膨張菅に止水弁を設けてはならない理由

膨張菅に止水弁を設けてしまうとシステム内の圧力が逃げる場所がなくなります。
これにより、システム内部の圧力が過度に上昇し、配管や機器が破損するリスクが高まります。圧力の逃げ道を確保することが重要なので、膨張管に止水弁を設けることは避けるべきです。

特に、給湯設備や暖房システムでは、水が加熱されると膨張するので、その膨張分を逃がすために膨張管が設けられているので注意が必要です。

実際の事故例 4選

1. 給湯設備での圧力上昇事故

ある給湯システムでは、膨張タンクへの接続部分に誤って止水弁が設置されていたため、膨張タンクが機能しない状態でした。その結果、加熱時に発生する水の膨張分が逃げ場を失い、システム内の圧力が異常に上昇しました。この圧力上昇が原因で、配管の破裂や給湯器の損傷が発生し、施設全体が一時的に使用できない状態に陥りました。

2. 膨張タンクの誤設置による圧力バルブの故障

膨張タンクが設置され、止水弁を設けたまま運転を開始したボイラーシステムでは、圧力が膨張タンク側に逃げられなくなりました。システムの圧力調整が機能せず、圧力安全弁が頻繁に作動しましたが、長期的に使用するうちに安全弁が故障。最終的には過圧によるボイラーの破損が発生し、緊急停止を余儀なくされました。

3. 住宅用暖房システムの膨張管閉塞による破裂事故

住宅用暖房システムにおいて、膨張管が閉塞された状態で運転が続けられたケースがあります。水の膨張を吸収できず、配管内の圧力が異常上昇し、最終的に配管が破裂しました。この事故では、室内の一部が水浸しになり、住民が軽傷を負うトラブルも発生しました。

4. 膨張タンクのメンテナンス不足によるトラブル

こちらは膨張菅に弁が設けられていた事例ではありませんが、膨張タンクの定期メンテナンスが行われなかった結果、タンク内に水がたまったままになり、空気層がなくなってしまうことがあります。膨張タンクが膨張分を吸収できなくなるため、圧力が異常上昇し、システム全体が圧力に耐えられなくなり、漏水や破損が発生することがあります。

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