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「オカンの話7」
オヤジが亡くなった後もオカンは稼業の縫製を続けた。オヤジが生きていた時もオカンは優秀な働き手であったことは間違いない。
オヤジは昼飯を食ったら昼寝をするし、17時になったらさっさと銭湯に行き、その後は酒を飲んでいた。
オカンは、朝早くからミシンを踏み、朝昼晩と食事を作り、後片付けしたら、またミシンを踏んでいた。
オカンはお金の管理はテンでダメだが、踏み子としては一流だったと思う。それでも、自営業で大将が亡くなると、多くの事業所が傾くのは、世の常なのだと思う。
おそらく不安だったのだろう。オヤジが死ぬ前頃から始めたパチンコに溺れるようになった。オヤジの死後、1年ほど経った頃だろうか、オカンのパチンコが酷いと弟から聞き、久しぶりに実家を訪れた。
オカンはパチンコに行っていた。妹に帰るように伝えさせたが、待てど暮せど帰ってこない。仕方なしに私がパチンコ屋に行ってオカンに帰るようい促すと…
「今、ええとこやから、もうちょっと!」
その頃には、私たちがオヤジの死んだ時に渡した当面の金も使い果たしていた。私は、オカンを廃業させ、私たち家族と同居させた。
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