ヘヴィメタルに興味がない人のためのメタルガイド1 【メタルはなぜ嫌われるのか?】
最近、よく出入りしているLINEのオープンチャット内でメタルに興味がない人にメタルを布教する遊びをしている。音楽ジャンルの一つ、ハードロック・ヘヴィメタルのことだ。めんどくさいので、とりあえずハードロックもひっくるめてここでは「メタル」と呼んでおく。
ハードロックにもヘヴィメタルにもあまり興味がない、なんなら音楽そのものをそんなに積極的には聞きに行かないというメタル入門者、音楽初心者に対してどのようにメタル布教活動をするかというのはなかなか悩ましい。ここで一つ、戦略を考えつつガイドしたいと思う。
メタルはなぜ嫌われるのか?
メタルというのはどういうジャンルなのか。まずは簡単に例を挙げておく。ただし、無理に全部聞かなくていい。入門者は多分、心が折れる。入り口で挫折された台無しなのである。最初はやさしく楽しくメタルの喜びを教えなければならない。これはメタルに限らず何事についても同じことが言える。最初の接触体験が重要なのだ。ここでネガティブな印象を持ってしまうと、心が閉じてしまって後々まで響く。
これがメタルファンからメタルゴッドと呼ばれて敬われているJudas Priestだ。これこそがメタルである。もはや、映像までグレースケールでメタル色だ。メタル初心者諸君は決して無理に最後まで聞く必要はない。これはゴッド、神なので初心者が近づくにはまだ畏れ多い存在だ。とりあえず、メタル道の先にはこういう世界が待っていることを知っておいてくれさえすればいい。
さて、初心者にとってメタルはとっつきにくい。それにはいくつかの理由がある。
1.同時にたくさんの楽器の音が重なっている
2.時間当たりに詰めこまれている音の数が多い(速弾きなど)
3.ボーカルよりも楽器の音がでかい
4.ボーカルが叫んでいる
5.メロディよりもリズム・リフをメインに押し出す
6.ギターの音がひずんでいる(ディストーション)
7.謎の恰好をしていて怖い、ダサい
8.長髪かスキンヘッドが多い
9.謎に脱いだり、ケツを見せたりする
10.バイクに乗ってステージにやってくる
11.剣を振り回したり、生きた鳩やコウモリを生でかじって食べる
12.ファンの人たちも首を振り続けていて怖い(ヘッドバンギング)
13.とにかくなんでメタルなんてやっているのか全く意味がわからない
14.別にメタルを聴かなくても人生困らない
こんなところか。思ったよりもたくさんの問題点が浮かび上がってしまった。
メタルはうるさい
1から6までの要素を合わせると一般的には「うるさい」という印象を持たれることになる。実際、うるさい。メタル好きはこのうるささに癒されているわけなのだが、初心者にいきなりそれを求めるのは厳しい。
ちなみに先ほど紹介したJudas PriestのPainkillerもうるさい曲の典型である。もしこれを聞いて「最高だ!もっと聞きたい!」と盛り上がったのなら、君はもう入門者ではない。メタルエリートだ。早くこちらの世界に来なさい。
でもこの記事はそういう生まれながらのメタルエリートに向けては書いていない。あくまでも一般的なメタル入門者に向けて書くつもりだ。安心してほしい。すぐに良くなるよ。
メタルは怖い、意味がわからない
7から13にかけてはメタル文化に関する違和感である。メタルは歴史を重ねて独自の文化を築き上げてきた。これは部外者からは異様に見える。
やらせのはずなのに妙にファンが盛り上がるプロレス、男だけ、女だけ縛りをかけて異性役まで演じる歌舞伎や宝塚歌劇団、暑くて苦しいのに男を見せるために頑張って居座り続けるサウナ、応援しているアイドルと付き合えるわけでもないのに大量課金し続けるアイドル追っかけ、そういうのと同じだ。
今すぐわかる必要はない。メタルの世界に触れ、段々と楽しみ方がわかってくると本当にたまらなくよくなってくるのだ。
メタル入門者へのガイダンス
さあ、本題に入ろう。
メタル入門者はどのようなメタルから聴けばいいのか?
うるさくなくて、怖くなくて、意味がわかるメタル
こういうメタルから入ればいいのだ。
え? そんなのはメタルではない?
うるさい、黙れ! これはメタルエリート向けの記事ではないと言っているだろう。「メタルとはどう定義されるのか?」というのは実は非常に難しい問題である。めんどくさいメタラー同士が出会うと、それを延々と議論していたりもする。正直、ぼくにもよくわからない。
だが、ぼくとしては、別にメタルだろうが、メタルでなかろうが、いい曲を聴いて楽しめればそれでいいだろうと思っている。最終的には紹介していく曲をコアなメタルへと近づけていこうと思っているが、最初はメタルといえるのかいえないのか、微妙なところや、あえてこれは明らかにメタルではないが、メタルを理解する上で役に立つであろう曲やアーティストも紹介していきたい。そして、独特なメタル文化にもなるべくなじめるように味わうポイント、面白がるところなどについてもコメントしたいと思う。
おまけ
Judas PriestのPainkillerを紹介したので、日本の誇るメタルシンガー、冠徹弥の「俺なりのペインキラー」も紹介しておきたい。どれくらいJudas Priestが敬愛されているかがわかるであろう。真のメタラーになると、この曲も涙なしには聞けない。笑いながらも泣くのだ。メタラーになるということはマイノリティの悲哀を味わうということでもある。だが、そこにはマイノリティゆえの選民意識も生まれる。
なんか、メタラーになってもあんまりいいことない気がしてきたな。