皮肉の構造と対応

何かを色々と言っているのだが、それが本心で言ってるのか、皮肉で言ってるのかよくわからない。だから、対応するのが難しい、めんどくさいと感じられる。世の中にはそんな人が結構たくさんいる。

そもそも、皮肉というのはどういう構造になっているのだろうか?

皮肉の構造

皮肉というのは「元気でいいですね」と言いつつ、そこで(本当は馬鹿にしている)といった文字通りではない別の意味を持たせる。 もう少し抽象化すると「A」という言葉にBという別の意味をのせる。

そこで皮肉をよりいやらしく使うやり方もある。

もしも相手がそれを皮肉として理解して反応した時には「他意などありません。文字通りの意味です」ととぼけて相手の解釈を否定する。

一方、相手が文字通りに取った時には「これが皮肉であることもわからないのか?」と馬鹿にしてみせることで、相手の解釈を否定する。

このやり方を採用すれば、常に正解を自分だけが知っている立場に回れる。いつでも相手の解釈を否定して、その「誤解」を非難することも可能になる。相手を「理解力のない無能な人間」としてダメ出しし続ける無限ダブルバインド構造の完成だ。

皮肉らしきメッセージに対して意図を確認する

さて、ではこのようなめんどくさい皮肉に対してどう対処するといいか?

  1.  発言の意図や目的を質問して確認する

  2. わかりやすく相手が話すまでスルーしておく

まずはこの2つが有効である。

意思疎通をする必要がある場合、相手の発言意図が文字通りなのか、裏の意図を伝えようとしているのか、直接質問して聞いてみる。 特に「あなたはそのメッセージを私に伝えることで何を目的としていますか?何を意図していますか?」そう問いかけると良い。

目的や意図がハッキリわかれば、それに沿ってコミュニケーションを取り、対応すればいい。あっという間に話は片付く。

ヌルヌルしてきたら放置する

だが、問題なのは、ここで自分の意図、目的を頑ななまでに明確にしたがらない人間がよく出てくることだ。以前記事にも書いたヌルヌル話法の使い手であったりもする。ヌルヌルし始めると無限にコミュニケーションコストが跳ね上がる。

そんな時に良い方法はヌルヌルしてる人との対話をさっさと打ち切ることである。

どうせ向こうはこちらに明確に意図を伝えようという気はない。このようなヌルヌルしためんどくさい話し方を相手がしている時、たいていそこには権力争いが発生している。マウント合戦だ。

だが、相手にとってそのマウントがどんなに重要で切実なものであったとしても、こちらにとってはどうでもいいことだ。そんなものに付き合っても時間の無駄、不毛である。相手の意図を無理に理解する必要もないのであれば、適当にスルーしておけばいい。

だから、相手が戦いを仕掛けてきても、こちらはそこには乗らない。返答せず放置するか「なんか難しいですね」「よくわかりませんでした」ぐらいで返しておけばいい。「そっと放置」という行動パターンを持っておくことはとても大事。

そして、自分は一貫して自分自身のコミュニケーションの目的を考え、それにもっとも見合う適切な言葉を発する。

それができると、皮肉を使ったコミュニケーションに対していちいち腹を立てる必要もなくなる。 相手の切実さが際立って見えるだけだ。

皮肉構造が思考パターンに組み込まれ人格化する

ここまでのことをツイートしていたら、あおいさんから以下のようなコメントをいただいた。

メンタライズとは

  1. 自分の内心をきちんとして言語化して把握したうえで行動する

  2. 他人にも感情と思考があり、それが一人の人間の人格として成立しているという前提で相手を理解して対応する

ことを指す。

これがうまくできない人が皮肉的なダブルバインドを口癖として取り込んでしまうと、「自分で自分が何を言っているのかよくわからない」「自分のコミュニケーションの目的がわからず反射的に周りに対して攻撃的、否定的な反応をし続ける」状態へと迷走していく。

こうなっている人は心理的に不安定な世界の中を生きている。感情も乱れやすく、キレやすい。

周りからも自然と「なんかよくわからないことを怒りながらいつも言ってる人」「『怒ってない!』ってキレるめんどくさい人」と扱われるようになる。

こうなってしまった当事者がどうすべきかは、今回は脇に置いておこう。

そうではなくて、こういう知人が身の回りにいる場合どう対応したらいいか?

極力、触らない。

これに尽きる。そういう人の反応が面白くていじってみたいのならばいじればいいが、トラブルに巻き込まれたくない人は全力で関わらないのが正解だ。相手の脳内マウンティングにタッチしない。それは相手の頭の中の世界で完結しておいてもらう。彼らはそうやって心を保っているのでそっとしておくのが一番いい。

そして、一番つらいのはスルーできない家族の中にこういう人がいることなんですよね…

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