名刺代わりのアニメ&映画10選
はじめに
趣味は幸福を担う。
多くの副産物を生み出してくれます。
~ジョセフ・マーフィー~
「名刺代わりの〇〇」をお送りしてきました。
今回がラスト、取り扱うのはアニメと映画です!
名刺代わりのアニメ・映画10選
①地獄少女
あなたの怨み、晴らします――。
第1~4期まで放送され、今なお多くのファンがいるアニメ。
私もその一人です。
まだ中学・高校生だった頃、どうにか貯金をやりくりして、サウンドトラックや画集を買ったのを覚えています。もちろん漫画も。
漫画版と同じく、決して明るいストーリーではありません。
特に第1期アニメでは、怨みを晴らしても根本的な原因は解決しなかったり、善良な人が逆恨みで地獄流しにされたりと、終始重苦しい雰囲気が漂っています。
そして明かされる、地獄少女・閻魔あいの悲しき過去。
圧倒されるのは、映像と音楽の素晴らしさです。
ヒロインのあいは儚く虚ろで、それでいて妖しい色気があります。彩る音楽も、枯れたような寂しさから地獄流しの恐ろしさまで、見事に表現しています。
まずはビジュアルやサウンドからでも、興味を持っていただけると嬉しいです。ファン冥利に尽きます。
②蟲師
(第1期アニメの公式サイトはありませんでした)
すべての生命は、他を脅かすために在るのではない。
みな、ただそれぞれが、在るように在るだけ――。
"蟲"。
それは不思議なモノ達。下等で奇怪、見慣れた動植物とはまるで違うと思しき、異形の一群です。例えて言うなら自然現象、ウイルス、生命の原型に近いもの、でしょうか。
蟲にそもそも意思や自我は存在しませんが、ただその「性質」のせいで、人を悩ませることがあります。
そこで登場するのが「蟲師」です。
主人公のギンコは旅をしながら、蟲のせいで困る人の手助けを行います。
とはいえ全員を助けられるわけではありません。蟲の魅力に取り憑かれてしまった者や、蟲が太刀打ちできないほど厄介だった場合など、苦い結末に終わる話も多々あります。
そしてそれすらも、自然の大きなサイクルの中の一部。
実は私の旅好きの一端は、ギンコへの憧れにあったりします。
自身も蟲に翻弄される人生でありながら、彼は蟲を恨まず、飄々と旅を続けます。長いコートを着て、たまに煙草を吹かして。
旅先でひとり煙草を吸う時、まるでギンコのコスプレだなぁと私は私を思うのでした。
③魔法少女まどか☆マギカ
僕と契約して、魔法少女になってほしいんだ!
ごく普通の中学生・鹿目まどかに、ある日突然不思議な出会いが訪れる。
謎の転校生。不気味な「魔女」。
その魔女と戦う「魔法少女」。白いマスコット。
何とまどかには、魔法少女としての強い素質が備わっていたのだった。
友達。日常。恋愛。勇気。奇跡。そして願い。
交わした約束、忘れないよ。
…………。
まあ、取り繕っても無駄ですよね。
もう有名すぎるのでぶっちゃけますが、このアニメはキラキラ夢いっぱい物語の皮を被った、ものすっごい鬱作品です。
大学1年の頃、友人に勧められて視聴して、衝撃を受けたアニメです。
衝撃というのは、キャラ造形、声優さんの演技、物語の展開と設定、音楽など、全てに対してです。間違いなくアニメ史を大きく変えた作品だと思っています。
④文豪ストレイドッグス
人は誰かに『生きていていいよ』と云われなくちゃ生きていけないんだ!
ヨコハマを舞台に、文豪の名を冠したキャラクター達が、異能力を駆使して戦うアクションストーリー。
例えば主人公・中島敦の異能力は、虎に変身して身体能力が飛躍的に向上する「月下獣」。太宰治の異能力は、異能力を無効化する「人間失格」、など。
国語の便覧で見たことのある文豪と作品が、どんな異能力として出てくるか、見所満載です。
私が一番好きなキャラは中原中也です。異能力は、重力を操る「汚れつちまつた悲しみに」。
好戦的、黒い帽子を被っている、体は小さいが体術は強いなど、史実の中也のエピソードも上手くキャラに落とし込まれています。
……まあ、性癖ド真ん中っスね。
好きすぎて、彼の故郷は山口県湯田温泉まで旅したことがあります。
基となる史実の文豪に興味を抱き、その著作を読んだり、聖地巡礼したりする。そんな最高のキッカケをくれる作品です。
⑤劇場版Fate/ stay night [Heaven's Feel]
もしわたしが悪い人になったら許せませんか?
一大コンテンツ「TYPE-MOON」、その代表作である「Fate」シリーズの劇場版アニメです。
「Fate/ stay night」は2004年、アダルトゲーム(いわゆるエロゲ)として発売されましたが、その奥深く燃えるストーリー故に、多くの人を惹き付けました。
3人のヒロイン・3つのルート分岐から成る作品。[Heaven's Feel]は最終ルートです。
特徴は、ヒロイン・間桐桜が、「被害者のまま加害者に堕ちて行く」点です。
桜の経歴は悲惨極まるものですが、それでも彼女は耐え忍んでいました。しかしそこに魔術という外的要因が絡んだことで、彼女は暴走し、無辜の人を大量に殺すようになるのです。
人はいつまで被害者でいられるのか?
少しくらい、加害者になる権利はあるのでは?
どこまでが他人のせい?
どこからが自分のせい?
