わせ、複数メンバーとのキーコンセプトの合意と組み立てを意識するようになりました。結果として、資料作りの時間もコンパクトになりました。また、資料を作る際の取っ掛かりを得やすくなったと思います。
nakanipi:ストーリーをもって資料を作れるようになるため、どう見せるかにも繋がる話だと思いました。ストーリーラインが決まっていれば可視化方法もスムーズに決まりそうですね。
番外編 「Webサイトの紹介」
Analyticsチーム内で可視化に定評のあるMizuさんにも、可視化スキルの身に付け方についてお話を伺いました。Mizuさんは本派ではないとのことで本の紹介ではないのですが、Webサイトにもよいビジュアライゼーションの方法や例がたくさん転がっているとのことなので、より力をつけたい方はこちらもチェックしたいところです。
可視化スキルをどうやって身につけて来ましたか?
Mizuさん:まずは日頃から可視化について良し悪しを知ることから始めました。以下の3点が行っていることです。
データ可視化の良し悪しを学び、目にするチャートの良し悪しを言語化する
ステークホルダーからフィードバックを受ける
チャートやダッシュボードを浴びる
以下サイトなどを眺め、表現に使えそうなものをストックしています
nakanipi:ちなみに可視化をする際に気を付けていることなどありますでしょうか。
Mizuさん:いざ可視化する際は、対象となる関係者の解くべき課題を知ることが重要です。何をしている人なのか、何を見て意思決定している人なのかを理解することがニーズに合った可視化に繋がります。
nakanipi:なるほど!関係者のニーズを知るという意見は今回インタビューに共通する点ですね。
おわりに
今回、3人のデータアナリストから「データ可視化・資料化力」についてお聞きしました。良質な問いの設計、効率的な集計ができるようになればその後は関係者に”結果をわかりやすく伝えること”が必要となります。
伝える段階では、そもそも関係者の解くべき課題を知ること、そしてコンセプトやアウトプットを合意することが重要そうでした。
また可視化スキルに関しては、本やサイトなどでグラフの良し悪しを言語化し、その後たくさんの例に触れることで力は磨かれて行くと感じました。
全4回にわたりお送りしてきました「データ分析初心者向けおすすめ本のご紹介」ですが、今回が最終回となります。
次にこんなテーマの記事を書いてほしいなどご要望のある方は@suwachanまでご連絡ください!
今後もぜひ @mercari_data をフォローして新しい記事をチェックしてください。お楽しみに。
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