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嫁姑(よめしゅうとめ)は複雑で、爺家にも存在します。この問題は理性ではなく感情の問題なので、すっきりさせようとすること自体に無理があります。畢竟、努力で何とかなるものではないのです。
 
問題がない時まではいいのですが、ひとたび問題が発生すると、取り繕うのは難しいというのが問題なのです。というか、そもそも取り繕ってはいけないのです。会わないのがいい。会わせないのが、間に立つ爺ができることです。
 
しかし、爺の子や孫にとっては関係のない話です。ですから、爺は、唯を連れてオカンが暮らしている施設に行くことにしました。オカンは唯に会いたいのです。爺は親孝行な息子ではありませんが、そのぐらいのことはします。
 
移動は電車と決めました。しかも特急での往復です。贅沢ですね。実は、爺にすれば、唯とのお出かけがメインで、オカンに会わせるのは副次的な目的に過ぎないのかもしれません。
 
爺の道楽に付き合う唯にも配慮が必要となります。唯のお楽しみも忘れずに。都会の商業施設には子どもが遊べる広場がたくさんありますし、お昼は、一緒におうどんを食べることにしました。子どもうどんセットを注文するとオマケの玩具が一つ選べます。
 
玩具の聴診器と体温計が入ったドクターセットを選んだ唯は、うどんをそっちのけで遊びます。いつも一緒のドキンちゃんのぬいぐるみに聴診器を当てたり、体温を測ったり。お昼は時間をかけていただきました。
 
もちろん、オカンは唯に会えて大喜び。唯もニコニコ顔で一日を過ごしました。夜、妻にそのことを伝えると、とても喜んでくれました。婆はオカンと折り合いが悪いことを実は良しとは思っていないのです。でも、どうしても気が進まない。それが理解できているから爺も会わせようとしないのです。どちらが悪いということではない。そういうものです。
 
帰りに成城石井で買ったワインとブルーチーズを嗜みながら、結婚記念日を祝いました。「幸せだな」と爺は感じ入るのです。

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奥村一郎(メンタルパートナー、活動家、主夫)
I have a dream. 私の「夢」は、日本に活動家を養成する学校をつくることです。 私の「モットー」は、Life is Art. Life is Play. -生活をアートできるようになれば既に幸せ-