……どこか共感してしまうので、私は桜というヒロインが好きなのです。
⑥劇場版 空の境界
生きているのなら、神様だって殺してみせる。
⑤のFateに同じく、「TYPE-MOON」が送る劇場版アニメシリーズ。
2年間の昏睡状態から醒めた少女・両儀式は、万物の生の綻びを視る瞳、「直死の魔眼」を手に入れていた。
街中で頻発する不可解な事件。式は夜に繰り出し、その事件を切り裂き解決する。
まあ分かりやすく言えば、『呪術廻戦』の五条悟の様な「ハイパー眼力」を持ったヒロインですね。
彼女が切れば、幽霊だろうと物体だろうと"死ぬ"。生体に傷を付けないまま、病気という概念のみを"殺す"ことだって可能です。どうにも中二病がうずく力ではありませんか。
『鬼滅の刃』で有名なアニメ会社・ufotableによる、映像と音楽の美しさにも注目です。
⑦ライチ☆光クラブ
体の成長は罪ではない。
大人になるまで生きることが罪なのだ!
少年達の秘密結社「光クラブ」。
大人に失望している彼らは、ゼラと名乗る独裁者の下、大人達を支配する帝国を作ろうと画策していた。
手始めに作ったのが、鋼鉄の機械「ライチ」。しかしライチが美しい少女をさらって来た時から、光クラブの均衡は狂い始め……。
この物語の何とも儚いのは、光クラブという存在自体が最初から破綻しているところです。
いくら厳しい規律で縛ろうとも、思春期の少年の心身は日々「成長」していくもの。性に興味を抱き、身長が伸び、声変わりが始まります。そんな不安定な状態で世界征服を企んでも、簡単に大人の手でねじ伏せられてしまうことでしょう。
そしてその単純な事実に気付けないのもまた、「子ども」故の弱さ。
さらに皮肉なのは、人造人間であるライチが、少女・カノンとの心の交流を通じて、人間らしさを獲得していくこと。
そう、成長しないはずの機械こそが、「成長」を受け入れてしまうのです。
エロ・グロ・耽美・アングラ・残酷劇。
大人達こそ是非観てほしい作品です。
⑧オペラ座の怪人
(リンク先、英語)
クリスティーヌ、君は私のものだ。
とあるオペラ座の地下に隠れ住む怪人・エリックは、芸術や建築などあらゆる才能に恵まれていたが、しかしおそろしく醜い顔をしていた。
彼が愛と望みをかけたのは、少女・クリスティーヌ。
ファントムの教えあって、腕を上げていくクリスティーヌだが、幼馴染の男性・ラウルが現れたことで……。
言わずと知れた有名ミュージカルの、映画版です。
ロンドンに留学した際、私は劇場で2度、このミュージカルを観ました。そして泣きたくなるほどの悲しさと理不尽さを覚えました。
⑤Fateの間桐桜と同様、ファントムもまた、被害者のまま加害者に堕ちて行くキャラクターです。
「顔」という、自分ではどうしようもない要素で迫害され、せっかく心交わしたクリスティーヌも、突然現れた男に奪われてしまう。怒りと嘆きから、ファントムは殺人をも厭わぬようになるのでした。
本当の美醜は心に宿る。
ならその心を見て判断してくれよと、私なんかは思うのです。
⑨SAW
やあ。ゲームをしよう。
奇妙な部屋や仕掛けに囚われた人々。
目の前のテレビがつき、不気味な人形がこちらに語り掛ける。
「これは自分の罪と向き合う試練である。助かりたくば、血を流せ」
痛みと恐怖を乗り越え、彼らは生きて脱出することができるのか?
デスゲームに推理要素が加わった、スリラー映画。
その「一捻り」はタイトルにも表れています。
ノコギリの英語"saw"。ジグソーパズルの"saw"。シーソーゲームの"saw"。そして「見ていた」という動詞の"saw"。
果たして誰が、どこで、何を見ていたのか?
ちなみに私、この映画シリーズの「痛い場面」だけ集めたものを、ニコニコ動画で見るのが趣味です。
文字通りニコニコしながら見てます。
⑩ミッドサマー
(リンク先、英語)
祝祭 が はじまる
これも社会現象になった映画ですね。
「二度と見たくない」という人もいれば「クセになった」という人もいます。恋人と観にいってエライ空気になった人とか。
ちなみに私は3回観ました。
家族を無理心中で亡くし、ひどい心的外傷を負った主人公は、イマイチ頼りにならない恋人やその友人と共に、ホルガという北欧の村を訪れる。
歓迎される主人公達だが、村人の様子はどこかおかしく……。
太陽の下、真っ白で華やかな恐怖が幕を開ける。
ストーリーの中で、主人公が薬物をキめ、視界や音がぐにゃりと歪んでいく描写があるんですが。
いや~……リアルですね。
精神科の薬を数日間飲み忘れた時の、離脱症状そっくりです☆
皆さん、薬は正しく飲みましょう。
というか、決まり事には従いましょう。
じゃないとこの映画のようになっちゃいますよ。
おわりに
頑張って削りましたが、4,200字行ってしまいました。
徐々に文字数が増え、反比例して書き手の自制心が減っていったこの「名刺代わりの○○」全3回にお付き合いいただき、誠にありがとうございました。
いやもうほんと楽しかったです。
これを書いたから何か身になるとか、そういうのは特にありませんでしたが。言えるのは、
やっぱ書きたいものを書きたいように書くって最高だよなァ!!
ってとこでしょうか。
定期的にこういうの、今後も懲りずに書いていきたいですね。
これにて本当に終わりです。
次はどんな記事を書こうかな。
これからもどうぞ、よろしくお願いします。
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