「オカンの話2」
オカンの話をしたいのだが、オカンの話をするにはオヤジの話は避けられない。というか、オヤジが強烈だったため、オカンのワガママが子どもの私には見えなかったという事実を伝えることから始めよう。
オヤジは優しい人だった。故に罪深い人だった。周囲の人は、彼が酔った姿しか知らない。というか、いつも泥酔していた。それほど、彼は弱かった。しかし、人でなしではない。弱さ故に彼は飲んだ。ウワバミのように……
ある晩、我が家の勝手口で声がした。
「ごめんくださーい。ごめんぐださーい。」その声は、弱々しく、聞いたことのない訛りのある男性の声だった。勝手口のすぐそばの掘り炬燵で僕たちは食事をする。その日は、たまたますき焼きだった。
オカンが勝手口で「ごめんぐださーい」に応対している。でも、要領を得ない。オヤジは既にベロベロなのでしびれを切らし「入ってもらえ!」と怒鳴る。
オカンはそれに従うしかないので彼を招き入れたが、何の因果か来日して生活に困っていたのだろう。何かを売りに来ていたスペイン人だった。彼も仕方なしに我が家に上がり、私の横に座ってすき焼きを食べるように強要された。
なぜ、私は、謎のスペイン人とすき焼きを共に食べなければならなかったのだろう?オカンもおそらくそう感じていたに違いないが、我が家ではオヤジが憲法なので仕方がなかったのだ。
I have a dream. 私の「夢」は、日本に活動家を養成する学校をつくることです。 私の「モットー」は、Life is Art. Life is Play. -生活をアートできるようになれば既に幸せ-