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漫画レビュー14 アイ アム ア ヒーロー
ゾンビが出たから逃げながら銃で戦いつつ生き延びる。
こんにちはメルカです。
今回の漫画レビューはこちら
「アイアムアヒーロー(I am a hero)」です。
作者:花沢健吾 全22巻刊行。完結作品です。
映画化もされました。話題作にして問題作でもあります。
主人公の下の名前が英雄(ひでお)で英雄(えいゆう)を英語にすると
ヒーロー。
こんな安直な感じです。
実直なところを言いますと、自分は最初、今作を1話の時点で投げていました。
好きな人がいるのは分かる。でも自分には合わないかなこの感じは……と。
英雄(主人公)は35歳の漫画アシスタントで、世間一般的に見て脱落者、負け組といったレッテルを張り付けられたような人物で、なおかつ妄想癖があり漫画内の1話から妄想全開で痛々しい様子が描かれていました。
卑屈で独り言が多く怖がりで強がり。
それでいて言い訳も多い。
でも35年の人生での最低限の常識はあるようで気持ち悪いやつと思われながらも日陰者として漫画アシで生計を立てつつから漫画家を目指しています。連載をしたことはありますが打ち切りで2冊だけだったようです。
まぁ実際にこういう人いそうだなぁと思えるような妙にリアルな中年男性です。
「アイアムアヒーロー」は22巻まで続き完結しました。
まぎれもなく人気があった作品であることは間違いないですし、映画化もされました。
少なくとも多くの人に興味を持たせる面白い要素はあるはずと考え少しずつ読み進めていった感じです。
なぜ躊躇していたのかというと、内容はなんとなく知っていたのですが、他の方の評価やレビューが辛口であったというのも知っていたことと、1巻の時点でこの主人公は自分には合わないかもなぁ読んでてもキツイだけかもなぁと思ったからでした。
実際1巻を読んだあと2巻を読むまでに1ヶ月くらい間が空いていました。
いや1巻は丸々全部かけてゆっくり物語をスタートを切っていてラストはかなり衝撃的な導入だったのですが、世界観や登場人物にあまり感情移入できなかったのです。
もちろんこれは人によるとは思います。
人によってはある人物の発言や態度に対して「あーその気持ち分かるわ」と思う人もいるでしょう。
負け犬人生や成功者への嫉妬も妙にリアルです。
ついでに言うなら社会へのゾンビ増加の進行もやけに細かくリアルに描かれています。
もしゾンビじゃなかったら読まなかったかもしれませんね。
いやまぁゾンビ物が特別好きってわけでもないのですがw
1巻ラストは衝撃の展開です。映画のCMでもよく流れたので知っている人も多いかもしれませんが。
衝撃の1巻ラスト後、2巻以降の話も少し話したいと思います。
もし1巻を読んで「ゾンビ気持ちわるっ!やめよ」程度の感じだとしたら勿体ないかもしれません。
じわじわゾンビ化が拡がっていったのが1巻です。
2巻からが話の本筋となります。
町の混乱が始まります。
と、その前に注意事項としてこの先の話はネタバレが含まれます。
最後の結末や言っちゃいけないことはなるべく省くつもりではありますが、もしここまでで興味を持ってくださった方がおりましたら、ぜひネットや漫画喫茶などで読んでみてくださいね。
22冊全巻いきなり買うより試した方がいいと思います。
簡単にまとめると
現実社会でのゾンビ化現象によるパニックの初動からのリアルな人間描写が描かれている漫画です。
22巻もあり巻数が多いこともありますし、いきなり単行本を購入するよりも満喫などで試し読みしてみるのもいいかと思います。
他に気になる漫画があれば一緒に試してみるのも良いですよ。
ここから下は作中のゾンビの詳細などネタバレありきの感想です。
多少ネタバレあってもいいからまず評価を見たいって方はこのまま続きをどうぞ。
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ではレビューを続けます。
ゾンビ化については諸説ありますが、今回の「アイアムアヒーロー」のゾンビ化について少しお話します。
・ゾンビ化条件
感染描写が多かったのは噛まれる、爪で引っ掛かれる、目や鼻などに体液がかかる辺りでしょうか。
細かい条件は不明ですが、感染前に死亡したとしても感染したらゾンビ化するようです。
つまり血液感染が基本で、接触感染は感染率は高そうですが詳細は不明です。
ゾンビの血液が付いたものに触れても吸収される可能性が高いです。
ゾンビになるまでの時間は人にもよります。早い人で数秒。普通に数分以内。
身体に浸透するまでに時間が掛かるような感染をした場合は数日掛かるようです。
・ゾンビ後の行動や生態について
目が血走って眼力が鋭くなり、静脈・動脈が浮き出ます。
人に噛みつく衝動に駆られるが、基本的にその人がその時間に普段していた行動を模倣したような行動をします。
つまり普段の生活をするような動きをするってことですね。
でも音に反応して襲い掛かってきたり噛んできたりゾンビっぽい行動もします。
走ります。生前の運動能力に左右される為個人差はありますが、痛覚などがない為普通に二足歩行で走れます。
走れるゾンビはヤバイ。勝利条件が一気に厳しくなります。
言語能力が曖昧で片言になります。記憶から無理やり知ってる知識を引っ張り出して発しているような感じですね。
ゾンビ映画でよくある「う”~」とうなったりもしますが、反射で生前よく使っていたり思っている言葉を発することが多いようです。
また本編で語られていましたがゾンビ女性は生理もくるようです。
更に妊娠中の場合はお腹の中の赤ちゃんも感染してゾンビ行動を取ります。
ということは生理現象・・・つまり排泄もあるのでしょうが、本編でそういった描写はほとんどありませんでした。
そんな映像ばかり見せられてもげんなりしてしまうのでそこは良かったです。
