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【NHK】コロナ自粛中のリアルタイムドラマ&ドキュメント「不要不急の銀河」

コロナの第一波で、緊急事態宣言が延長されるかどうかという5月の上旬、スナックを営む一家が舞台だ。彼らも「自粛、自粛」の風の影響をまともに受けて、ついに閉店せざるを得なくなる。店を閉めろ!という「自粛警察」の張り紙も貼られる。安倍首相の緊急事態宣言、小池都知事の「三密」を避けようという呼びかけの映像などが流される。

今、同じ時期を経験しているので、コロナ禍を題材にしたドラマが作られていたというのが面白かった。脚本は、ピースの又吉直樹氏だ。

全体的にコメディタッチだが、コロナ禍で自営業者がいかに苦闘しているかが感じられるドラマだった。「自粛、自粛」という言葉の裏で、どんな気持ちで、この時期を過ごしている人たちがいるのかを考えさせられる。世の中は様々な視点から見てみないと理解できない。スナックは多くの人にとっては「不要不急」だけれども、その仕事で生きている人も、その場所に集うことで生きている人もいるのだ。

まあ、ともかく、今、この時期に撮られたということに意味がある作品だ。

コロナ禍での撮影ドキュメント

この作品の監督は「いだてん」の井上剛氏だ。このドラマを撮影する裏側も同時にドキュメンタリーとして記録していくという惹きつけられる構成だった。この時期にドラマを撮るべきなのか、どうしたら感染リスクを最小限にして撮影ができるのか、監督もプロデューサーも悩み続ける。何度も産業医の指導を仰いで、スタッフ・俳優への感染リスクを低くする取り組みが行われる。ひとつのドラマを作るには必ず「三密」が生じるのだ。

そもそも、ドラマって必要なんだろうか?、これも不要不急ではないのか?という問いかけを自分たちに投げかけつつドキュメンタリーは進む。一人でも感染者を出せば、とたんに大ニュースになる。ドラマの現場は「密」だ。責任を問われるのはプロデューサーだ。不安と緊張の中で撮影は進む。

そして、この時期だからこそ選ばれた題材が「不要不急」の自粛で追い詰められる小さなスナックの苦闘ということになる。スナックは、いわゆる「不要不急」の仕事に携わる人の象徴だ。

自粛を迫られる人たち

夏帆さん演じるスナックのママは、近所からの苦情の張り紙に追い詰められていく。いわゆる自粛警察だ。終わりが見えない自粛は、廃業せよということだ。無責任に自粛を言い渡すのは死刑宣告のようなものだ。とりわけ「夜の街」にすべての責任があるかのような言い方がされる。

しかし、サラリーマンの満員電車や、いわゆる大手企業の「密」は何も言われない。結局、夜の街の不要不急は、スケープゴートだ。

人間は原因不明な恐怖を感じる時には、何かの原因を探し出そうと躍起になる。時に、それがペスト時代のユダヤ人の虐殺につながったり、コロナ時代の夜の街いじめにつながったりする。(先日、見た番組でもそのことを感じた。)

「自分はいいけど(しょうがないけど)、お前はダメだ、っていうか、お前のせいだろう」、みたいな短絡的な思考で世論が作られていく。その言葉を投げかけられた人のことを感情移入しないでは、皆でこの危機を乗り越えていくことはできないだろうに。本当に怖いのは人であり、世間。でも、これは、昔から今まで変わらない人間の傾向なんだと思う。

繰り返しになるけど、この作品で「スナック」というのは、外から「不要不急」を押し付けられる業態の比喩なのだ。そんな人すべてに「ファイト!」が送られている作品だ。

最後のオチはちょっと爆笑してしまったし、強いメッセージ性を感じた。さすが、又吉氏。久々に面白くて、考えさせられるドラマを見て大満足だった。今、この時期に撮影されていて、この時期に見ることができたことに意味があったと思う。

(追記)朝ドラ「エール」を楽しみに待っているんだけど、、、きっと、ドラマの撮影も大変なんだろうなぁと思いつつ見ていた。待っている人がいるということは「不要不急」ではないんだろうねぇ。

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大人のADHDグレーゾーンの片隅でひっそりと生活しています。メンタルを強くするために、睡眠至上主義・糖質制限プロテイン生活で生きています。プチkindle作家です(出品一覧:https://amzn.to/3oOl8tq