社会的行動を取ります。
どういうことかと言うと、基本的に生前の私生活を模して動くものの、全体として何かしらの共通点があります。
後半のネタバレになりますので解説は控えます。
また上記の例外もいます。
この辺もネタバレ要素が強いので説明は割愛します。
・ゾンビの倒し方
感染しやすい為、自分が感染せずに無力化するのは大変ですし危険です。
対処方法としてはゾンビに噛まれず引っ掛かれず直接肌に血が付かないよう手段を選ばなければなりません。
つまり銃刀法違反という法律がある日本では一般人は遠距離武器になるものをあまり持っていないので、普段料理で使うナイフや包丁、また農具で使うナタなどが基本装備となります。
遠距離での対処が一番安全です。
これもネタバレになってしまいますが序盤で分かることなので言ってしまいますが、「アイアムアヒーロー」の主人公「英雄」は猟銃を持っています。
つまり狙撃が出来ます。
このストーリーにおいて強い優位性を持っていることになりますね。
ここから先は人物像や展開のついての感想です。
・登場人物の行動や心理
この漫画は基本逃走を軸に展開されているので、卓越した身体能力の人間はあまり出てきません。
ゾンビものでよくある刀で華麗にゾンビを殺して回ったりなどの殺陣(たて)なんかのことですね。
主にパンデミックにおける混乱や集団心理・行動を中心に描かれています。
また公的機関の介入も少なめです。
つまり自衛隊の活躍なんかは薄いです。
そんな中の逃走劇です。悲劇が中心となります。
冒頭で書いた通り、主人公は猟銃を持っているとはいえ小心者です。
臆病で保守的な彼ですが、その性格ゆえに変に戦おうとせずに逃げます。
樹海などの森や山、地方など人の集まりが少ない方面を目安にあちこち逃げます。
運もあります。漫画のご都合主義と言ってしまえばそれまでなのですが、何にせよ逃げることにはほとんど成功します。
もちろん漫画の進行上、銃でゾンビと戦うのですが、やむを得ず戦う場合に限った話で自分から積極的にゾンビを狩るような性格ではありません。
そこは一貫しています。やむを得ない状況と感じた場合だけ戦います。
虚栄心やプライドの値が低いのです。
要はヘタレです。でもヘタレだからこそ生存率が高いのでしょう。
読者の中にはそういう英雄の言動や行動にイラつく人も多いかと思います。
「男なんだからヘタレだろうがなんだろうが非常時くらいシャキッとしろよ!大人でしょ!」と思う方もいらっしゃるでしょう。
でもそんな言葉に揺らいで流されて行動をしていたら恐らく英雄は2~3巻で死んでしまうような気がします。
生き延びることのできる性格だったからこそこの漫画の主人公にふさわしかったのでしょう。
非常時に常識的に行動すると状況にもよりますが、手遅れや命取りになる可能性があります。
平常心や良識を保つのには役立つとは思いますが、状況によっては環境に順応する必要がある時もあるでしょう。
非日常に慣れすぎてしまうと道徳や倫理感を失って狂気に走ってしまったり極端で短絡的な行動をしてしまうパニックを引き起こしてしまうなどの人間心理もあるので生存率と天秤にかけると難しいところです。
でも別に英雄(ひでお)は人を蹴落として自分だけ助かろうとするような性格ではありません。
人としては善人で、例え非常時だろうと無人であろうと食料確保の際にはお金を置いたり手紙を残したりするような善性や常識があります。
逆にゾンビが徘徊する中、平常時の常識の範囲内で行動しすぎてしまっているかもしれません。
なのでそこを飲み込めるならこの漫画を楽しむことが出来るかと思います。
「いや、無理。見てるだけでむかつく。」という人は最初の数巻で止めておくのもいいかもしれません。
それも1つの考えです。
漫画はいくらでもあります。
全く楽しめずに最後まで読む必要はないと自分は考えます。
漫画は楽しむものです。
漫画でストレスを溜めたりイライラするくらいなら読まない方がいいです。
最悪、パンデミックや災害の混乱時の集団行動の参考になると考えるなら読む価値はあるかもしれませんけどね。
・英雄以外の視点も多い
この漫画では英雄がいない場所での数人~数十人の小規模な集団のストーリーも描かれています。
集団ごとに一時的なルールや法が決められ行動しています。
大体は暴力支配での独裁か多数決などの民主主義ですね。
物語の後半には少しの異能や超能力要素がありますが、主人公にそんな能力はないですし、例えば火とか雷とかそういうファンタジーはなくて精神学者ユングの集合的無意識のような考えの描写が出てきます。
要は実はみんな深層意識で繋がってる的なアレです。
知らない人の為に簡略に軽く説明すると、他人の心は分からないけど実際には心の奥深くでみんな繋がってるんですよってやつですね。
漫画ではよくある表現です。
この漫画では場面転換で2chや5chのような匿名掲示板の描写がちょいちょい挟まれています。
書き込みもリアルで現代ぽくて面白いですね。
長くなってしまいましたね。
この漫画は1~8巻までの内容を元に2016年に映画化されているようです。
自分はまだ観ていませんが、機会があれば観ようと思っています。
大泉洋・有村架純・長澤まさみなど他にも豪華キャストを起用しています。
原作を2時間にまとめている為、多少キャラクターの性格や展開に差があるようですが、大筋は原作通りみたいです。
・最後に
この漫画は最終巻である22巻での一般的な評価が著しく低いです。
自分も最終巻の最後にあまり納得がいっていません。
伏線の未回収も多いです。
それでも興味が出たという方がいればぜひ試しに読んでみてください。
多少なりとも面白い漫画だと思ったからこそこうやってレビューしています。
では今回はこんなところでノシ メルカ
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